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浮遊図書館の魔王様  作者: るーるー
魔王なります 編
13/135

第十三話 唱えました

 謁見の間。

 そう呼ばれるようになった王座が置いてある広間にわたしとレキ達四姉妹、アトラが集まっていた。

 姉妹は片膝を付き、王座に座るわたしを見上げている。


「レクレ様、ついに世界征服の一歩を踏み出すのですね!」


 レキがキラキラとした瞳でこちらを見つめてくる。

 なんでそんなに戦闘がしたいのレキ。


「腕がなる!」


 シュッシュッと音がなるように腕を素振りするアルシャット。

 殺る気満々だね。


「世界征服? それやったらご飯いっぱい食べれる?」


 すでに口の端からよだれをたらしているビリアラ。

 さっきご飯食べたばかりでしょ?


「れ、レクレ様がやるならがんばって手伝う」


 ぐっと両手を胸の前にだし、力を込めるマーテ。

 うん、きっと君は世界征服を理解してないんだろうな〜。


「はぁ〜」


 四人それぞれのリアクションを見たわたしはため息をつく。

 世界征服? なにそれ?おいしいの?

 そんな面倒な事をわたしはする気は無いけどね。ほら、統治とかだるそうだし。

 でも、誰かしてくれたら別にいいかな〜と考えないわけじゃないけど。


「残念だけどそんな面倒な事をする予定はないよ」

「? では私たちを集めたのはなぜです?」


 四姉妹の代表としてレキが困惑君につぶやいた。まぁ、そうなるよね。

 でも、レキは戦闘以外にも興味をもったほうがいいと思うけどね。


「今からこの部屋、散らかるから片付けをしてもらおうと思ってね」

「それは構いませんが、今から散らかすとはどういう意味です?」

「ああ、今から新しい魔法を試すからだよ」

「新しい魔法?」


 イマイチ理解ができてない様子でレキが訪ねてきた。

 レキの尻尾は?にならないんだね。残念。


「まぁ、学生の時に作ったやつなんだけど魔力が少ないから発動しなかったんだけどね」


 一回やったけど発動しないし、魔力切れで倒れるし散々だった。

 ま、若気の至りだよね。


「まぁ、上手くいけばレキが望むような戦闘が起こるかもね」

「本当ですか!」


 尻尾をパタパタと振りながらレキが喜ぶ。想像以上の食いつきだ。そんなに戦いたいの?


「獣人種は総じて戦闘意欲が高いですからね〜」


 他人事のように言うな、アトラ。でも他の三人はそうでもないね。

 興味なさそうにしてるし。


「獣人種は成体に近づくに連れて戦闘意欲が高まってきますから」


 つまりまだ子供ということか。

 まぁ、しかたないよね。


「それでレクレは何の魔法を使うの?」


 ビリアラが頭の後ろで手を組みながら聞いてきた。

 その姿を見るとレキがキッと睨みつける。

 いや、そんなことで怒らなくても。


「今から使うのは本を集める魔法だよ」

「本なんて集めるの?」


 あれ? あんまり関心ないかな? まぁ、子供だし。


「わたしの趣味で生きがいだよ。あ、マーテ、城の大門開けといてね」


 そう言うとわたしはアトラに保存さしていた幾つもの魔法陣を展開さす。

 すると色取り取りの魔法陣が幾つも天井に現れた。


「わ!」

「すごい綺麗」


 アルが驚いた声を上げ、マーテが感嘆の声を漏らす。

 以前までならこの段階で魔力が無くなって意識を失ったけど今回はまだ余裕がある。


「さあ、始めるよ。魔王らしくない魔王としての第一歩を」


 わたしはニヤリと笑い四姉妹を見る。

 レキは歓喜の笑みを浮かべ、アルもニヤリと笑う。

 ビリアラ、マーテは魔法陣に夢中のようだ。


「ご主人のしたいようにしたらいいさ」


 アトラの諦めたような声が聞こえ、


「オリジナル魔法、集え、幾千の本! 本収集ブックメディリィ!」


 わたしがそう唱えると幾つもの魔法陣がまばゆいばかりの光を放ち謁見の間を包み込んだ。


 この日、副都フィンガルドでは本が空に浮かぶ城に向かって飛んでいくという情報が多数の人に発見され、冒険者ギルド、教会は人で溢れかえったという。

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