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浮遊図書館の魔王様  作者: るーるー
女神編
129/135

第120話 新魔法爆誕しました

 とりあえず、戦うのが面倒なわたしはリングに上がったには上がったけど椅子に座り本を開いた。


「ユール、レキ、行って」

『御意に』


 わたしの言葉に従い、真紅一号を身にまとったユールと腰の剣を撫でながらレキが勇者、三人に向かい走り出す。


「武蔵丸という戦士は私に譲ってもらいますよ! ユール」

「構いません、ですが私一人では二人相手はむりですよ?」

「時間稼ぎでいいですよ。その間に私が武蔵丸を倒しますので」

「わかりました」


 ユールが答えると同時に真紅一号の右腕が轟音を上げながら勇者達のもとに飛翔する。


「散開!」


 ゼシカの声に従い、アイリス、武蔵丸が即座にばらける。誰もいない空間を真紅一号の拳が横切る。だが、ユールは飛翔する拳を真紅一号を動かすことによって無理やり軌道を変える。


「むぅぴょん!」


 軌道の変わった拳の進路上に逃れていた武蔵丸が小さく声を上げる。轟音を上げながら迫る拳を見据えながら武蔵丸が背中に二つの長物(一つは布でくるまれていてわからない)のうちの一つである大きな斧を構え、瞬時に振りかぶった。

 風を切り裂くような音を響かせながら振り下ろされた大斧が飛来する拳を無理やり叩き落し、地面に叩きつけられた拳がリングを叩き割った。

 なんて、規格外の化け物なんだ。


「はぁぁ!」


 武蔵丸が斧を振り下ろしたままの姿勢でいる隙を狙い、レキが跳躍。すぐさま剣を抜き無防備な武蔵丸に振り下ろすがそれは間に割り込んだゼシカが防いぎ、耳障りな金属音が響いた。


「させん」

「あなたは後です!」


 空中で身動きが取れないレキであったが下半身のバネだけを使いゼシカの頭を砕くべく蹴りを放つ。しかし、それは姿勢を戻し、全身が筋肉の鎧である武蔵丸がたやすく掴み軽々と放り投げた。


「ぎゃ!」


 凄まじい速度で放り投げられたレキは短い悲鳴を上げて私の横に砂埃を立てながら叩きつけられた。


「大丈夫?」


 大の字になって転がるレキが流石に心配になり声をかけた。レキは転がりながらも手をヒラヒラとさせながら返事をしてきてるから大丈夫だろうけど。

 続いて同じように真紅一号も吹き飛ばされてきた。なんなの? 君達わたしを砂だらけにしたいの?


「レクレ様! あの人たちめちゃくちゃ強いんですけど! アリポンより!」


 誰だよアリポン…… まぁ、それは仕方なさそうだね。なんか格みたいなのが違うし。


「我らをあんな出来損ないの勇者と一緒にしてもらっては困る」

「アリオンなどわしら勇者の中では一番の小物」

「勇者になれたのが奇跡的だったぴょん」


 いないから言われたい放題だな。


「レキ、戦えそう?」


 のそのそと起き上がり服についた埃を払っていたレキに尋ねる。


「問題ありません」

「ユールは?」

「やりたいんですが真紅一号が動かないんです」


 そう言うユールもとい真紅一号を見るとそこいら中が傷まみれで装甲はいたるところが凹んでいた。

 ……これ結構硬い素材だったはずなんだけど。


「となると二対三か」


 さすがにレキ一人では無理だろうし仕方ない。

 ため息をつきながらめや立ち上がると勇者三人が身構える。そこまで警戒しなくても。


火魔法ファイアーボール


 魔法を唱え、幾つもの火魔法ファイアーボールを頭上に展開される。


「創造魔法、クリエイトゴーレム」


 さらに浮かぶ火魔法ファイアーボールに魔法をかけることで炎を纏うフレイムゴーレムが創造され、わたしに頭をたれた。熱い。


「ほぅ、それが創造魔法か」


 魔女っ子スタイルのアイリスが興味深げにフレイムゴーレムを見ていた。


「フレイムゴーレムくんはゼシカを、レキ、武蔵丸を倒せ」

「BOOO!」

「はい!」

「オリジナル魔法反射鏡(リバースミラー)


 フレイムゴーレムとレキの返事を聞いた時にはすでにわたしは新たな魔法を発動。アイリスに向かい魔法で作られた銀の鏡を向ける。


「はん、なんじゃ、こんなもの! 雷魔法サンダーランス!」


 アイリスに向けた鏡に向かい放たれた雷魔法サンダーランスが鏡に直撃した瞬間、銀の鏡は雷魔法サンダーランスをはじき返しアイリスに向かい襲いかかった。よし、成功!


「な!」


 アイリスが驚愕の声を上げ急いで躱す。弾き返した雷魔法サンダーランスがアイリスが今まで立っていたリングを叩き壊した。


「なんじゃ、その魔法は!」

「新しく作った魔法、反射鏡リバースミラー。魔法を反射させるまで鏡を作り出す魔法だよ。いやぁ、これがなかなか上手く行かなくてね、反射さす角度がまた難しいんだよ」

「なんて規格外な……」


 失礼な。それにこの魔法の真価はそんなものじゃない。


火魔法ファイアーボール!」


 すぐさま唱えた火魔法ファイアーボールをアイリスの頭上に向かい放つ。


「は、どこを狙っておる!」


 アイリスが鼻で笑う。


「いや、そこにいると危ないよ?」


 アイリスに当たるはずのなかった火魔法ファイアーボールは頭上に移動した反射鏡により反射され真下のアイリスに向かい角度を変え放たれる。


「なぁ⁉︎」


 情けない声をあげながら転がるようにしながらアイリスは回避する。


「さぁ、どんどん行くよ!」


 わたしはさらに数十枚の反射鏡を作り上げ展開、そこに向かい火魔法ファイアーボールを放ち続ける。


「き、きさまぁぁ!」


 憤怒の形相を浮かべるアイリス、わたしに向かい火魔法ファイアーボールを放つが魔法の進路上にわたしがすぐに反射鏡を差し込むことで逆にアイリスへの攻撃が厳しくなっていく。

 所々で攻撃していたアイリスだったが次々に反射していく火魔法ファイアーボールの迎撃に精一杯になっているみたいだ。


「さて問題です! 今は威力重視の火魔法ファイアーボールですが、速度重視の雷魔法サンダーランスならどうなれでしょうか!」

「なんじゃっ!」


 すでに幾つかの魔法が当たっていたが辛うじて耐えていたアイリスが絶望したような顔をわたしに向けてくる。


「ごめんね? 早く本が読みたいんだ。雷魔法サンダーランス×10」


 瞬時に展開された雷魔法サンダーランスが反射鏡に向かい放たれた火魔法ファイアーボール同様に次々進路を変えていく。自分でもびっくりするくらいの速度だ。


「そして反射鏡の真価を見てね」


 魔法を反射させつつ反射鏡を操り徐々にアイリスを囲む箱のように形成する。


「がぁ! ぎぃ!」


 完全に反射鏡に囲まれたため逃げ道がなくなったアイリスがひたすらに魔法を喰らい続けるようになったため、わたしは椅子に再び座り本を開いた。

 続きが気になってたんだよね〜。


「魔王め……」


 そんな風に恐怖心が混じったような声をゼシカがフレイムゴーレムと斬り合いながら呟いていたが本に集中し始めたわたしには聞こえなかった。


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