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浮遊図書館の魔王様  作者: るーるー
女神編
112/135

第103話 知らないところで羞恥プレイさせられていました

 


 生暖かい目で女神がタルメアを眺めている中、ウサギ仮面がまた大きく咳払いを行う。


「では続けます。次はハピナス様ですが、ポイント54050。こちらは以前と変わらずです」

「……特になにもしてないから当然」


 結果にあまり興味がないのかハピナスは無関心である。


「いや、特になにもしてないってことはないだろ? ハピるん♩」


 ポンパドゥールが楽しげにつぶやいた瞬間、ガタっという大きな音を立てながらハピナスが立ち上がる。その顔は真っ青である。


「な、なにを言ってるのかしら?」


 テーブルの紅茶の入ったカップをソーサラーごと手に取るが手にしたカップがカタカタと揺れている。かなり動揺しているようだ。


「何ってあんたのやってる活動のことだけど……」

「……あなた、どこまで知ってるの?」

「いや、あれで隠してる気なんだったらよっぽどよ?」


 ポンパドゥールが軽く指先を振るうと幾つもの複雑な魔法陣が展開される。普通の魔法使いが見たなら卒倒しただろう。今ポンパドゥールが使っている魔法は今だ原理すら解明されていない復元魔法なのだから。


復元再生プレイバック

「やめなさっ!」


 ポンパドゥールが魔法を発動さそうとした瞬間にハピナスがポンパドゥールに飛びかかろうとするがそれをカナエが笑顔を浮かべながら腕を掴み止めた。


「私も興味があるわ。ハピナス」

「離して! 離してカナエ! 今、今ここでポンパドゥールを殺らないと!」


 カナエが笑みを浮かべながらハピナスを食い止めている間にポンパドゥールの魔法は発動し、テーブルの真ん中に全員が見えるように球体が現れた。


『えと、写ってるかな?』

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」

「はい、静かにしてちょうだい」


 球体からハピナスの声が響くと同時にこちらのハピナスが絶叫。すかさずラヴリが魔法を使いこちらのハピナスの声は聞こえなくなった。

 ハピナスは口をパクパクと動かすが一切声がでないようだった。

 ハピナスが必死に動いている間に球体の中のハピナスが女神の視界に入った。


「「「「誰?」」」」


 その場にいた女神(ハピナスを除く)が一斉に首を傾げつぶやいた。

 球体に映っているのはいつも真っ黒な服を着てダサいメガネをかけている陰鬱な表情をしているハピナスではなく、ピンクのヒラヒラが大量に着いた服を着込み、メガネなどかけていない活発そうな少女が映っていた。


『みんなー元気ー? 毎日楽しく過ごしてるかなー?』


 球体の中の少女はクルクルと踊るように回りながら誰かに話しかけていた。


『ハピるんはねー、いつも通り女神の仕事をがんばってるよー』


 球体の中の少女、ハピるんはウインクをしながら楽しげに告げる。


「ぷふっ!」


 ハピるんと聞いた瞬間、ラヴリが球体から顔を背け吹き出した。

 他の女神の面々も吹き出しはしていないが肩が震えていた。


『そのせいでハピるんはちょっとお疲れ気味〜 たまにはバカンスでもしたい気分だよ〜 プンプン』

「ブハァ!」


 ポンパドゥールがついに耐えきれずに吹き出し、机に突っ伏した。さらには突っ伏した状態で痙攣するかのようなは肩が震えている。


『だから〜ちょっとリア充かましてるって噂の二人に軽い浮気話を街に流して遊んじゃった☆ きゃは! 二人はもちろん別れたよ~ 超たのしかったけど!』

「きゃはって……」


 笑顔でなかなかにゲスいことをやったことを暴露するハピるんに今まで耐えていたカナエもとうとう笑い出した。

 それを見ていたハピナスは顔を真っ赤にしてカナエを睨んでいた。


「このハピるんって誰なのかしら? いい趣味の服を着てるわ!」


 今だにハピるんの正体がハピナスであることに気づかないタルメアが真剣にハピるんが着ている衣装に食い入るように見ていた。彼女が着ている服も確かにヒラヒラがたくさん付いているため興味をそそられたようだ。


「くっくく、誰だろなぁ? ハピるんは。なぁ、ハピナス?」


 ニタァと意地の悪い笑みを浮かべながらポンパドゥールはハピナスの方を見た。


「あなた、どうやって!」


 ラヴリが魔法を解いたのかハピナスが一気にポンパドゥールに詰め寄った。ポンパドゥールは変わらずにニヤニヤと笑い続けている

「たまたまたハピナスのとこを観察してた時に信者が見てたのを発見したのよ」

「あなたは! またそういう無駄なことに力を使って!」

「いいじゃん、ハピナス《・ ・ ・ ・》は信者になにもしてないんでしょ? 私はハピるんの話をしてるんだし。ね、ハピナス?」

「くっ!」


 悔しそうにするハピナス。ここで否定してしまえばまだバレていないタルメアにまでバレ馬鹿にされるのは目に見えて明らかなため何もいえないのだ。


「ねぇ! ポンパドゥールはこなアイドルと知り合いなの!? サインもらってきて欲しいんだけど!」

「うわぁぁぁぁぁ!」


 タルメアの疑いのない純粋な目でポンパドゥールを見つめるのを見てしまったハピナスは奇声を上げながら頭を抱えながら床を転がり回った。


「よし、タルメア。今度このアイドルと会わしてあげるよ」

「本当!」


 ポンパドゥールは球体に映る微妙に音を外しながら歌うハピるんを指差しながら目を輝かせるタルメアに言う。


「忙しくなかったらね。でもこれをやっても信者増えなかったのか」


 ポンパドゥールの呟きに他の女神も苦笑を浮かべるだけにとどめ、球体でまだ笑顔で歌い続けるハピるんを眺めるのであった。


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