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浮遊図書館の魔王様  作者: るーるー
切り裂き魔編
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第98話 新魔法炸裂しました

 


 カハネルに変わりわたしが変質者ジャックと対峙する。


「その魔法はかなり速くなるようだが・・」


 いや、速くなるだけならばあんなに移動場所に誤差はでないと思うんだけどね。まだちゃんと魔法の効果の項目は読んでなかったからな〜


「とりあえず試すしかないか」


 変質者ジャックが構えをとろうとしている途中でわたしは再度大地を蹴りつける。

 さすがに二度目は警戒していたのか変質者ジャックは右の鋏をわたしに対し閃かす。

 遅い?

 変質者ジャックが閃かす鋏がとてつもなく遅く感じわたしは鋏が服に当たる前に変質者ジャックの腕を掴んじゃった。


「なんだと!?」


 変質者ジャックも驚愕。わたしも驚愕!

 あ、この魔法もしかして感覚どころか神経系も強化されちゃってるのか。だから動きが全部ゆっくりに見えるのか。


「ふむ、これは使える魔法だね」

「何をブツブツと!」


 掴まれていない左手の鋏でわたしの服を切ろうとしている動きも今のわたしにはかなりゆっくりに見えるんだよ。

 この距離なら雷魔法ライトニングランスはいらないかな。雷魔法ライトニングで十分だ。なにせ鋏を振るう両腕を掴んでいるんだから。


雷魔法ライトニング


 掴んだ変質者ジャックの腕に向かい雷魔法ライトニングを容赦なく放つ。

 今までは魔法をあの鋏が切り裂いていたが今回はそうはさせない。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!」


 体に直接流し込まれた雷魔法ライトニングによって変質者ジャックが体をえびぞりになりながら至る所から煙を上げ始める。ふふふ、防げなかったらそうなるよね。

 さすがに死ぬほどの威力はだしてはいないけどこれでかなり動きが鈍くなっただろう。

 腕を離すと変質者ジャックの両腕にはわたしが握った跡にくっきりと火傷のあとが出来上がっていた。かなり痛々しい痕だね。


「おぉぉぉおぉぉぉぉ」


 かなり痛いのか顔を苦痛に歪めながらも両手に持った鋏を落とさないというのはすごい精神力だ。

 わたしなら痛くて泣いて転がりまわっていることだろうし。


「お前ぇぇ! 許さんぞぉぉぉ! 服を切るだけではなく髪の毛もセットアップしてさらに新しい服もコーディネートしてくれるはぁぁぁぁ!」

「えっ!? それ怒ってるの!?」


 髪までセットしてくれるのっていうのは女性にとってはサービスなんじゃないかな。普通って。わたしはごめんだけど


「枝毛ぇぇぇぇぇぇぇ!」

「ぬぇぇぇぇぇぇぇ!?」


 奇声を上げながら火傷を負っているとは思えないほどの速度で鋏を突き出してきた。雷化イカズチカを纏っているわたしだからこそ避けれたけど今までより鋏を繰り出してくるのが今までより段違いで速いんですけど!


「ちょ! お前! 服しか狙わないんじゃなかったの!」

「何を言っている? 俺が狙ったのは貴様の髪の枝毛だ」


 そう言い変質者ジャックがこちらに掲げてきた鋏からハラリと銀の髪が落ちた。躱したと思ったけど完璧じゃなかったのか。


「次はヘアセットだぁぁぁぁぁ!」

「されてたまるか!」


 怪我をしているとは思えない速度で突っ込んでくる変質者ジャックをわたしは再び魔方陣に魔力を流し込み雷化イカズチカの効果時間を伸ばした後に迎撃する。

 変質者ジャックの動きが明らかにさっきより速い! あと目がやばい!

 雷化イカズチカしていなかったら全く見えなかっただろう。さっきの腕を掴んでの魔方を叩き込むという方法はもう使えなさそうだ。

 いや、むしろ少しずつ髪が切られてハラハラと落ちてるから押され始めてる。

 仕方ない。また使ってないやつを……


雷化第二解放イカズチカセカンドリリース


 ボソリと呟くと今までは蒼い雷がパチパチ言っていたのが徐々に色が変わり始めていた。


「お前、今度はなにを……」

「さぁ?」


 とりあえずまた試すしかないし軽く飛んで見てもさっきとあんまり変わらない気がするし。しいて言うなら蒼い雷が黒い雷に変わっているということくらいだし。


「カットします!」


 こちらの考えてることなど知らず変質者ジャックは再びわたしの髪目掛けて鋏を振り下ろしてきた。

 これもさっきと同じで見える。なにが変わったんだ? わかんない。

 振り下ろされた鋏を躱そうとするため変質者ジャックの右腕をはたこうとした時に気付いた。この黒い雷の魔力密度が今まで纏っていた蒼い雷の魔力密度が全く違うことに。


 バッゴキィィィン!


 雷魔法が炸裂したような音と骨が砕けた時の音が聞こえた気がした。音のした方を見るとわたしがはたいた変質者ジャックの右手首があらぬ方向に曲がっていた。

 そうか、第二解放セカンドリリースは魔力密度が上がるのか。


「あ、がぁ!」


 流石に手首が折れた激痛のためか握っていた鋏を手から零れ落ちた。

 ふむ、こちらとしては単純にはたいただけだったんだけどどうやら雷撃のおまけつきだったようだし。唯のはたきが雷魔法ライトニングランスより威力が高いとか明らかにこの古代魔法はおかしい。


「……いや、おかしくないのか」


 読んだ本の古代魔法のコンセプトって『使い魔に守られる魔法使いってダサくない? 近接でもボコれる魔法使いになりましょう!』だったし。昔の人ってよくわからない。


「とりあえず捕縛してから考えよう」


 痛みで悶えうずくまる変質者ジャックにスタスタと近づいて気付いたけどこの人のパンツ一枚の服装はやばいと思うんだよ。今はたぶん脂汗? みたいなのが出て身体テカテカしてるし。


 正直触りたくないです!


「カハネルに任せよう」


 これならわたしは触らずに済むしカハネル達騎士団の功績にもなるし誰も損はしないしね。

 ほら、わたしって優しい魔王様だし。


「隙ありぃぃぃ!」


 うずくまっていた姿勢からどういう手段をとったのかは知らないけど一気に立ち上がり懲りずにというかブレずにというか服を狙ってくるその変態的な執念には頭が下がるんだけど。


「てい」


 雷化イカズチカを纏ってるわたしには無意味というもので迫りくる左手を再び叩き落す。再度炸裂音と鈍い音が耳に入るがわたしはそれだけでは止まらない。腕の骨を折られバランスを崩した変質者ジャックに更に一歩詰めより脚払いを掛けるかのように右足でなぎ払う。

 普通の脚払いならば軽く姿勢を崩す程度だったのだろう。普通だったのなら……

 しかし、わたしが放った脚払いは近接に特化したと言わんばかりの魔法、雷化イカズチカを纏った脚払いだった。

 脚を振りぬいた時には変質者ジャックの体は凄まじい速度二転三転と宙を踊るように回る。


「そうか、雷化イカズチカの状態で近接戦をすると加減が……」


 学校で習った護身術の応用でやったから手加減してないや。

 とりあえずあのまま回転して地面に落ちたら下手らしたら死にそうだし。


「縛鎖」


 宙で踊る変質者ジャックに手を向け短く呟く。わたしの掌から紫の輝きを放つ鎖が放たれる。その鎖は高速で回転する変質者ジャックの両腕と両足に巻きつき強制的に回転を止めた。それと同時に変質者ジャックの身体中から色々と危ない感じの音が響いてた。


「捕獲完了〜」


 縛鎖によって無理やり地面に叩きつけられた変質者ジャックはすでに身動き一つ取らずに白目を向いていた。


「はい、カハネル。お手柄だね」

「え、ええ。相変わらず人外ですわね。貴女」


 引きつった笑みを浮かべたながらさらりと失礼なことを言ってくるカハネルに変質者ジャックの後始末を任せるとわたしは気を失ったままのマーテを拾い上げ浮遊図書館への帰路に着くのだった。


 切り裂き魔→変態だったね。

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