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浮遊図書館の魔王様  作者: るーるー
切り裂き魔編
101/135

第92話 街で噂の話を聞きました

 


 ようやく大きくなった浮遊図書館に各自が慣れ始めてきた陽気な昼頃の話。


「レクレ様、最近街で噂になってる切り裂き魔の話知ってる?」

「切り裂き魔?」


 リビングで全員で食事をとっている時(浮遊図書館では基本みんなでご飯を食べる。一人ってさびしいじゃん?)マーテが尋ねて来た。

 わたしは古代魔法の本を読みながら食べていた食事を中断しマーテに聞き返した。

 はて聞いたことがないな。


「マーテよ、そやつがそんな噂を知るわけもないじゃろ? 引きこもりの本の虫じゃぞ?」


 鼻で笑いながらベアトリスが告げる。いや、確かに浮遊図書館からはあんまりでないけどね。


「ああ、私も聞いたことありますわ」

「友達の少ないカハネルでも知ってるだと……」

「貴女喧嘩売ってますの?」


 ジト目でこちらを睨んでくるが無視。


「ユールはなにか知ってるの?」

「そうですね。街でそのような事件が多発しているというのは騎士団のほうからも報告が上がって来ています。幸いにも死傷者はいないようですが」


 連続傷害事件というやつか。でも死傷者がいないというのは?


「怪我人いないならその切り裂き魔はなに切ってるの?」

「聞いた話じゃと色々切っとるたいじゃな」


 一つの物を切るみたいじゃないようだ。


「……私は髪留めのゴムを切られたと聞きました」

「わしはぶらじゃーのホック?というのかそこを切られたと聞いたぞ?」

「オレはパンツ切られたって聞いたぞ!」

「服のボタンだけ切り裂いたという情報も上がってましたね」

「えっとね? ハゲにされたって聞いたよ?」


 みんながみんな自分の知ってる情報を言ってくれるがそれらを総合すると、


「ただの変態じゃん」


 もう変態としか呼べないだろう。ほかに呼び名がない。


「被害者には心のケアが必要ですね」


 何故か鼻息を荒げながら握りこぶしを作るスペラさん。この子は暴走スタンビート後あたりから盲目的なまでにボランティアみたいなのをしてる。この子も別の意味で変態だろう。


「サーニャはなにか知らない? 切り裂き魔のこと」


 幸せそうにマーテの作った食事を食べていた我が浮遊図書館司書主任に尋ねてみた。彼女はこの城に住んでいるわけではなく通いで来てるからみんなより噂とか知ってそうだしね。

 声をかけられたサーニャは慌てて飲み込もうとするが喉に詰まったのか真っ青になりながら苦しそうな声を上げる。

 アルが慌てたようにみずの入ったコップを渡すと一気に飲み込み、ゼイゼィと息を荒らげた。


「大丈夫?」

「だ、だいじょぶです」


 よほど苦しかったのか顔が涙とかでぐちゃぐちゃだ。

 顔をゴシゴシと拭きながら少し落ち着いたのかサーニャはコホンと咳払いする。


「切り裂き魔ですが私も聞いてる噂はみなさんが話してるような噂しか知りません。ただ、事件が起こり始めたのが今、ライブラリでも有名になってる店が出来てからというのを噂で聞いたことがあります」

「有名になってる店?」


 そんなのがあったんだ。引きこもりすぎるというのも、なかなかに問題だ。流行についていけない。


「今度外を観察できる魔法を作ろう」

「その前に外に出なさいな」


 カハネルに呆れたような声を出された。

 誰でも楽したいじゃない?


「まぁ、魔王様はもう少し外に出たほうがいいと思いますよ」


 サーニャは苦笑しながらも話を続ける。


「あとはライブラリ全体で奇抜な髪型流行ってますね」

「奇抜な髪型?」

「あ、マーテみたよ! すごいいろんな色混ぜたみたいは髪の色をしてる人とかすっごい髪型した人とか!」


 ぴょんぴょん飛びはねたり手を一生懸命振って説明するマーテを見ていると微笑ましくなる。ただ、椅子の上で飛び跳ねるのは辞めよう。危ないから。


「マーテちゃんの言うように変な人が増えてます」

「それも切り裂き魔が現れてから?」

「はい、奇抜な髪型をする人はどうも切り裂き魔の被害者が多いという噂もありますがわかりません」


 言い終えると再び幸せそうな表情を浮かべながらサーニャは食事を再開する。

 そんなサーニャをユールがすごい目で見つめていた。サーニャ自身は全く気付いてないが、


「ユールどうしたの?」

「いえ、そこまで噂収集できるのも才能かと思いまして、サーニャさんを諜報部に使えないかと」


 働き者がいてくれてわたしは助かるよ。しかし、切り裂き魔か。どんな奴なんだろう。興味がわくね。

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