プロローグ
始めて小説を書きます。見てくれると嬉しいです。
『「取り合えずさ、あんたは誰?」
手始めにそう聞いた。
私ははじめ、状況を把握できなかった。時計は調度夜の9時を指していて、布団に入ろうとしたのだ。因みに、この部屋の窓は閉まっているし、そもそもここは二階、人が簡単に窓から侵入できる訳がない。そんなことが出来るのは、【魔法使い】か、【超能力者】だけだろう。
その条件があるなか、今目の前にいる、大体20歳位の男の登場した瞬間は、まさに【魔法使い】を彷彿とさせる服装。そして、何もない空間から、まるで空気から生まれたように登場した。
そして…』
……
「あのね…僕との出会いを小説の中で妄想、兼ネタにするのはどうかと思うよ。」
「うわあっ!?」
机で必死に作業している私に、龍摩が後ろから話しかけるものだから、驚きで、先程までキーボードを打っていた手元が狂い、画面に『すはわ、な?た!ちあ』という字が表示される。パソコンの近くに無糖のコーヒーがはいっていたが、幸いこぼれることはなかった。
「脅かさないで下さいよ…龍摩。」
誤爆を消去しながら、小説に登場する【魔法使い】のモデルである彼――龍摩に、返事をした。
「あのな~刃永。新人賞の投稿まであと何ヵ月あると思ってんだよ。」
「できるだけ速く執筆済ませちゃった方が、後で楽なんですよ。」
「大体、これの主人公モデルってお前だよな。なんか、実際に出会った時と雰囲気違うよな…」
「この小説はノンフィクションじゃあないんすよ!!少しモデルにしただけ!」
「はいはい」
…こいつは!
小説が昔から好きな私は、高校でも文芸部所属で、小説執筆が趣味、数ヵ月後の、雑誌の新人賞に載るため、最近目蓋が重いが、なんとかなるだろう。
にしても。
たしかに、小説と現実ではかなり話が違っている。これは事実だ。
まず、出会った場所は外だし、真っ昼間だし、服装も特に目立たない服装だ。眼鏡に、黒髪に、ストライプ模様の黒いスーツ、最初、キャッチセールスか何かだと思った。たしか、突然「やあ」って、挨拶をされた気がする。変な質問をマシンガンのように問いかけて、金を請求するんだ。そんなことを、彼の目を見て考えているなか、暫く沈黙が続いた。第三者がいたら、修羅場だと勘違いするだろう。
沈黙を破いたのは、龍摩だった。
「自分を犠牲にして、家族を、世界を救ってみないかい?君にとって天職だと思うよ。」
そう、笑顔で言われた。
出会ったときの第一印象が【変質者】なのは言うまでもない。
まあ、それから色々あって、まあ、色々あったんだけどね。
「ところでさ、龍摩がここに来たって言うことは、【サバト】発見したのですか?」
龍摩に聞く、にしても、いちいち敬語で話すのはかなり疲れる。
仕方がない、これでも【上司】だから
「正解。執筆邪魔しちゃった?」
「今更ですか…サバト、了解しました。」
「宜しい、今日は僕は着いてないから、一人で倒してね。」
「ええ…」
「大丈夫だよ!刃永は魔力保存も上手くなったし、平均能力差も高くなってる。」
「大丈夫ですかね、私だけで。」
不安が胸から沸いてくる。今まで、龍摩がついているからサバトは簡単に倒せた、でも、今日は違う。一人でサバトを――大勢の黒魔術師を討伐するんだ。龍摩は、大丈夫だ、と首をブンブン縦に振っている。
「はあ、了解です。死なない程度に頑張ります。」
「おう!いってらっしゃい。」
自転車で約5分と、かなり近い場所だった。古い神社?そこに黒装束の人間が火を囲んで何かを唱えている。
サバトだ――
右手に持つ杖と、左手に持つ長刀に力を込める。すると、赤く光った杖が一瞬で短刀に変化し、長刀は刄の部分が青く燃え上がる。あちらは私のことに気付いたらしく。「誰だ!?」とリーダーらしき一人の黒魔術師がこちらに問う。
やっぱり少し怖い。
でも、使命だから、死にたくても死ねないリスクを背負って、覚悟を決めたからには…勝って、生き残るしかない。
「私は刃永琴ノ!あんたらの敵の【白魔術師】だ。大人しく死ね!!」
だって私は、白魔術師だから
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