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よく考えたらもっと上手く切り抜けられた件

お気に入り件数がすごいことになっててびっくらこきました!


ランキングを見てジャンヌみたいにヒィィィってなりました。



皆さまありがとうございます。

輝来殿下の無茶振りにイラッとしつつも王子からの無言の圧力に渋々口を開く。


「この儀式は、天皇家の男子と巫女が狩絹と千速の上に三枚の着物を羽織り、三種類の舞いを踊ります。一つの舞いを踊る度に一枚ずつ着物を互いに脱がせて行き、互いに狩絹と千速になったところで男子の左手と巫女の右手を組み合わせた間に剣を挟め、二人でそれを引き抜きます。互いの手から流れ落ちる血を絡め合わせて床に滴を落とし、それが鳳凰の形をとればそこから神、鳳凰のどちらかが現れて神降ろしとなります。」


とりあえずザックリ説明してみた。そろっと周りの顔を見回すと王子の所で視線が止まる。


「と言うことは、服を互いに脱がせ合うと言うことが性的な意味を持つと?」


うっすらと微笑んだ王子が問いかけるのだが何故だろう彼の後ろに雪が降っているかのような冷たさが感じられる。


「はっはっは。着物を脱がし合い、てを取り合って血を流すのもそうだが、その過程で起こることがそれらいしのだ。ダメだろうジャンヌ、そこをちゃんと詳しく教えてやらねば、当日彼にその場を見られて困るのは君だ。」


くっ!やめろこの18禁皇子め!なんでもかんでもホイホイと私に振りやがって!

ほら見ろ!王子が私を物凄く笑顔で見つめて話の続きを催促してるだろ。っていうか、王子の後ろの雪がブリザードに変わってしまった。こちらまで冷気が伝わってきて物凄く寒気がする。クッと王子が顎を動かし話せと訴えてくる。


「………っその………聞いた話なのですが…手を切って血を混ぜ合わせている間は……………その、非常に性的興奮を覚えるらしく、血が流れて鳳凰の画が書き上がるまでそれは続くらしく、画が書き上がると今度はとたんにそれが痛みに代わるらしいのです。しかもその痛みはほぼ巫女だけが受け、その痛みを解すために男性は気を巫女に送り、その痛みを乗り越えれば神が降臨されるのです。」


王子から発せられる怒気なのか冷気なのか解らないプレッシャーに押し潰されそうになりながらぼそぼそと下を向き話すと、王妃様とファティマ様が興味深そうに訪ねてくる。


「まあ、なんだか女性の出産みたいねぇ…どう思うファティマちゃん?」


「そうですね。話の流れからすると正に出産のようですわ。」


二人が会話をすると輝来殿下が頷きながらそれを肯定する。


「流石にご出産を経験されているお二方はご理解が早い。そうです、この儀式は男と女が舞のなかで出会い、心を通わせ、血の契りを交わすことで擬似的に巫女を孕ませ、神を産み出すのです。神は現世に肉体を持ちません。神の力を振るうには皇族を媒介として力を振るうか、それ以上の力を振るうには神自体を現世に出現させるために血肉を用意しそこに憑依させる方法が有ります。そしてこの儀式はその後者にあたる。」


「と言うことは、ジャンヌちゃんは擬似的に出産を経験すると言うことになるの?」


「そうです、ジャンヌは私とジャンヌとの血を混ぜた神と言う名の子を産む痛みに耐えねばならないのです。」


輝来殿下がサラッと言い切れば、王子がバァンと机を叩き立ち上がる。


「そんなこと、この僕が許すわけないだろう!」


「許すも許さないも、これは神託だ。神託を覆すことは出来ない。ジャンヌは我が国の巫女だ。我々皇族と巫女は神託に逆らうことは許されない。それに、私とジャンヌが直接体を繋げる訳ではないし、ジャンヌの腹から子が出て来るわけでもない。」


「それでも、僕は許せないしジャンヌが擬似的にとはいえ貴方との子供を産むなど耐えられない!」


王子達が互いの意見を主張して睨み合う。私は激しく口論し合う二人にどうすればいいのか分からずただ、おろおろとするしかなかった。


「ジャンヌ、ジャンヌは擬似とはいえ僕以外の男と睦み合い子供を産むなど嫌だよな!」


「えっ!」


ええっ?!何て答えればいいの?確かに卑猥な意味で考えてしまえば嫌かもしれないが、これはネホンに伝わる伝統的な神事だし、神様から私を指名されては替えようがないし、でも王子が私の事をそれだけ大事思ってくれてるのは凄く伝わってくるから、出来ることなら王子には嫌な思いをさせたくないし…………ううう。どうしたらいいの?


「アレク、あまりジャンヌちゃんを困らせるんじゃないの。ジャンヌちゃん、泣きそうになっているじゃない。これはあくまで神事なのでしょう?」


「そうです、これは神から仰せつかった神事。必ずやらねばならないのです。……………それにこの神事は本来、神から神託が降りてやる神事ではない。アレクサンドル殿下、シノが双血点画神生の儀を行えと言った時に臣下がざわついただろう?この儀式は、我ら人が神の力を借りるため命懸けで行う儀式なのだ。」


「なっ……命懸けだと?!」


「まあ、そう慌てるな。確かにこの儀式は命懸けの儀式だ。だが、女性の出産も命懸けだろう?我ら人から行う儀式の場合は命懸けだが、逆に言えば神からの神託が降りてやる儀式は確かに痛みを伴うが命の安全は保証される。」


「…………どういうことだ?」


王子に睨むように問われた輝来殿下はニコリと笑って私を見る。………ああ、結果を言えってことですね。


「要は、私が将来妊娠して出産をするときは必ず安産だと言うことです。神からこの儀式をさせるときには必ず安全に出産出来る人物を舞手に選びます。今、この国に居る巫女は私と母だけ。そして、指名されたのは私。母は出産を経験して居るのに指名されなかった。と言うことは、母はこの儀式には耐えられないと言うこと…………命を落とす可能性があるのです。」


「んー…それは、ジャンヌちゃんのお母様はもう無事に赤ちゃんを産めるような体ではなくて、逆にジャンヌちゃんは神様から指名されるくらい安産な体だから、将来アレクとの間に産まれるであろう子供も安全に産めるってことかしら?」


王妃様がニコリと笑って問いかけてくる。確かにそうなのだがア、ア、ア、ア、ア、ア、アルとのこっ子供ッテ!!!!!!

私は急に恥ずかしくなり顔を赤くしながらコクリと頷いた。


「しかも、それだけじゃない神の加護付きだ。ジャンヌの腹から産まれた子供は健やかに育つぞ?」


輝来殿下がニヤリと笑って王子を流し見る。王子は物凄く…もんのすんごーーーーーーーーーーーく不快感を露に、苦虫を噛み潰したような顔をして立ち上がると私の所にやって来てギュギューーーっと私を抱き締めた。


「……それでも僕は…」


切ない声で私の頭に頬を寄せ抱き締める腕に力を入れる。


王子、王子。私を思って抱き締めてくれるのは物凄く嬉しいのですが、いかんせん絞まりすぎです。私は貴方のジャンヌですが断じて熊のヌイグルミではありません。そのように抱き締められますと本当に物言わぬ人形(死体)になってしまいそうです。

首筋を後ろから抱き締められているため声も出せないし、表情で訴えることも出来ません。必死に王子の手をタップしているのですが、安心させるためにたたいているようにしか取っていただけないのでしょう。


清楚っぽく回想してましたが、冗談抜きでヤバイ…視界がぼやけてきた!っていうか、机の反対側に居る人ら気付いてよ!


あ!この間の死神がやって来ました"今度こそ仕事がデッキるぅ~"とスキップしながら鎌を振り上げてやがる。


あ。もうダメだ………。



「アレクサンドル殿下、ジャンヌが大切なのは解りましたが、そろそろジャンヌを離してくれないかな?儀式で死ななくても今、死にそうだ。」


輝来殿下がニコッと笑いながら私を指差す。

殿下の背後に『こいつらおんもしろぉー(笑)』と文字が見える。


「えっ!あっ、すまないジャンヌ!!大丈夫かっ?!」


「…………っはっ!はっ、はっ、はぁ~……………大丈夫です。」


王子が慌てて私を解放してくれたお陰で九死に一生を得ました。良かった…………。

鎌を振り上げた死神がガッカリして鎌を投げ捨てて、皇子に向かって中指を立てて何やら罵っておりますが、皇子の流し目がキッと細められた瞬間、脱兎の如く逃げたして行きましたよ。…………皇子、死神が見えるんですか………?


「アレク、ここはいい方に考えましょう?どちらにせよジャンヌちゃんと殿下がやらなければならないのでしょ?余りしつこい男の嫉妬は醜いわよ。」


王妃様に諭され、王子は下唇を噛み無言で頷いた。



しばらく室内に沈黙が落ちたがおもむろに国王陛下が口を開く。


「………ところで、先程の神の力を振るうとはどの様なことなのだ?我が国に被害をもたらすことは無いのだろうな?」


「神の力ですか…。まあ、大まかに言えば天変地異でしょうか。火山の噴火の流れを変えたり、雨が続いたり大雪で民が太陽を求めれば太陽を出現させたり、津波を蒸発させたり………でしょうか。私はネホンで神からこの国へ向かうようにと神託を受けました。護衛も最小の人数でと…。ただ、なぜこの国に向かうのか理由は解りませんでした。私は次期天皇となる第一皇子です。おいそれと国を出ることなどもっての他だと言うのに………。それでもこの国へ来なければなかなかったのには何らかの理由が有る筈です。そして、今回の神託……神が何をしようとしているのかはまだ解りませんが間違いなくこの国に災いをもたらすことは有りません。神は我々をよい方向へ導く存在。それだけは私のこの命に替えましても保証いたします。」


輝来殿下が真っ直ぐに国王陛下を見据えて言えば、陛下はしばらく目を瞑った後、ゆっくりと頷いた。


「分かった。では5日後の式典時にその儀式を行うことを許可する。だか、もし万が一我が国に何らかの災いが降りかかるようなことがあれば輝来皇子のその命をもって償って頂く。」


陛下が輝来殿下に儀式の許可を出すと、殿下はゆっくりと微笑んで頭を下げた。



それから、儀式の行うに当たって必要な物品の準備と会場設営などの打ち合わせを行いその場は解散となった。


私は王子と連れ立って母達が居る部屋へ向かおうと廊下に出たのだが、輝来殿下が私達二人をそっと呼び止めた。


「先ほどは怒らせるような言い方をしてすまなかったな。」


「……いえ……僕も少し大人げなかったと反省しています。」


「いや、殿下はまだ18歳だろう?それにしては大分大人びていると思う。………まぁ、詫びと言っては何だが、ひとつ良いことを教えよう。双血点画神生の儀をするものは三日前から禊に入る。禊に入れば体に穢れを入れてはならない。………だが、逆に言えば三日前までは好きなだけデきると言うわけだ!」


はぁ?!何を言ってやがるんだこの皇子はっ!!!!!

私が言葉を発する前に懐をゴソゴソと漁る皇子。


「………そしてここにこんなものがある!」


ババーンと皇子が得意気に懐から出したのは一冊の本。ネホン語で書かれた文字の下に皇子直筆のクロスクロウ語訳が書いてある。タイトルは…………"マンネリ防止にはコレ!あんな衣装やこんな衣装でなりきりプレイ!!~私は貴方のペットだにゃん!~"


………………………


…………………


ななななんてモノを懐から出しやがるんだこの皇子はっ!っていうか、懐に入れていたってことはさっきの食事会の時も、神託の時も、果ては陛下に命を懸けて~なんて言ってたときも懐にエロ本を忍ばせてたってことか!!!本当に録でもない18禁皇子だっ!


こんなものを王子に見せたら王子の教育に良くない!

と慌てて本を没収しようと手を伸ばしたのだが、リーチの長い王子に取られてしまった。


「ちょっ!アルそんなもの見ちゃいけません!」


「はっはっは!いやー。せっかくネホンから本を持ってきたのだがクロスクロウ語に訳すのに時間がかかってな!渡すのが遅くなってしまった!先日渡した本も気に入ってくれたようだから、禊まで後二日、十分に活用してくれ!」


皇子がパァァァァアッっという効果音付の笑顔で握り拳を作り親指を人差し指と中指の間から出す。

ぎゃーっ何をやってるんだー!!!!!


「……………実に興味深い本ですね。ありがとうございます。では、早速ジャンヌの母君の容態を確認しましたら活用させていただきます。」


え?え?何を言ってるの王子!そんなもの活用しなくて結構ですヨ?!そんなキラキラした目で私をみてもやりませんからね?


「私的には12ページの下女と王子の禁断プレイ~なんておすすめだ。じゃあ、私は部屋に戻る。2日後の禊で会おう!」


ちょっ!待て!颯爽と帰っていくな18禁皇子!!!この卑猥な本をもって帰れ!………って王子が私の腰をガッチリホールドしている。先程まで不機嫌な顔をしていたのに、今の顔はニッコニッコと音が聞こえそうな笑顔だ。


「ジャンヌ、母君の容態を確認したら僕達も直ぐに部屋に戻ろう。」


あ、戻ろう?の疑問系出なく戻ろう。の決定系なんですね。


っていうか、腰をホールドって言うより腰を抱えてますね、足が浮いてるもん。ダメだこりゃ逃げられない。






それから二日間はひたすら18禁皇子を呪いつつ、部屋から出して貰おうと王子にあの手この手で懇願したのだった。











次はいよいよ儀式です。


お楽しみに!

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