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第65話 快復への道のり

天和たちの処分を決めてからほぼ半月が経った。はじめ、天和はほぼ水晶専属だったけれど、今は水晶もかなり快復したようで城下の病人を診るゆとりもできていた。その過程にはかなりのリスクがあったけれど、“医者”という特別な技術を持った人を仲間にできたのは本当に価値があったと実感できた。


「それにしても、昼間眠らずに一日過ごせるというのはこれほどすばらしいことなのですね……。」


水晶のそのつぶやきは俺にとってかなり衝撃的なものだった。確かに水晶は政務が終われば昼間でも寝ていることが多かったけど、それは起きているとき常に頭を使っているから効率を重視しているのだろうと思っていた。しかし、そうではなく純粋に体調が良くないから寝ないと保たない、ということだったらしい。


「天和を仲間にした甲斐があって何よりだよ……。ちょっと俺外見てくるね。」


「かしこまりました。お気をつけて。」


外、といっても向かう先は天和たちのいるところ。水晶の状態について改めて聞いておかなくては、と思った。


天和たちはちょうど休憩時間だったようで、他の人を入れずに話をすることができた。


「水晶さんの状態、ですか。水晶さんの許可が無いので細かいことまでは言えませんが、一刀さんに話せることなら。」


「やっぱり守秘義務あるのか……。最初に診たときの状態についてと、昼間水晶が寝ていたのは純粋に体調が悪いせいだったのか、ってこと。」


「病気のことは本人にとって最も個人的な事情の一つですし、当たり前でしょう。


最初診たときの状態ははっきり言ってとても悪かったです。下?からここまで旅をしたり、戦に従軍したなんていうのは私のこれまでの経験からは考えられませんでした。常人であればだるくて一日中寝ていなければ身体が保たないはずでした。あれだけ政務をこなすのは奇跡にも等しいです。


昼間から寝るのはもちろん体調のせいです。まさか気づいていなかったのですか!?」


「お恥ずかしながら……。」


「あのですね……。病気というのは多種多様です。高熱が出たり下痢や嘔吐のようなわかりやすいものがなくても病気で動けない人はいるのです。


水晶さんは下邳からここまで移動したり、戦に従軍できたりしているので健常者と同じように扱ってしまう気持ちはわからなくもないですが、これからも“病み上がり”であることに代わりはありませんから、水晶さんのためにもしっかり認識してあげてください。」


俺自身、病気なんて風邪や胃腸炎、あるいはインフルエンザが精々で、いままで骨折すらせずにここまで生きてきたし、俺の周囲にも病人といえるような人はいなかったから、正直言って病人と相対するやり方も、認識も何もかも初めてで、だからこそ甘さがあったのだろうと思う。それでも、確かに桁外れの天才だとしても、水晶が“病人”だということを改めて自分の中で理解しなければ。



「わかった。それで、最後の質問。水晶はどのくらいで治る?」


「正直、期間は見通せません。一生何らかの調整は必要になるかもしれませんし、逆に数ヶ月で治ってしまうかもしれません。昆布が好きな方だったりするとそれを止めるのが鍵になったりするのですが、水晶さんはそんなこともないですし……。」


「昆布?」


「はい。昆布に含まれている何らかの栄養が、一部の病気の人の身体に良くないようなのです。水晶さんについては私が継続的に診ていきますのでそこまで心配しなくても大丈夫ですから、この世界を平和にするためにこれからもよろしくお願いします。」



昆布なんて健康にいいものだと思っていたけど、意外とそうでもないところもあるのだろうか。初めて聞く話だった。いずれにせよ天和がずっとフォローしてくれるなら安心だろう。


「それに関してはもう頑張るしかないから、これからも一つ一つ積み上げていくだけだよ。最短距離かそれに近いところを進んでいるとは思うけど、まだ先は見通せないことも多い。」


「そうですね……。」


「ありがとう。また来るよ。」


「いつでもお待ちしています。とはいえ病気にはできればならないでくださいね。」


「善処する。」


治すことはもちろんできるけど、それでも病気になんてできるならかからないほうがいい、ということなのだろう。


天和のところで話をしていたらお昼にだいぶ近づいていた。今日は一人だし、この間から気になっていた超高級店にでも行ってみるか……。予約なしだけど大丈夫だろうか。









※補足


昆布は「ヨウ素」(ヨード)というミネラルの含有量が飛び抜けて多いことが知られています。甲状腺疾患を持つ人はヨウ素を制限する必要があったりします。

毎度毎度お待たせしてその上短くて申し訳ないです・・・。


全然どうでもいい話なんですがこの間ふと思ったこと。恋姫の世界って男女同権、あるいは女性優位の社会なんでしょうか・・・? さすがに拙作中でその話は扱えないでしょうが・・・。

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