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チートでチートな三国志・そして恋姫†無双。の残骸  作者: 山縣 理明
第4章  群雄の動向~袁紹・曹操・孫堅~
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第43話 孫権×周瑜(1)

孫堅軍の本拠地、秣陵。後の建業、南京である。そこの居城の一室で孫権・孫尚香・周瑜が話をしていた。というより、孫権と周瑜が揉めていた。



「お姉ちゃん! それに冥稟も、残った二人がケンカしてちゃダメでしょ!」


「シャオは黙っていなさい。」


「失礼ながら、小蓮様はこの部屋から出て頂きたい。」


「む……。フン! いいもん!」


そう言うと、肩を怒らせ孫尚香は部屋から出て行った。残るは孫権と周瑜のみ。


「……。で、蓮華様、何故あのような真似をしたのです?」



周瑜は”たかが一家臣”に対して”土下座”をした孫権の真意をはかりかねていた。


「その前に……。どうして行ってくれなかった!?」


孫権は怒鳴った。そう、孫権は土下座してまで”参戦”をお願いしていたのだった。


「たとえ相手が主君であろうと、義姉妹の契りを交わした雪蓮であろうと、”間違っている”のならば職を賭してでも正すのが臣下の役目だと私は思っておりますので。そのことは蓮華様もおわかりでは?」


「だが……。だが……。母様や姉様にもしもの事があっては……。」


「祭殿が居ます。もし祭殿が居なかったのならば、私も参戦していたでしょう。敗戦は必至ですが。」


「だが祭は……。」


「そもそもは反対でしたよ。私が説得して参戦してもらうことにしました。」


周瑜がそう言うと、孫権は笑った。


「ふふふっ。いや、すまない。ふふふ。」


「何がおかしいのです?」


「冥稟のほうが私より一枚上手だったのかと思ってな。当たり前の話ではあるんだが。ふふふっ。」


「だから、何がおかしいのです?」


「取り越し苦労だったのかと思ったんだよ。ふふふっ。」


その言葉とさっきまでの剣幕で周瑜は理解した。無茶な戦に行った母と姉のことが心配でたまらず、自分(周瑜)が居るのならばそういう事態になっても何とかしてくれるだろうから参戦して欲しかったのだ……と。


同時に周瑜は思った。


”貴女は、優しすぎるのです”


と。


豪胆で勝ち気な母親、孫堅。その性格をそっくりそのまま受け継ぎ、表面上は厳しく育てられながらも、実際は最も可愛がられている姉、孫策。まだ幼いながらも母親や長女と同じように勝ち気な末の娘、孫尚香。その 2人の間に生まれた次女、孫権だけが慎重で、言い方を変えれば少し臆病だった。それでも誰よりも皆の命を心配していることが周瑜には伝わってきていた。


そのことを差し引いても周瑜はまだ納得できていなかった。”土下座”の件である。


「で、蓮華様。なぜあのような真似をしたのです?」


周瑜は怒っていた。ただでさえ母親の孫堅と長女の孫策には孫権のことを軽んじる雰囲気がある。それを増長させるだけとしか思えなかったためである。


「……。”旗本四天王”などと言われる能無し共が居るからだ。祭は別だが。」


”旗本四天王”


黄蓋・程普・韓当・祖茂そもという、孫家股肱の臣である四将が自分たちのことをそう称しているのであった。正確には”三将”である。唯一、黄蓋(祭)だけはその呼び名をあまり好いてはいないのであった。



「能無し……。蓮華様、少々口が過ぎるのでは……? それに、それと何の関係が……?」


「基本的にお前の言うことを聞かない連中なのだから”能無し”と言って差し支えないだろう。粋玲(程普)と梨晏(韓当)だよ。」


「粋玲(程普)殿と梨晏(韓当)殿……? それが何か……?」


「あんな連中に”殿”などという敬称をつける必要はない。少なくとも連中が居ない所では。」


なぜか孫権はこの 3人のことを毛嫌いしているのだった。なぜなのかを周瑜が聞く機会はなかったのだが。


「蓮華様、何故あの 3人のことを嫌っているのです? そして、それと何の関係が……?」


「お前の言うことを聞かない馬鹿共だからだ。馬鹿共は揃って戦争大賛成。それで何が”参謀”なのか笑わせる。が、お前は真っ向から大反対。これで失敗したらどうなる? 連中の立場は無くなるぞ。」


「蓮華様……。」


それを聞いた周瑜は思わず涙を流していた。ここまで大局を見ることのできる孫権に感動したのだ。


「……。結果は見えているが、我らに重要なのはこの先だ。冥稟、我らが天下に覇を唱えるにあたって、最大の敵になると考えるのはどこだ?」


「劉備です。」


「何!?」


孫権にとって重要なことは、この敗戦によって荒れるであろう揚州を再度平定したのち、”覇”を唱えるにあたっての敵であった。袁紹・公孫瓚・袁術・・・大陸中に数多居る群雄の中でも、強大な群雄は多くない。が、返ってきた答えは”劉備”であった。聞こえてくる武勇はあれど、劉備は北海という小さな地の太守にすぎないのだ。即答であったことに驚きを隠せない孫権であった。


「何故だ?」


「その前に蓮華様、一つ無礼な問いをしてもよろしいでしょうか?」


「構わない。」


「蓮華様から”覇”という言葉が聞こえるというのは、正直に申し上げて意外です。どういう意図なのですか?」


周瑜がそう言うと、孫権は笑った。


「”らしくない”か?」


「いえ……。そこまでは……。ただ、先ほど申し上げたとおり意外ではあります。」


母親の孫堅や姉の孫策からは領土拡大、いかに版図を広げるかという考えだけが、孫権からは領土の安定を、平穏を、平和を願う思いが周瑜には伝わってきていた。故に、母親の孫堅や姉の孫策からは孫権のことを”臆病”だと思われる要因になっている……と。だからこそ、その孫権から”覇”という言葉が出たのは意外だったのだ。


「……。私は、母様や姉様のように孫家の領土が増え、支配地域が増えることを喜びとは思わないし、思えない。私にとっての喜びは、孫家の将の無事であり、支配地域の平穏、平和。それだけだ。」


「ならばなぜ……?」


「今の世が”乱世”だからだ。群雄割拠の時代だ。弱肉強食。食わねば食われる。ならば……。”先んずれば人を制す” 相手より先に攻め、”覇”を唱えるより他にあるまい?」


「ありがとうございます。」


「どうした? 改まって。」


周瑜には何となく、孫家の未来が見えた思いがした。孫堅、孫策、孫権、 3人の中で誰が最も優れているのか。それが。しかしそれは、何としても防がなければいけない未来でもあった。


「いえ……。話を戻しましょう。劉備が脅威となる理由。それは……。一度も戦争をせずに北海太守に任ぜられているからです。」

ここで切りたかったというだけです。よって短いです。


原作では粋怜(程普)・梨晏(太史慈)ですのでご注意下さい。

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