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チートでチートな三国志・そして恋姫†無双。の残骸  作者: 山縣 理明
第4章  群雄の動向~袁紹・曹操・孫堅~
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第42話 司馬懿vs曹操

再三警告しましたからね。一部、真恋姫原文そのままの箇所があります。

「ここが、司馬懿の家なのか……?」


夏侯惇はあまりの大きさに圧倒されていた。


「“名家”だもの。あら、珍しいわね。自らお出迎えだなんて。」


出てきたのは大柄な女性。夏侯惇は、自分や妹の秋蘭とも互角に戦えそうに思えるほどの威圧感を感じた。


「久しぶりね、桂花。」


「そうね……。私がここに来た目的も分かっているのよね?」


「曹操軍への勧誘?」


「ええ。お願い。私たちを助けて。」


そう言うと深々と頭を下げた荀彧だった。


「桂花!?」


驚いたのは夏侯惇ただ一人。


「荀文若ともあろうお方がずいぶんしおらしくなったものね……。いいわ。ついて行ってあげる。そこで私と問答をする機会をつくって頂戴。勿論、曹操様とね。仕官はそれで決めるわ。いいかしら?」


「勿論よ。ありがとう。」


上手くいきすぎている……荀彧はそんな危惧を抱かずにはいられなかった。


「それと、そこの貴女。名前を聞かせて貰える?」


「私か? 私は夏侯惇。字は元譲だ。以後よろしく頼む。」


「私は司馬懿。字は仲達。よろしくね。」




そうして3人は足早に本拠地の陳留へと戻った。



「華琳様、荀彧ただいま戻りました。」


「おかえり。素晴らしい子たちをたくさん集めてくれたわね。流石よ。で、そちらが司馬懿さん?」


「はい。司馬懿。字は仲達と申します。」


慇懃にそう告げた。食えなそうな奴……それが曹操の見た司馬懿の第一印象だった。


「アナタも仕官希望者なのかしら?」


「いいえ。曹操様に仕える価値があるのなら、お仕えしても良いかと思っております。」


「な……。」


「貴様『仕える価値』とは何事だ! 仕えるために来たのではないのか!?」


「春蘭、黙りなさい。」


絶句する曹操。激高する夏侯惇。それを止める荀彧。


「私は桂花に頼まれたから仕方なく来ただけですよ。」


「面白い。この曹孟徳を試すというのね?」


「ええ。私から聞きたいことはただ一つ。貴方の目指す道です。」


「覇道よ。古の始皇帝、項羽の歩んだ道。それこそ私の歩む道。」


「ほう。しかし私はこうも聞きます。“曹孟徳は誇りを最も大切にする”と。」


「勿論よ。誇りとは、天へと示す己の存在意義。誇り無き人物は例えそれが有能な人物であれ、人としては下品の下品。そのような下郎は我が覇道には必要なし。そういうことよ。」


それを聞いて司馬懿は大笑いした。ここまであっさり引っかかることに感動すら覚えた。文官は皆、顔を青ざめさせた。



「何がおかしい!!」


「いえ、巷で噂の曹操は誇りと覇道が相容れぬことすらわからぬ人物だとわかりましたのでな。このような無能者に私が仕官する価値はありません。」


「貴様ぁ!」


荀彧が止める間もなく、有無を言わず、剣を振り下ろし、司馬懿を殺さんとした夏侯惇の斬撃。しかし、振り下ろした先には曹操が居た。


「華琳様!?」


「この痛みは春蘭、貴方の心の痛み。なんてことないわ。大丈夫よ。でも、どんなに腹が立ってもそれはやっちゃダメ。」



「おーおー。怖い怖い。主君が無能なら配下は猪でしたか。」


そう茶化した司馬懿を睨み、一言。


「私を馬鹿にするのは構わないわ。でも、私の部下を侮辱するのは許さない。」


「ほう。許さないから何だというのです?」


「! まあいいわ。貴方が思う、“誇り”と“覇道”が相容れない理由を聞かせなさい。」


よくぞあの傷で立っていられるものだ……。司馬懿はそんなことを思った。



「ふむ……。一つ例を出しましょうか。」


「例?」


「ええ。今暴れ回っている賊――黄巾賊でしたか――の糧食を見つけたらどうしますか?」


「焼き払うわ。糧食も足りないのに戦に出た曹操軍は、下賤な賊から食糧を強奪して食べました……となるでしょう?」


「それは“覇道”を行う者の行いではないのですよ。私の知る限り、この大陸で覇道を歩んでいるのは劉備ただ一人。劉備ならばためらわず自分たちの糧食とするでしょう。


彼らの論理はこうです。農民が作った作物を賊が強奪して集めたのだから、我々が強奪しても何ら問題無いと。」


「な……。」


「貴方の進む道、それはむしろ“王道”に近い。“覇道”も“誇り”も捨てることです。では、私はこれで。」


もう何も言うことは無い、そう思った司馬懿だった。


「待ちなさい!!!」


「?」


「好き放題言って帰る!? 


そんなことさせないわ!!


私の進む道を指し示し、我が道の手助けをしなさい!!」


曹操の瞳はまさしく燃えていた。司馬懿には、野望を秘めた目に映った。


「いい目をしていますね。いいでしょう。私の案に乗るのならば、手助け致しましょう。」


「案?」


「ええ。“王道”の根本に立ち返り、漢王朝の皇帝を保護するのです。時が満ちたときにね。自らは丞相、大将軍となり、永遠に続く漢王朝の一家臣となる。


こうすれば、例えば涼州の馬騰は従います。他にも従う諸侯は出るでしょう。“皇帝”となるのではなく、一家臣として支えるのです。勿論、皇帝には実権など与えません。」


「いいわ。この国が平和になれば私はそれで。“皇帝”の位に興味は無いしね。」


「そうですか。ならば一家臣として仕えさせて頂きましょう。ただし、劉備軍には気をつけることです。」


「劉備? 確か北海の太守よね?」


「ええ。奴らは皇帝のことなど何とも思っていない。むしろさっさと絶えてほしがっているようにさえ見えます。」


「わかったわ。ありがとう。 疲れたから休むわね。」


そう言うと曹操は寝室へ向かった。さすがに限界だった。



「ずいぶんやってくれましたね。」


「桂薫! 久しぶりね! ええ。このくらいやらないと曹操は正しい道を歩めないわ。これでも控えたつもりよ。」



それから少し日が経ったころ、許褚が村の庇護と引きかえに仕官を希望。無論、曹操は快諾した。


それから数ヶ月後、丁度傷が癒えた頃、徐州牧となった劉備から使者が来た。張郃・趙雲・田豊と名乗った。


「父様! 母様!」


曹操の両親を連れて来たのである。

こうなった全ての原因は11話にあります。


「? ええ。曹操は内政を重視する方針です。それを荀彧は的確な献策で助けております。それに、曹操は”誇り”という妙なものにすさまじい拘りを見せているらしく、なかなか気の合う部下がいないようですね。何か気になることがおありですか?」


ここです。原作沿いにしてしまった結果ですね。


本来の曹操など、詳しくは次の“人物紹介”で語りましょうか。

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