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チートでチートな三国志・そして恋姫†無双。の残骸  作者: 山縣 理明
第3章 北郷たちの旅 新たなる仲間を求めて
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第34話 村人たちの噂話~劉備と曹操~

今話から“警告”の意味が少しずつ分かってくると思います。


「さて、まずは夕食だね。」


「ええ。」


俺たちが宿場とした所は、昼間の食事処、夜の酒場も兼ねている。つまり、三食をここでとればそれだけでかなりの情報収集ができるはずだ。1階の食事処へ降りると、女将さんがこちらへ近づいてきた。


「ずいぶんゆっくりしていたようだけど、部屋はどうだい? ここに数日泊まるみたいだね。治安は良いからゆっくりしていきな!」


「ありがとうございます。居心地の良い部屋です。ところで……。治安が良いというのはここが曹操領だからですか?」


福莱が遠慮がちに問いかけると、酒を飲んでいる男たちが笑い出した。


「いや、今夜は良い酒が飲めるな。『ここが曹操領だからですか?』最高の質問だぜ」


「おい許褚きょちょちゃん。『私が居るからです!』って言ってやれ!」


「そ、そんなこと言えないですよう……。」


男たちは笑いながら、俺たちの前に一人の少女を連れて来た。女将さんは呆れたような表情だ。


「季衣、挨拶したら給仕に戻りな!」


「はい! 許褚。字は仲康ちゅうこうと申します。よろしくお願いします。」


「あ、ああ……。よろしく。俺は及川、及川佑だ。彼女は元姫、王元姫おうげんきだよ。」


福莱と甄はともかく、愛紗の名“関羽”を名乗れば騒ぎになることは目に見えていた。だから、宿を取るときに偽名を名乗ることにしたのだ。公の場ではそう名乗り、呼び合うときには真名を使う。そうすれば問題無い。


「王元姫だ。よろしく頼む。」


「私は石韜せきとう。字は広元です。」


王元姫。魏の重鎮、王粛の娘だ。王粛は「男なりせば……」つまり、男だったならば出世したろう……、と嘆いたとまで言われる人物である。偽名にはピッタリだろう。“元姫”は本名だし。


石韜。確か、潁川出身で諸葛亮の学友だった人物だ。


「私は天照てんしょう。よろしく頼む。」


女媧がそう言った瞬間、咳き込みそうになった。最初に聞いたときは怒鳴りかけた。「他に思いつかん」と女媧は言っていたけど……。


「では、仕事がありますので、これで。」


「ああ。」


おそらく本人なのだろう。鈴々と同じくらいの背丈の少女。


典韋亡き後、言わば曹操の親衛隊長としてその力を存分に発揮し、しかし知力は今ひとつだったことから“虎痴”と呼ばれた人物。許褚。純粋な力では全武将の中でおそらく五本の指に入るだろう。


ただ、不思議と魅力は感じなかった。もう、欲しいと思う将が殆ど居ないこともあるだろう。しかし、それより何より“これ以上引き抜いたら、確実につまらない”という、何とも間抜けな理由が一番先に思い浮かんだ。“敵に塩を送る”ではないけれど、相手もそれなりの力を持っていてくれたほうが、俺としてもやり甲斐がある。“一人勝ち”は面白くない。史実通り、曹操軍に行ってもらうのが一番良いだろう。



「そのあたりの事情は、気になるならあとでじっくりと聞かせてあげるよ。ゆっくり食べな。」


「はい。ありがとうございます。」


出された料理を食べながら周囲を見回すと、奥の席に2人の女の子が居るのに気づいた。一人は猫耳のフードを被っている。もう一人は、隠そうとしているが隠しきれていない、相当の武の持ち主だ。誰だろう……。“女の子”ということは、有名な武将の、しかもこの地に居るということは曹操軍の武将、軍師の可能性が高い。こちらの顔は覚えられないようにしないといけないようだ。



「あの2人……。」


「ご主人様もお気づきになりましたか。一人はかなりの武人です。」


「?」


「愛紗、後ろ向いちゃダメだよ。怪しまれる。」


「……。わかりました。」


愛紗はちょっと不満げだ。“武人”となれば自分の目で見たいだろうから仕方ない。と、武人のほうが机を叩こうとした。


「やめなさい、春蘭しゅんらん。」


猫耳フードの少女がそう言った。


「恐らく真名でしょう。絶対に口に出してはいけません。」


「わかってる。」


福莱がそう教えてくれた。




「だが桂花けいふぁ、お前は悔しくないのか!?」


「貴方よりずっと悔しいわよ!! 私が居ながらこんなことになってしまうなんて……。でも、今は耐える時よ。」


少女は泣き叫びたいのを堪えているようだった。目には涙をためていた。



「自分の主が治める地の治安が良い理由が『領主のおかげか?』と聞いたら大笑いされる。臣下としては悔しいどころではないでしょう。特に、文官にとっては。」


「福莱?」


「“私が居ながら”と言ったので、大体の素性は掴めました。ご主人様、愛紗さん。あの小さい方の少女の顔はよく覚えていて下さい。必ずまた会うことになるでしょう。」


「わかった。」


「わかりました。」




「アンタたち……。訳ありかい? これでも食べな。元気が出るよ」


「で、でもお代が……。」


「無料でいいさね。ゆっくり休みなよ。」


「ありがとう……ございます。」


「ありがとう……。」



彼女らのところへ行った女将さんは何か美味しそうな料理を出していた。元気を出すには美味しい食事が一番だ、そんな気がする。


「相変わらず太っ腹だねえ!」


「そんなにほめたって何もでやしないよ。」


お客さんとのそんなやりとりを聞いたりとゆっくり飲み食いして、残る客は俺たち3人だけになった。



「さて、ここのことが聞きたいのかい?」


「そうです。自分が住んでいるのがどんなところか知りたくて……。」


「ここは兗州の西。陳留の北の外れさね」


「え? 陳留じゃ?」


「“陳留”といっても東西南北あるんよ。賑わっているのは中心部だけさね。ここは北の端くれ。御覧の通りの村でね。たまに賊が襲撃してくるのさ……。」


「え……? でも、“治安は良い”って……?」


最初にそう言われた。間違いなく。



「この子が居るからさ。圧倒的な武力をもった子でねえ。この村の“守り神”なんよ。」


「そんな……。守り神だなんて大げさです……。」


「そんなことないよ! 季衣がいなきゃこの村もやられてるんだ。誇りなよ!!」


「はい……。」


許褚さんは恐縮しきった顔をしていた。


「他の村は黄巾賊にやられた所が多くてねえ……。連中は見境なく奪っていくんだよ。陳留の中心街は平和で賊も居ないし手も出せないけど、ちょっと外れればこの有様さ。全く、劉備様のところが羨ましいよ。」


「劉備?」


「知らないのかい? 青州、北海の太守様でねえ。最近なったばかりだけれど、領内の至るところに警備兵が居て、夜でも自由に出歩けるそうだよ。しかも食糧は豊富にあるとか。」


「誰でも職につけてお金が貰えるそうですよね……。」


「アンタたちも行ったらどうだい?」


「い、いや……。俺たちは行くところがあるので……。」


「どこだか聞いても良いかい?」


「許昌です。」


「許昌!? あんなさびれたところに行こうってのかい。ここ以上に治安は悪いし、何もありゃしないよ。しっかり準備していくことだね。ここで休んで、足りないものを買ったら中心街に行ってもう一度きちんと準備をするんだ。でないと命が危ないよ。」


「わかりました。」


「話せるのはこのくらいだねえ。そいじゃ、お休み。」


「今日はありがとうございました。お休みなさい。」




愛紗も福莱も終始、無言だった。言わば“お膝元”でもこの有様。それに加えて桃香たちの治める北海の評判。比較されて“良い”と言われるのは嬉しいことなのだけど、素直に喜べなかった。



部屋へ戻ると、俺は気になって居たことを福莱に聞くことにした。


「で、あの2人は誰なんだい?」


「武官のほうはわかりません。推測は出来ますが……。いずれ曹操軍が我々の敵になれば、その時に分かります。で、文官のほうは荀彧です。字は文若。曹操の配下には2人の参謀が居るのですが、そのうちの1人、“王佐の才”を持つと言われる人物です。」



荀彧、か。曹操配下でNo.1の政治家だろう。俺の考える“最高の政治家”諸葛亮ともう一人、それが荀彧だ。彼女がか。それより……。


「2人の参謀?」


「ええ。もう一人の名は荀攸、字は公達です。主君の手助けは荀攸に任せて荀彧は旅に出ている……という話を聞きました。それでここにいたのでしょう。」


「目的は俺たちと同じ……だろうね。」


「ええ。」


俺と福莱が話していると、ふと、愛紗が何か言いたそうにしているのに気づいた。


「愛紗、どうしたの?」


「ご主人様、先ほど食事をしているときにもう一つ疑問が浮かんできたのですが、それについて質問してもよろしいでしょうか?」


「構わないよ。何だい?」


「先ほどのお話“戦略”と、福莱が言った“大原則”――朝廷の許し無く戦を行ってはいけない――を総合すると、我々の未来は“北海”の入手法、ただ一つにかかっていると思います。しかし我々はその前に鄴を落としています。それに関しては言い逃れ出来ないのではないですか?」



その通りだ。しかし“抜け穴”がある。ここまで話したんだ。話すべきだろう。


「鄴に関しては全く問題ありません。北海に関してはその通りです。武力で奪い取ったか、それとも他の平和的な手段で手に入れたか、それが全ての鍵を握っています。」


「……。なぜ福莱は何もかもお見通しなんだ?」


「それは、今愛紗さんが言った“鄴”いや“袁紹”の一件があるからです。


やっぱりそうか。福莱が気づいたのは、このことを“口止め”したからだろう。


「?」


「俺から言おう。鄴を落としたのは誰?」


「馬鹿にしているのですか!? 我々です!!」


「違うんだ。世間ではもう、袁紹の手柄、勲功になってる。」


「そんな……。我々の手柄を袁紹は横取りしたのですか? そんな卑怯なこと……。」


「卑怯? 俺の読み通りだよ。ただ、一つだけ”予定外”があってね。」


「”予定外”?」


「袁紹に鄴を献上しに行ったときのことを覚えてる?


袁紹は『無能な韓馥は私が討伐しようと思っていたのですわ』と言い、部下の文醜は『麗羽様、いつ落とそうか悩んでたんだぜ』と言っていたのを。」


「そういえばそんなことを……。ですが、先ほど福莱が言った”大原則”からするとおかしい話ですよね?」


「俺も最初はおかしいと思ってた。が、情報を集めていくうちにおかしくないと知ったよ。このことを知っているのは俺と朱里、藍里、福莱だけだ。絶対に他言しないように伝えてある。」


「?」


「奴は何進の部下だ。何進が”大将軍”の位についているのはわかっているよね?」


「まさか!?」


「そう。袁紹は何進に頼み、韓馥の”討伐命令”を出させて冀州統一の戦をする準備を着々と進めていたんだ。要は、冀州牧になるために準備を進めていたわけだよ。


そこに俺たちがやってきたんだ。知ったときは寿命が縮んだよ。相手が馬鹿で良かった……ってね。」


「それは……。元々の予定はどうだったのですか?」


「袁紹と朝廷の関係を悪化させることを狙ったもの。手柄の横取りは予定通りさ。そうなってくれないと困るんだ。


北海の入手法に関しては、任せたんだから上手くやってくれていることを願おう。帰ってから知ることが出来れば良いよ。


俺はそう思うことにした。“議事録”もあるし、全ては帰ってからだ。」


「分かりました。」


「寝よう。」

前に感想の返信で“主要人物は死にません”などと書いてしまったのですが、どうなるかわからなくなりました。すみません。


twitterでもお伝えしましたが、恋姫†夢想(英雄譚?)で色々やっているようですが、基本的に関わりません。よくわからないので。真名、もしかしたら使うかも・・・程度です。


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