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チートでチートな三国志・そして恋姫†無双。の残骸  作者: 山縣 理明
第2章 劉備たちの動向  安住の地を求めて~神の視点から~
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第23話 ”天の御遣い” 死す

相変わらず描写が荒っぽいです。

趙雲を大将とした小沛攻略軍が編成された。その内訳は、趙雲と龐統の本隊が騎兵500・歩兵3500、厳顔と沮授の計略部隊が歩兵500、張飛の騎馬部隊は500・・・というものである。



本隊が先に出陣し、かなり遅めの行軍をしている間に、計略部隊が「しずかなること林の如く」の方針で隠密に、しかし速く行軍を行い、予定していた配置に着いた。そのことを張飛の部隊に伝えると、『待っていました』と言わんばかりに圧倒的速度で魏延の陣取っていた拠点を攻め、沮授の指示通りに全員を捕縛した。


しかし、張飛には不満があった。自分の部隊と魏延の部隊では差がありすぎる……にも関わらず、魏延の部隊は誰も降伏せずに戦ったのだ。”1人残らず”、殺さずに捕縛するというのはかなり難しい話なのだ。故に、騎馬軍を用いて”電撃戦”をしたのだ。それでもこうなったというのは非常に腹立たしいことであった。



「兵力差は圧倒的だとわかっていたのに、どうして降伏しなかったのだ!? 」



紫苑しおん様、


――ああ、黄忠様のことだ――


を思えば、降伏などあり得ぬ。私は負けたのだ。早く斬るがいい。」



「むむむ……。その潔さ、素晴らしいのだ。お前がここで果てるとは惜しいのだ……。」


「な、何をする!? 一体何のつもりだ!?」



張飛の言にそう答えた魏延の言葉に感服した張飛は、魏延の縄をほどくことにした。無論、こんなことをするというのは張飛の独断であり、綿密な作戦下でこういうことをするというのはあり得ぬことだったのだが……。



「やれやれ……。まあ、魏延殿の性格を考えればそのほうが良い選択だったでしょうから、軍規違反ですが罪には問いません。それでも今後は気をつけて下さいよ。」


「玉鬘! その言い方は酷いのだ……。」


「な、な、な……。」



そう言って沮授と厳顔が到着した。そして、この”小沛攻略作戦”の全貌を伝え、魏延に協力する気があるか尋ねた。



「というわけなのですが、どうでしょうか?」


「愚問だ。受けるに決まっている。私は紫苑殿とその娘である璃々殿を助けたいのだ。そのためなら何でもする。完全に信用して貰えるとは思わないが、我が真名、『焔耶えんや』を」預かってくれぬだろうか? それで私からの返答としたい。だが、具体的にどうすれば良いのだ?」



”真名を預ける”ことで少しでも信頼して貰えれば……という魏延の望みだった。



「私の真名」


「それはまだ教えて貰わなくて良い。この戦いが終わった後に、もし良ければ教えて欲しい。」


「……。わかりました。



で、作戦ですが、ここに居る桔梗さんと一騎打ちをして傷を負ったために次の戦には出られない……という話をして、戦果として”あの”劉備軍の将である桔梗さんを捕虜にした……と言って牢にぶち込んで下さい。」



「もうちょっと違う言い方は無いのか……?」


沮授の説明があまりに乱暴だったために、思わず厳顔はそうぼやいた。



「承知した。で、その後は?」


「明日の朝には我が軍の本隊が小沛を攻略するために城の前に陣取ります。間違いなく黄忠さんには出陣の命が下るでしょう。それと、我が軍は攻城兵器を持っていますから、仮に城内に籠もられても問題はありません。


本隊7千のうち、どれだけ出てくるかが問題です。ただ、恐らく全軍かそれに近い数を出すでしょうから、城内には兵が少なくなります。その隙を窺って桔梗さんを解放し、韓玄を殺して下さい。娘さんは桔梗さんが助けますから、心配ありません。」


「何故、我が軍の兵数が7千だと……。わかった。他にすることは無いか?」


「ありません。ゆっくり休んで下さい。間違っても”城外にでる作戦”を提案することなど無いようにお願いします。」


「……。」



兵数も、自分が考えていたことも、全てわかっている……。そう魏延は思った。命令を忠実に実行することが全てだ……と理解した。



「では、私は城へ戻ることにする。厳顔殿、すまないが、後ろ手に縄をかけさせて貰うぞ。」


「ああ。じゃが、その前に、お前の武器で儂を痛めつけるのだ。城の攻略だけなら容易いが、人質を取られているとなると攻略は本当に大変じゃからな……。」



そこまで徹底してやるのか……と思いながら、痛めつけて縛った。その時ふと思った。この厳顔という将からは紫苑様のような雰囲気が感じられる……と。






所変わって小沛城内である。



「”江東の虎”は大したことなかったようじゃが、今度の”劉備”の軍は果たしてどうじゃろうなあ。


まあ、ワシの元には紫苑・焔耶と揃って居るのじゃ。負けるなどあり得ぬ。そうじゃろ、紫苑?」


「ええ……。」


「おかーさん。何か顔色が悪いよ……? 大丈夫?」


「大丈夫よ。璃々。」



黄忠には3つの不安があった。


一つは、こんな男に真名で呼ばれるという屈辱に耐えなければいけない……ということである。


二つ目は、娘が人質に取られている……というものだ。どうしてこうなったのか、自分でもよくわからないのだが、娘の璃々の存在を利用して自分と焔耶という2人の将を操作する……という状況になってしまったことである。


三つ目は、”劉備軍”である。自分は勿論、焔耶もいくら強くても、計略に通じていることはないのだ。”江東の虎”の配下には周瑜という軍師が居て揚州の制圧をしたようなのだが、恐らくその周瑜と同格の軍師が数人は居る……と考えていた。武官も自分や焔耶では負けるような将が揃っている……という状況の中、不気味なほど静かなのだ。すでに何らかの計略に嵌っているのでは……という思いがあった。自分が捕虜となっては璃々の命が危なくなる。何が何でも勝たなくては……という不安である。



本隊4千と別働隊500がゆっくりとした行軍速度でこちらへ向かっている……という情報は入っていたが、情報はそれだけなのだ。




と、その時、歓声が聞こえてきた。魏延が戻ってたのだ。



「韓玄様、魏延、只今戻りました。敵将の厳顔を捕虜として連れて参りました故、これから牢獄へ放り込んできたいと思います。」



そう魏延が言うと、韓玄は大笑いして


「良くやった。良くやった。やはり紫苑と焔耶に敵う者などおらなかったな。」


と言った。


「ただ、敵将もなかなかの腕でして、数日は戦に出られません……。」


「そうかそうか。それならそれで良い。こちらには人質が居るんじゃからな。城に立てこもってこちらの要求を呑ませればそれで良いじゃろ。」



そして翌日、開戦の合図が告げられた。



「漢王朝に仇なす逆賊、韓玄。許すまじ。我が名は趙子龍。主、劉備の代理として韓玄に裁きを!!」



そう言った趙雲の元には、黒い旗が数本立っていた。”風林火山”の軍旗である。


黄忠はそれを見て、韓玄にどうするかを聞いた。



「愚問じゃ。立てこもり、城壁から弓を射よ。それだけじゃ。」



その策はあっという間に崩れ去った。劉備軍は城壁より高い所から弓を射る物を使い、城壁に居る弓兵を全て射殺してしまった。そして、巨大な石が城壁に投げられたことで城に入れる穴があいてしまったのだ。


「これでは……。野戦しかあるまい。紫苑、先に出ていろ! ワシも出る。一気に攻めよ!!」


そう言って韓玄は、黄忠に出陣するように伝えた。


その時は厳しい戦になりそうだ……と思った黄忠だったが、門から堂々と出てきた厳顔が韓玄を射殺するというあっけない幕切れで戦いは終わった。



「降伏すれば命までは取らぬ! 降伏せよ! 」


なぜ、昨日捕虜となった人物が、門から堂々と出てこられるのかが理解出来なかった黄忠だった。周りの兵たちは降伏を選びゆくなか、黄忠の頭はそれどころではなかった。



娘はどこにいるのか


ただそれだけだった。




そして城内へ戻ろうとすると、昨日捕虜となった筈の厳顔から、


「娘は無事じゃ。焔耶が守っとる。」


と告げられた。そして、居る場所を聞き、そこへ向かうと、確かに無事だった。涙が溢れ出てきた。



「おかーさん。どうして泣いてるの?」


「紫苑様……。」



そして、黄忠も降伏して小沛は劉備軍が治める地となった。


秋も深まっていたころのことである。



さて、これからのことを確認するために皆が小沛に集まり、賊の討伐を数日で終わらせたある日。



「ただいま。」


”主” ”天の御遣い” 北郷一刀が帰還した。


が、服は白いものではなく、この世界の民が着ているものと変わりなかった。


「”天の御遣い” は死んだ。俺は”北郷一刀”、それ以上でもそれ以下でもない。」



そう、どこか自信にあふれた口調でそう言った。


共に居るのは女媧(甄姫)・徐庶・関羽・徐庶の母親・そして金色の髪の少女。それと、目に包帯を巻いた少女であった。


道中の話や北海・小沛の統治の話をした後、話題は下邳城をどうするか……に移った。



目に包帯を巻いた少女が、冬の進軍を提言した。




<第2章>


 劉備たちの動向  安住の地を求めて~神の視点から~


<了>

なんとか2章終わりまでは投稿したかったのでここまで無理矢理させてもらいました。


人物紹介はお休みさせて下さい。

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