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チートでチートな三国志・そして恋姫†無双。の残骸  作者: 山縣 理明
第2章 劉備たちの動向  安住の地を求めて~神の視点から~
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第20話 ”食糧自給” ~農業革命と四大家魚~

またまた短くてすみません

「あとは農政の状況を確認して今回の会議は終わり……でしょうか。」


そう諸葛亮が言った。




北郷はかつて、『有機無農薬』栽培のジャガイモを食する機会があった。そのジャガイモは、見た目こそ普通にスーパーで売っている物とかわりがないが、味は”似て非なる物”である……と実感するほどに美味しいものであった。その作り方を色々と調べた結果、『有機無農薬』の野菜はこうやって作られている……と知ったのだ。


肝になるのは『堆肥』である。それも植物質の


――落ち葉や木くずなどで作った――


堆肥を大量に入れ、追肥には動物質のもの


――牛糞、鶏糞など、いわゆる『ボカシ』である――


を入れることで補う……というものであった。


この『堆肥』や『ボカシ』を作るときに最も重要な物は『米ぬか』である。さて、この時代に『米』といえば『玄米』であった。が、北郷はそれを精米して『白米』にすることで、『米ぬか』を副産物として手に入れることができるようににしたのだ。



『堆肥』、『ボカシ』共に”完熟”といえるまで発酵させなければ植物にとって逆に悪い影響を与えてしまう。その”完熟”させるために必要なのが『米ぬか』である。



堆肥の作り方はまず、落ち葉、鶏糞、牛糞、油かす(大麻の)・・・・といったものをそれぞれ分けて米ぬかを入れ、あとは『フォーク』という農機具で毎日切り返す(まぜる)だけである。この世界に『フォーク』は存在しなかったが、北郷が概要を教え、農機具の店で売ることにした。(※1)



最初は悪臭を放っている牛糞や鶏糞も、米ぬかを入れて切り返していくと徐々に悪臭は消え、かわりにすさまじい熱を発するようになる。これこそ、”発酵”がすすんでいる証拠である。そして”完熟”になるとこの”熱”が発生しなくなるのだ。こうなれば『堆肥』、『ボカシ』の完成である。この堆肥作りは敗残兵の大仕事であった。


北郷が『堆肥』と共に考案した物はもう一つ存在する。


それは『草木灰』である。


野菜にせよ果物にせよ、それぞれが好む土壌がある。それは、”酸性の土壌を好むもの”、”中性の土壌を好むもの”、”の土壌を好むもの”という3つに大きく分けられる。


一般に、作物を栽培すると土壌は酸性に傾いていく、しかし、野菜や果物の大半は酸性の土壌を好まない。アルカリ性の方向に持っていく肥料が必要になる。北郷の世界では主に『消石灰』や『苦土石灰』を使うのだが、この土地でそれをどうやってつくるのかはよく分からなかった。そのため、『草木灰』を使うことにしたのだ。これはアルカリ分が多く、しかも草木を燃やすだけで手に入るため、非常に有用なものであった。


ちなみに、土の状態を知る方法はとても単純である。土を片手で軽く握り、指で軽く押す……だけなのだ。このときに崩れる位の土


――『団粒構造』を持った土――


ならば、それは良い土であることを示している。



北郷は、人口が増えたときに何が問題になるのか……ということを知っていた。


それは『食糧』と『エネルギー』である。しかし、『エネルギー』問題はこの世界に存在しない。食糧をいかに増やすか……ということが課題である。


つまり、耕地面積を広げることに加えて面積当たりの収穫量を増やす策が必要であった。その”面積当たりの収穫量を増やす策”がこの『堆肥』と『ボカシ』である。





「農政……といっても、特に問題は起こっていませんね。ご主人様が仰っていた『堆肥』と『ボカシ』を使ったら大麻の収穫量がかなり増えた……ということくらいでしょうか。といっても、米は来年の作付けになりますから、真価はその時にわかるかと。”四大家魚”のほうも上手くいっていますし、何問題はありません。こちらはご主人様が驚かれていらっしゃいましたね。”大した知恵だ……”と。」


そう田豊が言った。



”四大家魚”とは、食物連鎖を巧みに利用した養魚の機構、あるいはこの養魚に使われる鯉科の野生魚である「青魚アオウオ」・「草魚ソウギョ」・「黒連コクレン」・「白連ハクレン」の四種をまとめた呼び方のことである。



これは、


雑草を刈り取り、池に入れる→「草魚」が食べる→草魚の排泄物をタニシなどの小動物が食べる→それら小動物を「青魚」が食べる→食べ残しや糞などで植物プランクトンや動物プランクトンが発生する→それを「黒連」・「白連」が食べる・・・・


というものである。餌は雑草が主であるため、これらの魚を容易に繁殖することができるのだ。北郷が”食糧を増やす策”として悩んでいたときにこの”四大家魚”のことを知ったのである。無論、即決であった。




この2つは、後に劉備たちの食糧自給能力を飛躍的に高めることになる。


「じゃあ、もう少し様子を見てからまた集まって徐州をどうするか決めることにしよう。」



と劉備が言い、2度目の会議は終了した。





解説


※1:フォーク・・・農機具。食べる時に使うフォークをかなり大きくしたもの・・・・と捉えて頂ければ良いかと思います。


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