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命が絶えるとき

 また両親が死んだときの夢を見たよ。


 またか、っていう感想が浮かんだ。この夢はよく見る。よく見る夢ラインナップがあったら二位にこの夢が入り込むくらいにはね。ちなみに一位は暗闇の中にいる夢。きみもよく見るだろう? 


 えっ、見ない? まあ見るか見ないかなんかはどうでもよくて、この夢を見るとあんまり気分が良くないんだ。


 16歳の時に見たらその日の狩をするとき、ナイーブな気分にますますなってしまうくらいにはね。


 とにかく、その頃の俺は狩をして生計を立ててたんだ。






 スコープを覗くと、大きな丸々と越えた狐が目に映った。


 スコープの中に入ったものは全権を俺に引き渡してた。俺は狙撃がかなり得意だったんだ。だから、スコープを覗くのはあんまり好きじゃなかったんだ。俺がそのころ住んでいた町に来てすぐのころくらいは結構好きだったんだけどね。やっぱりただの的と生きているものを撃つのとじゃ違うんだ。


 なんていうかな、打った瞬間に手ごたえがあんまり無いのが的なんだ。それで、銃の反動もクリアにやってきて、ちょっと痛い。だから、的のど真ん中に当たったときに普通にいい気分になれる。


 けど、生き物を撃つっていうのはね、手ごたえがありすぎるんだよ。撃つ前は心臓の音が周りに音があるはずなのに聞こえるし、頭全体に血がいって熱くなる。でも指とか足とかが極端に冷たくなるんだ。


 撃った後は引き金を引いた感覚がずっと手に残るんだ。血がこびりついているみたいで、何回も手を洗った。実際は何もついてないんだけど。だから、ずっと目に見えない汚れを落とすために貴重な水をふんだんに使ってた。


 でも俺はそれに慣れなくちゃって思ってた。そうじゃないとさ、殺せないからだよ。エーテル教の教祖。


 だから、手が荒れたって、人に「いつか私たちも撃ち殺されるかも」って狩人に対する偏見を言われたって、撃つしかなかったんだ。だって、教祖を撃たないと多分、俺と同じような人がたくさん出るだろ? だから、そうするしかなかったんだ。


 そう思ってその日も引き金を引いたよ。さっきまで生きてた狐は死んじゃってた。頭からだらだらと血を流してた。寒かったから、ちょっと湯気みたいなのが出ててさ、殺したって実感が色濃かった。


 けどさ、だからといってこの狐を解体しないって手はないんだな。だって、そうしないと空腹に追いつかれるから。飢餓は本当に嫌なんだ。あれは体中痛くなるし、手先が震えるし寒くなる。


 だからいつも通り、顔をしかめながら皮を剥いだり肉を切ったりしたよ。






 そんで、次の日に狐の皮を売りに行った。狐を撃った頃には、もう日が暮れそうだったらね。日が暮れると、山ではすべてがうまくいかなくなるからさ。


 鞣した皮をいつもの店で売った後、何やら騒いでいる人たちが多かったからさ、そっちに歩いて行ったんだ。野次馬根性ってやつだよ。わかる? きみにはよくわかんないかもね。


 そしたらさ、皆新聞を持ってたんだ。なるほど、これは新聞に載ってることで騒いでんだなと思った。んで、気になったから買ってみた。そしたらさ、いたんだ。獲物がそこに。


 紙面に書いてあったんだよ。「エーテル教の教祖、街頭演説をわが国で」って。


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