第六話 仲間外れの落伍者
「お前は硬さがウリの魔術を使うようだな。グスタフとか言ったか、片目の状態で私を相手するとはうつけ者として芸でも披露してくれるのか。」
(オレの黄金の表面部分を少し溶かした程度で粋がれるのは逆にすげぇよ、見た目に反して戦闘経験少なそうだな…)
オレは内心、彼に対して期待を少し削いだ。
ケッ、とオレは少し唾を吐き、構え直す。戦闘続行の意思表示として前のめりの姿勢に変える。
「私だけ王位を継承できる者の衣を着れないのだ、一番最初に産まれた王子である筈なのに、ゼノよりも早くに!お前程度の者に敗北している暇はないのだ!」
「ウルセェよ、オマエはゼノと器が違う。アイツを馬鹿にすんじゃねえ。」
オレはさすがにカチンときて、静かに怒りを露わにする。
(奴はゼノの事を馬鹿にしやがった、オレ達のリーダーであるゼノを!)
「酸魔術 メ・アシウェール!」
「酸の波だと!?お前、ふざけてんのか!」
「大真面目だよ、私の事を見下している輩は誰であろうと粛清するのだ。」
奴のイかれた考えには、さすがのオレも理解できない。
(周りの被害を考えずに大技を出せる奴はどいつもこいつも戦闘に出してはいけないのが常識だというのに…この国の王は何を考えているのやら。)
オレは疑問を心の中で言う。
「厄介な虫けらは一撃必殺が良いんだが、それも相性的に無理そうだ。」
オレの挑発に包帯越しにでも分かる位、眉間に皺を寄せた。ライオンや虎の類の肉食獣が雄叫びをあげる寸前の恐ろしい表情であった。
「虫けらだと…この私がか?傲慢だな、お前は。思い上がるなよ、チンピラ如きがぁぁあぁ!」
「傲慢で何が悪いんだ?プライド捨てちゃ人生お終いなんだぜ。最もオマエみたいにプライド腐らせたらもっと駄目だがな!」
オレは奴を殺す事を完全に決めた。お遊びはもう終わりだ。
「瞬間移動か!」
オレは故郷の歩法を使って、一瞬で距離を縮める。
「黄金魔法 ブ・ゴルドリール!さっきの焼き直しと行こうぜ!」
また右腕を黄金のドリルに変え、今度こそ顔目掛けて当たる。これには奴も酸の魔術も間に合わせる事が出来なかったようで、クリーンヒット。包帯の下に隠されていた想像以上に醜い皮膚が顕になっていた。
数えきれない程多い小さい古傷と裂けた口、皺くちゃで所々こけている肌。形容し難く、見れば見る程哀れに見えてくる。
「パムーダ王国の王族の中で醜いなんて、仲間外れも良い所じゃねぇか。」
オレは彼に素直に感想を伝えた。




