第五話 第一王子
「ゴミはゴミらしく掃除されれば良いというのに…」
ミイラみたいに全身を包帯で包んでいる男が唾を吐いてネチネチ言う。時々覗かせる歯はすきっ歯、包帯もところどころ黄ばんでいる部分が露わになっているのが、見ていて気持ち悪い。
「自虐か?オマエの見た目、紙ごみみてぇじゃんか。」
オレは満面の笑顔で煽る。
「ほう、六王子をカス呼ばわりとは。お前、驕っているな。」
どうやら奴は汚い見た目に反して王子らしく、その事を知ったオレは思わず口を大きく開けてしまった。
「━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━あぁあぁああぁあ!お前も!そういう反応か!外様の癖にぃぃぃ。」
その事は奴にも伝わったらしく、声にもならない声を出しながら、地団駄を踏んだ後、ハイテンションに言葉を途切れ途切れに発しながら狂乱した。ああいうタイプはオレやゼノとはまた違う怖さがあるのだろうか、オレの部下三人組は思わず距離を取っていた。
「おい!ギルバート、ブルッス、モーリス!オマエ達はここから離れて民衆の殺戮を続行しろよ。」
オレはそれを見て、即座に彼らに退却命令を出した。
ちなみに青いメッシュの入った黒髪の少年がギルバート、額に亀のデザインが入った覆面を被っている筋骨隆々の男がブルッス、髪を逆立てている青髭の男がモーリスだ。彼らは散らばった他の天黒官と共にワープホールで船に戻った。
彼らはそれぞれ精鋭であり、尚且つオレのスパルタ訓練を乗り越えてきた猛者でもある。しかしそんな奴らでもビビる相手となれば話は別、こんな頭がイカれてる奴の相手は俺だけで充分となる。と言うのは建前で、本当は並外れた魔力を持っている奴と繰り広げるであろう戦闘が楽しみなだけだ。何よりゼノの腹違いの兄弟だ、それなりに強いはず。
「自己紹介遅れたな、オレの名はグスタフ・マハゴルドだ!」
戦闘を始めるに当たってのマナーとしてオレは簡単に自己紹介をした。
「私はパムーダ王国 第一王子のデイビー・エンマだ。国賊をドロドロに溶かすのが私の役目だ。」
"ドロドロに溶かす"という言葉から察するに液体化や酸の魔術だろうか、馬鹿なりに相手の自己紹介から考察を始める。
「挨拶代わりに…黄金魔術 ブ・ゴルドリール!」
右手を煌びやかなドリルに変え、オレは突進攻撃をした。
「お返しに…酸魔術 ド・アシブレッス。」
デイビーはオレの攻撃に対して、酸の唾を吐いてきやがった。オレの黄金を部分的に溶かし、牽制した。
相性が悪りぃな、こりゃ。




