第三話 上陸
パムーダ王国上空に巨大な屋形船1隻が突如として現れた。
「もうすぐ着く頃か。我々、天黒官(てんこくかん)は先に突入か。」
「イヌ公、とびっきりの雄叫びをあげやがれ!」
「グルルル 響かせてやるよ、マスクマン。」
チョコレートみたいな色のサングラスをかけたおカッパの肥満体型の男性と緑色の玄武のイラストが描かれた空色のマスクを被っているレスラー風の男と右目を前髪で隠したオールバックのギザ歯の男が王国を船の中から見下ろしている。
「ああ、そうだ。気が熟したら我々も向かう。」
「え〜 それじゃあワタシたちはトッコウヘイって事〜。」
白髪のサイドテールの幼女が私の発言に苦言を呈す。
「そんな厳しい物ではないから安心しな。サムが必要な前準備を全て終わらせているから君達はただの人間掃除をやればいいだけさ。」
それに対し、クロエが反応する。
「じゃあ皆んな行くよ、準備はいい?」
青いメッシュが入った黒髪の少年の発言に天黒官全員が頷き、ワープホールで一斉にパムーダ王国に上陸した。
「さぁ、我々も準備を始めようか。」
私は場に残った十二黒天のメンバー達と共にある準備を始めた。
儂はギャレン・エンマ、この世界の安寧を維持している七列強のトップの内の一人だ。仙人とも称される位に立派な髭は儂のチャームポイントと言ってもいい。
「父上、あの船の正体は何ですかね?」
「知らん、だが危険である事は確かだろうな。」
儂は孫からの言葉への返答に困った。
(あの船には恐らくヤツが乗っている、それがバレたら儂の人生どころか世界の均衡が崩れるかもしれぬ…)
儂は心の中で叫んだ。声に出せば喉が粉砕する程の気持ちで。
「ほう、久しぶりだな 父さん。」
後ろから嫌な声がした。首筋に死神の鎌が突きつけられた様な薄気味悪い感覚が襲う。
"バンッ"
音が聞こえた瞬間、儂の体が何かで濡れた。決死の思いで振り返ったら、黄色いサングラスをかけた貴族の様な格好をした銀髪の青年の恐ろしい笑顔と先ほどまで遊んでいた孫の屍がそこにはあった。血をダラダラと流しているのを見て、儂は嗚咽がした。
「孫にはかなり有情なんだね。息子である私には拷問までしていたのに。」
「ゼノ……貴様か。」
ヤツはやはりいた。かつて殺し損ねた儂にとって唯一の負の遺産であるゼノ・ヴァエルだ。
(黒世界のトップであるという噂は本当だったか!)
「ここでゆっくりと私達が行うパレードを見てもらおう。父さんだけが座れる特等席を用意してあるんだ。」
彼の発言に儂は悪寒を覚えた。その様子を嘲笑うかの様に笑みを浮かべ、地面に六芒星の魔法陣を顕現させた。




