第二話 十二黒天
「皆座ったな。さあ、会議を始めるぞ。」
円卓に13人全員座ったので、国崩しの作戦を具体的に決める会議を始めた。
「国崩しってのはどういう事でありますか?」
丸眼鏡の軍人風の格好の男が会議が始まるなり疑問を口にした。彼はディエゴ・エトオレ、十二黒天のメンバーの中で誰よりも忠義に厚い男だ。
「何だ?ビビってんのかよ、ディエゴ。」
モヒカンの布一枚のワイルドな格好の男がディエゴに喧嘩を売るように喋る。彼はヨゼフ・ザンリヴァー、十二黒天一のタフネスを売りにしており、その粘り強さは目を見張る物がある。
「そういう訳ではありませんが、国を滅ぼす事は我々としても初めてなので懸念点が沢山あるじゃないですか。」
「二人共さー、まだ詳しい事を喋ってないのに話進めすぎだよぉ。まずはゼノさまの言う事をしっかり聞いてからでしょ。」
舌足らずで元気な緑髪の女子が二人を注意する。彼女はレイラ・ドラバーン、魔術属性が純粋な飛行能力が可能な珍しい存在であり、重宝している。
「はぁー ゼノさん、目的の場所は何処なんです?そして理由は?」
「パトリック、良い質問だな。」
気だるげな雰囲気の神父が私に質問をする。彼の名はパトリック・ワイレニアム、十二黒天最速のスピードを誇り、その俊敏さは私以外目では追えないレベル。
「目的の場所は我が故郷である七列強が一つ、パムーダ王国だ。理由は魔神の遺体の一部の回収と徹底的な破壊だ。」
私の返答に全員が驚愕し、一旦沈黙の時間が流れる。
「魔神というのは古の伝説に出てくる奴の事かの?」
青薔薇の紋章が描かれたエメラルドグリーンのチュニックを着ている老人が言う。彼の名はエドガー・ユベトート、魔術や神話に対する造詣が深く、何でも知っていると言っても過言ではない程。
「そうだ、以前にパトリックとお前が海底図書館で見つけた資料に書かれていた魔神 ギラーロスだ。」
私はハッキリと答える。
「ソイツがあれば確かに困らないネ。」
ニヤニヤと黄緑と黒のツートンカラーの帽子と服を着た道化師の女性が言う。彼女はクロエ・ナダ、洞察力に優れておりそのスキルは未来予知と言っても差し支えない位に洗練されている。
「そうね、七日間で世界を滅ぼしかけた魔神を復活させる事が出来れば私達の目的が確実に叶うからね。」
オリヴィエが冷静に言う。
「申し訳ないが、魔神ギラーロスの伝説って何だっけ?」
金髪リーゼントの海賊風の格好の男が申し訳なさそうに聞いてきた。彼はブロディ・ベルゼクトロ、破壊力に優れており、この組織に入る前に魔術で辺り一体の大地を更地に変えた逸話がある。
「はぁー、太古の時代にいたとされている伝説の魔神よ。全ての大陸を闇に包み込んで、世界を滅ぼしかけた化け物。けれど各地から集った7人の勇者達の力に負けて、頭・胴・右足・左足・腰・右足・左足に分けられて各々の故郷の大地に封印されたの。」
私の代わりにオリヴィエが答える。彼女は記憶力の無い彼に飽き飽きしているらしく、わざとらしく溜息をついた。
「そしてそれが七列強の成り立ちですわ。」
「アタシが言おうとしてたのに、ミネルヴァ。」
「ごめんなさい、オリヴィエ様。」
彼女が言おうとしてた事を桜色のドレスを着た妖艶な女性が代わりに言う。彼女はミネルヴァ・キュバメイア、話術と魔術属性の連携が強力で敵陣を騙して撹乱するのが十八番。
「魔神の遺体の内のどれがパムーダ王国にあるんだ?胴・腰・右足・左足・右腕・左腕━━━━━」
黄金の鎧を身に纏っている眼帯の男がどこか楽しげな表情で質問をする。彼はもう一人の最初期からのメンバーであるグスタフ・マハゴルド、彼の防御力は一級品であり、並大抵の攻撃ではかすり傷一つすらまともにつかない。
「頭だ。」
「ガハハハハハハハ、それでこそお前だ。」
その回答に満足したのか、彼は部屋中を震わせる程大笑いした。
「・・・・・・。」
「君は相変わらず無口だな。こう言う時でも一言二言も発さないとは。」
これまで一切言葉を発さなかった青い般若の仮面を被っている男にペストマスクをつけた女性が怪しむ様に話しかける。前者はハンザブロウ・ラセツ、黒世界に入る前の経歴の殆どが謎に包まれている男であり、私にしか明かしていない。後者はマリアンヌ・グリマカダンス、技術力に優れており、数々の奇怪な発明品を創造している変人だ。
「お前もマスクをつけているだろうが。」
「作戦をこれから伝える。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━皆んな、心してかかれ!」
私達は準備を整え、パムーダ王国に向かった。




