1日目:楽しい夏期合宿
どうも皆さんヤッホー!
今回もタイトルの通り、楽しくお話を書いていきますので、是非是非read、していってくださいね〜!
(いつもと文面が違うのはお気になさらず……ただ単に、数学の評価が悪うござんしただけですので。しょうがないしょうがない。人生楽しんだ者勝ちですからね。こうやってお話を書いて、現実逃避させていただきますね〜)ホホホホ
夏祭りで見つけたポスターから、まさかこんなことになるなんて、思いもしなかったな……。
私は今、バスの中にいる。今日から楽しい夏期合宿……のはずだ。
いやいやいや、聞いてないよ!?呪いとか、言い伝えとか!そんなの知らないよ〜
周りの子たちも知らなかったみたいで、怯えている子もいれば、そういうのが好きで、急に目をキラキラさせ始めた子もいる。
事前情報なしで子供を連れてきて……これって、詐欺じゃ……いや、もしかしたら誘拐に繋がるかも!
知らない場所に子供だけにして、その後、私たちを殺すとか、もしくはこの世ならざる怪物に食べられちゃうかも……
未来にテレビで流れるかもしれないニュースを想像する。
えー、続いて速報です。中高生男女約20名の遺体が、人目のつかない村で見つかりました。
死亡推定時刻は8月頃で、警察は、詳しい情報を調べています。
いや、人目につかない村だと、ずっと見つからないんじゃ……?うーん、でも、家族が心配するか……
一人で息を呑む。
でも、もし想像したようなことが現実に起きるとしたら、そうなる理由が思いつかない。何か悪いことをしたわけでもないし……
もしかして、村の人たちは殺人鬼!?人を殺したくてしょうがないの!?そんなサイコパス野郎が集まるところなんて行きたくないよ〜
考えれば考えるほど、怖いことしか思いつかない。
すると、ガイドさんが再び口を開いた。
「……私の名前……伝え忘れていました……綾月さざめ……これが、私の名前です……お見知り置きを」
さざめさんはそう言って俯いた。まるで人形みたく、一ミリも動かない。
すると、通路を挟んで私の隣に座っている少年が手を挙げた。
「なあ、今から行く村って、怖いことだけなのか?面白い話も聞かせてくれよ」
「面白い話……村には優しく温かい人が多くいますが……これといって特にはございません」
あ、良い村なのね、良かった〜でもまださざめさんのことは信用できない。
まずは人を疑うことが大事。よくおばあちゃんが言っていた。おばあちゃんのこと理解は出来ないけど、今回ばかりはおばあちゃんの言葉も為になる気がする。
さざめさんがまた動かなくなりそうだったので、少年は慌ててまた口を開いた。
「あっえっとー、じゃあ、みんなでまずは自己紹介を交えたゲームをしようぜ」
ゲームの内容は簡単だ。
前の座席の人から順に、さざめさんに物を渡してもらう。その間私たちは目を瞑って、物を触る。さざめさんの合図で目を開けたら、名前と答えを紙に書く。さざめさんの言う答えと自分の答えを確認して、当たっていたら自己紹介だけ、間違っていたら自己紹介プラス間違えた物のモノマネをするというものだ。
「……私、ガイドをするのは初めてなので……こう言う時にどうすれば良いのかを教えて下さるのは……とてもありがたく感じます……」
「うぇっ初めてなのか〜そりゃ、緊張するよな、助けになれてよかった!」
ん〜、さざめさんのこの態度は緊張じゃないと思うんだけどなぁ。
何だろ、子供が20人近くいるのに、初めてのガイドさんをつけるかな?ますます怪しくなってきた。
「じゃ〜、みんな目を瞑って〜」
目を開けているのはさざめさんと運転手さんだけ。この状況に少しだけ不安を覚えつつ、目を閉じる、真っ暗な視界で、バスの音で聞こえないはずのさざめさんの足音がだんだんと近づいてくる。
ちょっとおかしいだけ。ただの演出よ、大丈夫。これはゲームなんだから、心配する必要はない。
ドキドキドキ……
心拍数が上がる。
心臓の音が脳に届きそうになった時、肩をトントンとされた。
「……っ!」
ビクッと体が強張る。
すると、さざめさんの温かくて細い手が私の手を持ち上げて、その中に物を収めた。
「……どうぞ……」
人の体温に少しだけ安心感を抱いた。
両手で物を持つ。
細くて、尖っている。だけど、鋭いわけではなく、丸い。そして、木の触り心地。
間違いなく鉛筆だ。
みんなが触った後、さざめさんの合図とともに目を開く。
配られた紙に、回ってきた鉛筆で答えを書く。
鉛筆、出しちゃって良いんですか。
これだと、あまりに鈍感な人以外は、例え頭に思い浮かんだ答えが違くても、気づいてしまうではないか。
「答えは……鉛筆でした」
そうですよね。
結果、全員正解だった。……訳ではない。一人、アスパラガスと答えた奥の座席に座る少年がいた。
どういうこと?どうしてアスパラガスになるのかとても知りたい。
その少年はゲームのルール通り、アスパラガスのモノマネをした。
たった一人、手を合わせて上に持ち上げて、グニョーんという効果音付きで。
これは……まるで公開処刑だ。
「なんかごめん」
ゲームを考えた隣の少年がぼそっと呟いた。
それはさておき、さざめさんは、こういうゲームやったことないのかな?
「申し訳ございません……良い物がこれしか思い浮かばず……」
「全然大丈夫だ!じゃあ、とりあえず自己紹介をするか〜」
そう言って、少年を筆頭に次々に自己紹介をしていく。
私の番が来るのも早かった。
そうこうしているうちに、バスは一時間半近く走ったと思う。
元々そんなに遠くに行く訳でもないらしく、誰にも知られない村は案外近くにあるそうだ。
「……まもなく目的地に到着致します……」
まわりの子達は、やっと立てる〜と言っている子や、1日目の日程を確認する子などがほとんどだ。
ゲームによってみんな打ち解けてきた気もする。
申し込んだ時に送られてきたしおりは、10日分の内容が書かれているため分厚く、ほとんど1冊の本だ。
バスが止まった。
「……それでは、順に降りて下さい……」
一時間半ぶりの外だ。
……だけど、なんだか思っていたのと違う。
私が想像していたのは、木がたくさん生えていて、陰湿な空気が流れていて、ひぐらしが鳴いているような、いかにもホラーゲームの中のような呪われた村。
でもここは、穏やかで落ち着いている。風も爽やかだ。
ただ……。
「なんで、夕方なの?」
カラスが飛んでいる。日も山の奥に隠れ始めている。
バスで1時間半しか経っていないはずなのに……集合は朝の7時半だったのに……
私の腕時計はもう少しで9時15分になるところだ。
「……ですから言ったでしょう。……この村は誰にも知られてはならないのだと」
そういえば忘れていた。知ったら呪われるんだっけ?
でも、それは夕方になっている理由にはならない。
「……ここは、現実だけどそうでない村。……神様がお作りになられた、神聖なる場所なのです……」
うん、どういうこと?
一人でうんうん頭を捻っていると、私の後ろにいたメガネをかけている少女が口を開いた。
「あ、あの、つまり、作り物の村だから、ここでは現実での当たり前が、そうでない場合がある、ということですか?」
なるほどそういうことか!
「……その通りです……」
いや、そういうことか!じゃないな。普通に考えてあり得ない。きっとこれは夢だ。
……でももしこれが本当なら、どうしてみんな冷静でいられるのだろう。
そう、周りの子達は意外にも冷静なんだ。この村に対して感嘆の声を上げてはいるが、普通ならそれだけじゃないだろう。
だって、神様が作り上げた村なんて、ただの作り話ならいいが、実際に夕方になっているんだ。
おかしい。絶対おかしい。普通じゃない。
……でも、私はここから逃げられない。この村から出て無事に帰れるとも限らない。ここがどこなのかも分からないのに、下手に行動したら、こういう時に破滅を迎えるのは私だ。
合宿が終わるまで、上手に順応しないと。
私が逃げ出す事を諦めた様子を、さざめさんが見ていたのをこの時の私は知らない。
帰っておばあちゃんに合宿のこと話したらめんどくさそうな気が……あれ、そういえば、ポスターには場所が書いてあった。でもここは別の場所?いや、どうしてだろう。
あんなに覚えていたポスターの内容が、まるっきり分からなくなってる……
そもそも、どこに行くか家族に伝えたっけ?伝えたはずだ。そうじゃないと、あのおばあちゃんが許可を出すとは思えない。
ああ、この状況だからだろうか。どうしても不安に駆られる。
私は、胸元の勾玉に手を添える。
昔から不安になるといつもこうしていた。幾分か和らぐのだ。脳裏に幼馴染の顔が思い浮かんでくるから。
湊……私、どうなっちゃうのかな?
みんながこの村について理解した後、私たちはグループを組まされた。
年齢順に、4人グループが4つ。16人だから丁度ピッタリだ。
私のグループは、バスの時の少年、アスパラガス少年、さっき村について解説してくれた少女、そして私だ。
「改めまして、俺は枝元悠だ。よろしくな」
正直、この子がいると少し安心だ。リーダー的に、引っ張ってくれるから。
「僕は、森原健太郎。アスパラガスは気にしないでね……」
あ、自分でも気にしてるんだ……そりゃあそうだよね、触れないであげよう。
「わ、わたし、は、平田、結菜……です」
内気な性格なのかな?伏し目がちな眼は、メガネのフレームに隠れてよく見えない。
「私は穂鞠柊花。よろしくね。」
「……それでは、皆さん、今からお宿の方へ向かいます……ついてきて下さい。」
さざめさんの後にみんなついていく。
雑談をしたり、笑い合ったり。バスで怖そうにしてたのも、演技だったの?
この人たちはみんな信用できない。宿の人たちもきっと。
無事に帰るんだ。
おかしな村と人。今私の周りにあるものは何も信用したらいけない。
決意に満ちた少女の顔を、夕日が赤く照らしている。
歩いて5分ほど経った頃、宿の入り口が見えた。
辺りは木々に囲まれていて、少し薄暗いからだろう。手前で宿の人が赤く光る提灯を手に下げて立っている。
40代くらいの女の人だ。紫陽花が描かれている深緑の着物に、紺色の羽織を着ている。
白髪混じりの黒髪は後ろでまとめていて、右サイドから少し垂れている。
「ようこそおいで下さいました。今回この合宿の担当をさせていただく、みはやと申します。」
みはやさんはその後、荷物を置くために寝床に案内してくれた。
「廊下を挟んで、右手が男子のお部屋、左手が女子のお部屋。中はそれぞれ好きに使ってもいいですが、あまり荒らすことのないようにして下さいね。お夕食は6時から。1階の宴会室でご用意していますから、それまではおくつろぎください。」
ゆったりとした声だ。聞いていて安心する。
そういえば今何時なんだろう。
近くに時計がないか探す。廊下の一番奥に振り子時計を見つけた。
今はもう少しで5時になるところだった。
腕時計を5時に合わせていると、後ろから声をかけられた。
「……あの、入らないんですか?」
同じ班の女の子だ。
確か名前は……
「あ、平田さん。今、ちょっと時計を合わせてたんだ」
「時計……?ああ、びっくりですよね。まさか夕方になってるなんて。私も合わせよう……」
やばいやばい!うっかり言っちゃった!これ大丈夫なやつ?異端者とか、反乱分子とか思われたりしない?
「……結菜って呼んでください。私の方が年下なので」
「え……すごい。自己紹介の時の、覚えてるんだ」
なんせ私の記憶力は平均かそれ以下である。
「覚えるのは得意なんです。ちなみに私は高校一年生ですよ、覚えていて下さいね?」
そう言って、いたずらっぽく目を細めるその顔が、とても綺麗だと思った。
結菜ちゃんはもう一度口を開く。
「……つかぬことをお聞きしますが、」
その瞬間、彼女の綺麗な茶色の瞳が真っ直ぐに私を貫いた気がした。
「貴方も神社のポスターに導かれてここへ来たのですか?」
いかがでしたでしょうか?
現実のほうで自分も合宿行くので、5日ほど投稿できません。
怪しいポスターを見た訳ではございませんので、お気になさらず。
皆様から評価や感想をいただけると、数学のことなど吹き飛ぶくらい喜びますので、是非是非お願いします!