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第13話「スポンサー殲滅作戦」

第13話「スポンサー殲滅作戦」

■蒼木 蒼 視点


「企業は、人殺しのスポンサーです」


私は、そう明言した動画をSNSにアップロードした。

タイトルは、《報道に金を出す者たち》。

サムネイルには、某大手食品会社「日本フーズインダスト」のロゴと、そこに“血”のような赤いペイントを重ねた画像。


「蒼木玲子の死の背後には、広告を出し続けた企業がある。黙認ではない。資金援助です」


「だったら、その企業ごと“責任”を問う」


撮影は、都内の大手スポンサー企業ビル前。

私はその前で、マイクも持たず、ただカメラ目線でこう言い放った。


「スポンサー企業50社に問う。“殺人報道”に、あなたのロゴがついていた責任を、どう説明しますか?」


■村田 敦 視点(日本フーズインダスト・広報部長)


「これは……完全に企業テロだろ」


広報室で映像を確認した村田は、思わず顔をしかめた。

モニターには蒼木蒼が、堂々と会社の看板前に立ち、企業名を名指しして糾弾する姿。


「まさか……ここまでやってくるとはな……」


部下が不安げに言った。


「炎上の影響で、商品の返品要請が急増しています。不買運動のハッシュタグも……昨日から1000%増加です」


「なんで止めなかった……あの報道番組に出稿を続けてたのが原因だって、今更……」


「でも、あの番組はトップ3の視聴率でしたし……リスクよりリターンが……」


「リターン? 死んだ人間の上に立った売上か?」


怒鳴った後、自分でもその言葉に寒気を感じた。

“死者の上の利益”──それは、今まさに蒼木蒼が世界に叩きつけている構図だった。


■斉藤 由香 視点(日本フーズインダスト・取締役CMO)


「村田君、謝罪文を出しましょう」


モニターを見ながら、斉藤はそう言い放った。


「ただし、“一般的な報道との関係”に留める。蒼木蒼への直接的言及は避けて」


「意味ありますか、それ……?」


「意味はなくても、“形”を作る必要がある。企業は“謝罪という儀式”を放棄できないの」


「……それで沈静化するとは思えませんが」


「じゃあ聞くけど、“あなたが蒼木蒼に土下座する勇気ある?” ないでしょ」


沈黙。


斉藤は軽く笑った。


「企業とは“逃げの芸術”よ。蒼木蒼が何をしようが、我々は“知らなかった”顔をする。これが組織防衛」


■蒼木 蒼 視点


「その“逃げ”が、母を殺したんです」


私は別の動画で、斉藤由香の過去の講演会映像を流した。


《企業広報は、報道に口出しすべきでない》というセリフの後に、字幕を挿れる。


「あなたの口出しがなかったせいで、殺された人間がいる」


「報道への資金提供は、単なる広告ではありません。“死の燃料”です」


「ならば、私はその燃料元を遮断する」


動画の最後に、50社のスポンサーリストと、それぞれの炎上事例を時系列で整理した一覧を挿入。


「私は、死者の娘です。証拠と論理で復讐します」


■佐藤 俊 視点(ユーチューバーB)


「蒼さん……これ、もはや個人の活動じゃないですよ。国家規模の企業攻撃です」


俺は、編集データの整理をしながら言った。


「あなた、どこまでやる気ですか……」


「企業広告が報道の血となるなら、私は止血する医師」


「いや、もうそれ外科手術じゃなくて、企業切除じゃん……」


蒼は冷静に答える。


「“倫理”より“資本”が強い社会に生まれた以上、私は“資本”で倫理を語るしかない」


「でも、そこに“命”が混ざってるってこと……忘れてません?」


「忘れてない。“命のために、金で戦う”と最初に言ったのは、社会の方よ」


俺は黙るしかなかった。


■SNSログ(群衆の声)


《蒼木蒼、スポンサー名指しで糾弾》

《これが真の報道批判。怒りのリスト化》

《日本フーズインダストの売上が4日で▲23%》

《企業も共犯。今まで誰も触れなかった“広告の闇”》

《支持する。全部潰せ》


■斉藤 由香 視点


「数字は、もう止まらない」


会議室で斉藤は囁いた。


「株価が20%下落。“蒼木ショック”とメディアに書かれたわ。彼女、もう一個のメディアよ」


「我々はどうすれば……?」


「彼女と“対話”するしかない。けど、彼女は“謝罪”を拒絶する」


「ならばどうすれば……」


斉藤は静かに言った。


「我々が変わるしかない。“加害者の自覚”を持つか、“沈没”か」


その言葉の重みが、室内に沈んだ。


■蒼木 蒼 視点


「私は、企業に“共犯であること”を認めさせたいわけじゃない」


「ただ、“もう報道に金を出すな”と言ってるだけ」


「それが、報道を止める。社会を変える。復讐を終える唯一の方法」


私は再び、企業名一覧をスクロールしながら囁く。


「終わりは近い。“怒りのスポンサー”たちが、次々と倒れていく音が聞こえるわ」




お読みいただきありがとうございます。


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