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闇堕ちじゃないよ

姉妹の再会から二ヶ月後…


「先生、とても緊張します…」


 リディアは緊張していた、今日は入学試験当日だからだ。

 あまりの緊張で、心臓がしつこく鳴っている


「今の君なら大丈夫だよ。焦らず落ち着いてやれば、きっと合格できるよ」


 この数週間の訓練で彼女は十分に著しく成長していたが、まだ自信が完全に持ててはいないようだ


「今の私なら絶対にできる…できるんだ…」


 自分ならできるとそう言い聞かせる


 (これまで先生の厳しい訓練を乗り越えてきた…セリアみたいな魔女になるって決めたんだ。こんなのに緊張してたらそんなの叶う訳ないよ…!)


 必死に押し殺した。そして深呼吸した後――

 


「先生、覚悟が決まりました」

 


 先ほどとはまるで別人かのように変わった。

 

 その目は決意と揺るぎない信念が宿っていた

 それを見て、目を見開いた


「人が変わったみたいだね」


「はい、今日だけ昔の私は捨てます」


「いいね…その目…!なんだかゾクゾクしてきたよ…!」


 メリッサの唇の微かにその口には弧を描いていた。高揚に満ちた口調で言うと、再び背を押すように微笑んだ


「大丈夫です。それと先生は観客席から見ていますか?」


「え、いない方がいい?」


「いえ、寧ろ見ててください。あなたに『とっておきのモノ』を見せてあげます」


『とっておきのモノ』の所を少し強調し、ニヤッと笑いながら言い放った


「とっておきのモノって…どんなの?」


「それはお楽しみです。ですが少し言ってしまうとするなら、『教えてない』ですよ」


「教えてない?」


 教えてもらっていないとはどういうことなのだろうか。魔術の基礎や応用などは一つも残さず教えた。体術の訓練でも、決してメリッサはこの世の全ての体術を知っているという訳ではない。


「う〜ん…全然わかんないや」


「わからなくても大丈夫です。その方が面白くていいじゃないですか」


「まあ確かにね…でも、楽しみにしてるよ。その『とっておきのモノ』ってやつ」


「きっと驚きますよ…。あ、そろそろ時間なので行ってきますね先生」


「うん、行ってらっしゃい。全力で頑張ってね」


 リディアは手をふり返すと、そのまま会場に入って行った


「見せてもらおうじゃないか、リディア。期待を裏切らないでくれよ?」


 そのままニヤリと笑うと、観客席の所まで向かう…のだが


「あれ…観客席ってどうやって行くんだっけ…?」


 会場の前で右往左往する詰めの甘い師匠であった…


 ――――――

 実技試験会場には、厳しい審査を受ける多くの受験生とそれを見守る観客の姿があった。内容は全部で2つあり、一つ目は1分という制限時間内にバラバラに設置された100個の的をどれだけ速く壊せるか。

 二つ目は一体ずつ召喚される魔物の討伐である。全部で20回に分けられ、非常に体力や魔力の消費を削られる試験である。

 名門なだけあって、受験生に課す内容は非常に困難なものとなっている


 その内容に多くが苦戦する中、リディアの瞳には迷いや不安もなく、ただまっすぐ前を見据えていた


 ちなみにメリッサは…


「はあ…はあ…なんとか間に合った…ここまで来るのに苦労したよ…」


 ゼエゼエと息を荒げながら観客席にドカっと座った

 こっそりと汗を拭う横で、観客達は怪訝そうな目を向ける。

 確認不足も相まって、先程までかつて『史上最強の魔女』と恐れられた彼女が受験生達に道のりを聞き回り、会場のあちこちを走り回るという謎の怪奇現象が起きていた


 (あの子…どこにいるんだ?)


 席から見渡すが、受験生達が屯しているため中々見つけられずにいた


 一方、リディアは――


 (このくらいの内容なんて、訓練と比べれば生温い…)


 姉との再会を果たしたその後、訓練は桁違いに過酷になった。木に体を縄で括り付け、全力で引っぱったり…メリッサが召喚した魔物を何時間も戦ったり(倒しても次々と召喚される)…など訓練を山ほど受けてきた


「次、リディア・グレイス!」


 審査員の声が響いた。リディアは指示通りにステージに立つ。空中や低い位置などのあらゆる方向にバラバラに設置された的があった


 (これまでの特訓の成果…見せてやる!)



「始め!!」



 開始の合図が出た0.5秒後――


 指と同じくらいの光り輝く矢を魔力で作り出し、指を上に指す


 1秒――


 矢を引き、それが目にも止まらぬ速さで放たれた。


 1.4秒――


 矢が増殖し、周りに漂った的をことごとく射抜いていく


 そして――


 全ての的が無くなった


「…!」


 場内が静まり返った…


「し、終了!!」


 審査員の声が響くと、場内がざわめき始めた。彼女の矢の正確さ、そして圧倒的な速さに誰もが目を疑った


「人間の出せる速さじゃないぞ!!」


「5秒もかからず1秒だと!?しかも一歩も動いていない!!」


「…結果発表まで少々お待ちください」


 そう告げると、リディアは軽く頭を下げ、その場を後にした。表情は冷静そのもので、まるで何事もなかったかのように振る舞っている。


 一方、メリッサは――


(あの精度と光の矢の魔術なんて教えてない…!いや、あの雰囲気からしたら…まだあるな…!?)


「やっぱり先生は察しが良い…」


 観客席からリディアのニヤリとした顔が見えた気がした

はい、リディアが黒リディアになりました(笑)

別に闇落ちしたとかじゃないのでご安心を!

ただ彼女自身は弱い自分を捨てようとしただけです(それにしてもキャラ変わりすぎじゃない?)

それと今回は短めでした…


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