警備犬シベリアンハスキーの歌!
「カイザー!そっちいかない!お姉さん。ごめんなさい!」
「フフフフ、元気なワンちゃんね」
「ワンワンワンワン!」(お早うございます!なでてなでて)
「フフフ、はい、ナデナデ~、通勤途中だから、これで我慢してね」
「ワン!」
僕は誇り高きハスキー犬、名前はカイザーなのだ!今日はご主人一家の健児君に朝の散歩に連れて行ってもらって、帰ったらご飯なのだ。
「カイザーご飯よ!」
「ワンワンワンワン!」
そして、皆のお出かけを見送りして
「「「行ってきます~」」」
「気をつけて行くのよ~」
「ワン!」
そして、最後にママさんが仕事に行ったら、僕一人でお留守番をしている。
夕方皆が帰ってきたら、
「ワンワンワンワン!」
「ただいま、カイザー、着替えたらお散歩に行こっか」
「ワン!」
お出迎えして、
今度は、道子お姉さんに散歩に連れて行ってもらう。
「カイザー、たんぼ道行こう」
「ワンワンワンワン!」
「カイザーご飯だよ」
「ワンワンワン」
とこれが、一日のルーティンだ。
土日になるとドックランに連れて行ってもらう。
ワンワンなのだ。
・・・・・・・
☆数日後
不審者、三名が家を伺っていた。カイザーのいる家だ。
「あの家ね。佐々木家ね。平和そうね。ああ~壊し甲斐がありそうね。知らないうちに借金まみれになるのよ」
「姉御も人が悪い」
「夕方まで人はいません」
「馬鹿犬一匹がいるとの情報です」
「いい。時間が勝負よ。ジャーキー買ってきた?」
「ヘイ、姉御」
「馬鹿犬にジャーキーをあげて、ハムハムしているうちに入るわよ。あの家は、集落から離れているから、やりやすいわ」
「家の権利書と実印を奪うのよ。だいたい隠す場所は決まっているわ」
「ヒヒ、その後、知らない内に抵当権がどっさりついている」
「ええ、善意の第三者は確保したわ。金だけもらったら、どっか暖かい場所にでもいきましょうか?」
・・・フフフ、空き巣は現金を狙うと錯覚する。
私達は地面師よ。中古の家なんて無料みたいなものよ。問題は土地よ。祖父から譲り受けて、抵当権は外れていると登記所で簡単に調べはついたわ。
全く、登記所は、私達のためにあるみたいなものね
「でも、馬鹿犬、番犬にすらならなくて、後で叱られるのではないですか?ってどうでもいいや。ハスキーだもの」
「ワン!」
「「「ヒィ」」」
「突然、塀から顔を出しやがった」
「驚かせやがって」
「ほら、肉だぞ」
「ワンワン」
ハムハム~
「まあ、間抜け面をして、食べているわね」
「飛びかかってきたら、金槌で一発でさ」
「早いわ。もう食べ終わった」
その時、カイザーの目が光った。
ピカッ!
次の瞬間、頭を彼らに向け。遠吠えを放った。
【ウオオオオオオーーーーーーン!】
☆☆☆回想・シベリア
「ワンワン、母上、日本には行きたくないです」
「坊や。ハスキー一族は世界に散らばって、魔を払うことで人を助けるのが仕事よ。日本は、寒すぎず。暑すぎる微妙な土地よ」
「ワン!母上!それじゃ、いいとこないじゃないですか?」
「これから、この国は戦乱になるわ。軍用犬仲間から聞いたの。日本のブリーダーさんについて行きなさい。ご飯は美味しいと聞いたわ」
「ワン!」
・・・・・・・
「ウオオオオオーーーーーーン」
「「「ギャアアアアーーーーー」」」
地面師の三人は気絶をした。
体中の魔が払われたのだ。
そのショックで体が動かなくなった。
古代、隼人族は、朝廷の宮門で犬吠の儀式を行い。魔を払ったと伝えられる。
犬の鳴き声は魔を払う力があると信じられていたのだ。
・・・・・・
チャリン♩チャリン♩
「そこの人達、道で寝ていたら危ないよ・・・・何?これはピッキングの道具か?!」
「もしもし、本部、応援を願います!」
・・・・・
「お父さん。大変だよ。家の前で、ピッキングの道具を持っていた人達が倒れていたんだって」
「物騒だな。カイザーは無事か?」
「無事よ。ワンワン言っているわ」
「ピッキング対策の鍵を、いや、防犯会社と契約をするか、資料を集めよう」
「分かったわ」
「そうか、ところで、会社で防犯訓練をすることになった。カイザーをつれていこうかと思うのだが」
「「「無理!」」」
「ハスキーは警備犬には不向きだよ」
「そうか、そうだな。苦手なことをやらすことはないな」
「ワン!」
その瞬間、カイザーの目が光った。
家族は気がつかなかった。
また、佐々木家は日常に戻った。
何もおきないのが、1番かもしれない。
最後までお読み頂き有難うございました。