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普段高校生ゲーム実況者として活動している俺だが、最近仲良くなりつつあるVTuberが3人とも幼馴染だった件について。  作者: 水鳥川倫理
第1章

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第4話、遅刻魔の重役出勤と、教室に吹き荒れる三色の嵐。

午前10時15分。1時間目の授業が終わりを告げるチャイムが鳴り響いたのとほぼ同時に、俺、目黒碧は教室の引き戸をガラリと開けた。

教室内の空気は、授業終わりの解放感と、次の授業への準備をするざわめきで満ちている。俺が自分の席に向かって歩き出すと、クラスメイトたちの視線がちらりと俺を掠めた。呆れを含んだその視線には、もう慣れっこだ。


「よう、重役出勤だな、碧」


声をかけてきたのは、隣の席の田中だ。彼は教科書を片付けながら、苦笑交じりに俺を見上げる。


「碧ってさ、正直学校に何しに来てるん? ほとんど寝てるか、遅刻してるかじゃん」


田中の純粋な疑問に、俺は自分の鞄を机のフックに掛けながら、気の抜けたあくびを一つ返した。


「んー……特になんも考えてない。義務教育は終わったけど、まあ、社会的なモラル? みたいな?」


「お前の口からモラルって言葉が出るとは思わなかったよ」


田中が笑い声を上げたその時だった。

教室の入り口付近が、にわかに騒がしくなる。空気が華やぎ、男子生徒たちの浮足立つ気配が波のように広がった。


「碧ーっ!」


弾けるような明るい声が、教室の空気を一変させる。

俺が振り返るよりも早く、視界の端に蝶々のリボンが揺れた。

習志野七瀬だ。彼女は俺の席まで一直線に駆けてくると、勢い余って俺の背中に抱きつかんばかりの距離で停止した。


「もう! また遅刻でしょ! 心配したんだからね!」


七瀬は頬をぷっくりと膨らませ、上目遣いで俺を睨む。その距離の近さに、周囲の男子たちが「ぐぬぬ」と呻くのが聞こえる。制服のブラウス越しでもわかる彼女の豊かな胸元が、呼吸に合わせて上下しているのが目に入り、俺はとっさに視線を逸らした。


「七瀬、廊下を走ってはいけないと、何度言えばわかるのかしら」


続いて教室に入ってきたのは、幕張椎名だ。彼女の歩みは優雅そのもので、まるでレッドカーペットの上を歩いているかのような気品がある。艶やかな黒髪を手で払いながら、俺の机の横に立つと、ふわりと高級な石鹸のような香りが漂った。


「それに碧。貴方、ネクタイが曲がっているわよ」


椎名は自然な動作で俺の胸元に手を伸ばし、ネクタイを整え始める。その指先が首筋に触れるたび、ひんやりとした感触と同時に、彼女の体温が伝わってくるようで、俺は身体を硬直させた。これは完全に、周囲に見せつけるためのマーキング行為だ。


「碧、おはよ。……ちゃんと起きられた?」


最後に、音もなく俺の反対側に立ったのは、検見川浜美波だ。彼女は俺の袖口をちょこんと摘まみ、紫色のショートウルフの髪の隙間から、心配そうな瞳を覗かせている。その控えめながらも確かな独占欲を含んだ瞳は、俺だけを映していた。


三人の美少女に包囲された俺の席は、まさに台風の目だ。


「お前らなぁ……自分のクラスに戻れって。目立つだろ」


俺が小声で抗議すると、七瀬は「えへへ」と悪びれもせずに笑った。


「いいじゃん! それより碧、今日も放課後、碧の家行っていい? 新しいゲームの続き、一緒にしよー!」


七瀬が俺の腕にギュッと抱きつきながら提案する。その無邪気な笑顔は、太陽そのものだ。


「あら、奇遇ね。私も碧に用事があるの。生徒会の資料作りで少し手詰まりでね。碧の意見を聞きたいと思っていたのよ。……もちろん、私の側で、ね」


椎名は俺のもう片方の腕に手を添え、妖艶な微笑みを浮かべる。「教わりたい」というのは建前で、単に俺の部屋で過ごしたいという本音が透けて見える。


「私も……碧に教えてほしいことがあるの。あのゲームの、隠しアイテムの場所……碧なら知ってるでしょ?」


美波は俺の袖をさらに強く握りしめ、上目遣いで訴えかけてくる。


「わかった、わかったから。三人とも来ていいよ。……だから、少し離れろ。クラスの視線が痛い」


俺が降参してそう言うと、三人は勝利の笑みを浮かべた。

予鈴が鳴ると同時に、彼女たちは「じゃあ、またお昼にね!」と言い残し、嵐のように去っていった。教室に残されたのは、甘い残り香と、クラスメイトたちからの凄まじい嫉妬の視線だけだった。

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