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普段高校生ゲーム実況者として活動している俺だが、最近仲良くなりつつあるVTuberが3人とも幼馴染だった件について。  作者: 水鳥川倫理
第1章

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第2話、三人の包囲網(ハーレム)からは逃げられない。

午前9時35分。2時間目の授業が始まるチャイムが鳴り響く。


俺は机に突っ伏したまま、完全に意識を手放していた。隣の席の男子、田中が、俺の肩をそっと叩く。


「碧~!起きろー!授業始まるぞー。先生来るぞー」


田中の声は優しいが、俺の眠気は深海の底のように重い。


「ん……いい……俺のことは放っておいてくれ……」


俺は低い声で呟き、田中の手を振り払う。田中は諦めたように「まぁ、テストの点がいいからいいのか」と呟き、自分の席に戻っていった。


2時間目の日本史の授業中、俺は夢と現実の狭間を彷徨っていた。授業内容は、俺にとってはすでに知っている知識の羅列でしかない。教科書を開くのは、試験直前の数時間だけで済む。この驚異的な記憶力と理解力が、俺を「クズ」という仮面の下で守ってくれていた。


「椎崎くんの配信、見てくれた?あの時のエイム、本当に神だったよな」


俺の夢の中には、自分が操作するゲームのキャラクターが、プロ顔負けの動きで敵を圧倒する残像が残っていた。俺のもう一つの顔、カリスマ実況者「椎崎」としての俺は、現実の俺とは全く違う。そこには、眠たげで無気力な「クズ」の目黒碧は存在しない。


午前10時30分。2時間目の授業が終わり、休み時間になった。


俺はまだ机に突っ伏したまま、微睡みの中にいる。そんな俺の席に、田中の他に、数人の男子生徒が集まってきた。


「おいおい、碧。また寝てるのかよ。お前、本当に授業に出る意味あるのか?」


田中が呆れたように笑う。俺は顔を上げずに、低い声で答える。


「ある意味、ある意味。出席日数だけはギリギリで確保しないと、留年になっちゃうからな」


「ははっ、お前らしいな」


別の男子生徒が、少し羨ましそうな声で尋ねる。


「なぁ、碧ってさ、あんなに可愛い幼馴染3人いて、正直どうなの?七瀬も椎名も美波も、学年でもトップクラスの美少女じゃん。しかも、お前だけにデレデレじゃんか」


俺は、再びあくびをしながら、半分寝ぼけた状態で答える。


「どうって言われてもな……。保育園の頃からずっと一緒だから、もう家族みたいなもんだよ。ただ、」


俺は、七瀬の豊満な胸元や、椎名の完璧なスタイル、美波の引き締まった体つきを思い浮かべ、小さくため息をつく。


「正直、俺も目のやり場に困るんだよ。特に、あいつらが俺に抱きついてきたりすると、周りの目が痛いし、俺も男だからさ、その、なんというか……な」


俺の言葉に、男子生徒たちは一斉に「くっそ、羨ましい!」と、羨望の眼差しを俺に集中させる。


「俺たちがもし、あんな幼馴染がいたら、毎日でも学校に行くのに!」


「お前は、この世の全ての幸せを独り占めしているようなもんだよ、碧」


彼らの嫉妬の視線と羨望の言葉が、俺の周りに渦巻く。俺は再び目を閉じ、机に突っ伏した。


「そんなことないさ……。早く寝かせてくれ」


俺はそう言って、再び眠りに落ちる。俺にとって、学校は睡眠の場であり、エネルギーを充電する場所だ。夜の配信のために、今は少しでも多く眠っておきたい。


午後0時30分。3時間目の授業が終わり、待ちに待ったお昼休みが始まった。


俺は、朝からずっと寝続けていたので、顔にはしっかりと机の跡がついている。それでも、俺は眠気まなこで目を覚ます。


「さて、腹減ったな……」


俺がのっそりと身体を起こした瞬間、再び教室のドアが勢いよく開け放たれた。


「碧!お昼だよ!早くお弁当食べよー!」


七瀬が、明るい笑顔で俺のクラスに飛び込んできた。その背後には、優雅な佇まいの椎名と、クールな美波が立っている。


「碧、貴方、顔に机の跡がついているわよ。全く、どこまでだらしないの」


椎名は、そう言いながらも、ハンカチを取り出して俺の頬の跡を優しく拭おうとする。その動作は、まるで母親のようだ。


「碧、お腹空いたでしょ?私、早く碧と一緒にお弁当食べたいな」


美波は、俺の制服の裾をそっと掴み、俺の顔を見上げる。その瞳には、俺への深い愛情が込められている。


「今日は、新作のゲームの話もしなきゃね!椎崎さんの配信、昨日もすごかったよね!」


七瀬が興奮冷めやらぬ様子で、俺の腕にがしっと抱きつく。その瞬間、俺のクラスの男子たちの視線が一斉に俺の腕に向けられる。七瀬の温かい体温と、柔らかい身体が俺の腕に密着し、俺は再び顔を赤らめる。


「わ、わかったから、七瀬!あんまりくっつくなよ!周りの目が痛いんだから!」


俺は小声で七瀬に促すが、七瀬は全く気にしない。


「え~、いいじゃん!私たちが碧の幼馴染なんだから、くっつくのは当然でしょ!この方が、誰も碧に近づけないし!」


七瀬のデレデレ全開の言葉に、俺はもう諦めた。椎名も美波も、七瀬の言葉に賛同するように、俺の左右に立ち、俺の腕に自分の腕を絡ませてくる。


「行きましょう、碧。屋上でお弁当をいただきましょう。」


椎名は、俺の腕に絡ませた腕を強く握り、俺を引っ張るようにして教室から連れ出す。


「碧にぃ、行こう。私、碧にぃのお弁当、本当に楽しみなんだ」


美波は、俺の隣で、小さな声で「碧にぃ」と囁く。学校でこの呼び方をされると、俺の心臓は一気に鷲掴みにされるような衝撃がある。


俺たち四人が教室から出ると、俺の友達である田中が、小さく呟いたのが聞こえた。


「あいつ、マジで羨ましい……。あの3人に囲まれて、毎日を過ごすなんて、俺には想像もできない」


俺は田中の言葉を聞き流し、三人の幼馴染に囲まれながら、学校の屋上へと向かう。七瀬は俺の腕に抱きつき、椎名は俺の腕に絡みつき、美波は俺の制服の裾を掴んでいる。周囲の生徒たちの視線は、俺たち四人に集中していたが、俺たちはそんなことを気にせずに、笑いながら屋上への階段を上った。


「この嫉妬の視線が、俺の『クズ』という仮面をより強固なものにしているんだよな」


俺は心の中でそう呟き、彼女たちの温かい体温を感じながら、屋上への階段を上った。


屋上に着くと、いつものように、俺たちの定位置である隅っこのベンチに座る。


「さあ、碧の特製弁当、オープン!」


七瀬が元気よく声を上げ、俺の作った特製弁当を開ける。今日のメニューは、昨夜配信でも大好評だった特製ハンバーグをメインに、彩り豊かな野菜の炒め物や卵焼きが詰め込まれている。


「わあ!今日のハンバーグも美味しそう!やっぱり、碧の料理は最高だね!」


七瀬は、目を輝かせながらハンバーグを一口食べる。その顔は、幸福感で満ち溢れていた。


「ええ、本当に絶品だわ、碧。この肉汁の溢れ具合と、絶妙な味付け。一流レストランのシェフでも、これほどのハンバーグは作れないでしょうね」


椎名は、優雅にフォークを動かしながら、俺の料理を絶賛する。彼女の完璧な優等生としての表情が、俺の料理を前にすると、一瞬だけ緩むのが俺にはわかる。


「碧にぃのお弁当は、いつも愛情がこもっていて温かい味がするよ。私、碧にぃの料理を食べていると、すごく幸せな気持ちになるんだ」


美波は、俺の隣に座り、俺の腕に自分の頭をそっと乗せながら、小さな声で呟く。その言葉に、俺の心臓は再び温かくなる。


「大げさだなぁ。ただのハンバーグだろ」


俺は照れ隠しでそう言うが、三人の笑顔を見ていると、俺の作った料理が彼女たちにとってどれほど大切なものか、ひしひしと伝わってくる。


食事中、話題は自然とゲームの話になった。


「ねぇ、碧、昨日の『椎崎』さんの配信、見た?あのFPSゲームの神業エイム!あれ、どうやったらあんなに上手くなるの!?」


七瀬が興奮冷めやらぬ様子で、俺に尋ねる。俺は、自分がその「椎崎」本人だとは、露ほども気づかせないように、冷静に答える。


「へぇ、そうなんだ。俺は昨日、寝てたから見てないけど。まぁ、プロゲーマーなんじゃないか?プロの技術は、簡単には真似できないだろ」


「うーん、でも、椎崎さんってプロじゃなくて、高校生の実況者らしいよ?って友達が言ってた。…碧は本当に知らないの?」


七瀬が疑いの眼差しで俺を見る。俺の心臓は、ドクリと大きく跳ねた。


「知るわけないだろ。俺は遅刻常習犯の『クズ』だぞ。そんなすごい実況者のことなんて、知るはずないだろ」


俺は、わざとらしく自嘲気味に笑い、自分の「クズ」という仮面を被り直す。


椎名が、七瀬の発言を制止するように口を開く。


「七瀬、いい加減にしなさい。碧は疲れているのよ。それに、あの『椎崎』は、プロ顔負けの技術を持っているわ。その頭脳と、卓越したゲームスキルは、並大抵の人間では真似できない。私も彼の配信を毎日見ているけれど、彼の思考回路は、私とどこか似ている気がするの」


椎名は、そう言って、俺の顔をじっと見つめる。その瞳には、俺への愛情と、「椎崎」への尊敬の念が同時に宿っている。俺は、彼女の鋭い視線に、背筋が凍るような思いをした。もし、椎名に「椎崎」の正体が俺だとバレたら、この完璧な優等生がどんな反応をするのか、想像もできない。


美波は、俺の腕に抱きついたまま、小さな声で呟く。


「私、あの『椎崎』さんの声、なんか落ち着くんだよね。友達がね、『碧にぃの声と似てる』って言ってたんだけど…そんなことないよね?」


その一言で、俺の心臓は一気に凍りついた。美波の鋭い勘は、いつも俺の秘密に一番近いところを突いてくる。


「な、何を言ってるんだよ、美波。俺の声と、『椎崎』の声が似てるなんて…そんなことないだろ。あいつは声も加工してるし、俺と声質が全く違うだろ」


俺は必死に動揺を隠し、作り笑顔で否定する。手のひらにじんわりと汗が滲むのを感じた。


美波は俺の腕に顔を埋め、少し寂しそうに呟いた。


「そっか…そうだよね。私の勘違いだったみたい。でもね、碧にぃ。もし碧にぃが、誰にも言えない秘密を抱えていたとしても、私は、碧にぃの味方だよ。どんな碧にぃでも、私は全部受け入れるからね」


その言葉は、俺の秘密をすべて見透かしているようで、俺の心臓を強く締め付けた。美波はヤンデレ気質を隠し持っているが、その根底にあるのは、俺への揺るぎない愛情と執着だ。


七瀬は「え~、似てるかな?私には全然わからないけど!碧は椎崎より声が低いもん!」と、明るく否定する。椎名も「そうね。声質は全然違うわ。美波、疲れてるんじゃない?」と、美波の発言を流した。


俺は安堵のため息をつき、三人の幼馴染たちと一緒に、俺の作った弁当を囲んだ。この甘くて、温かい時間が、俺の「クズ」という仮面の下に隠された、本当の俺を支えてくれていた。


午後4時30分。学校のチャイムが放課後の合図を告げる。


俺は、4時間目以降もずっと寝続けていたので、体力は十分に回復していた。俺が机の上で伸びをしていると、すぐに三人の幼馴染たちが、再び俺のクラスに押しかけてきた。


「碧、お疲れ様!さあ、早く帰ろう!今日はうちで、新作ゲームの続きをするんでしょ?」


七瀬が、元気よく俺の腕に抱きつく。


「ええ、碧。私も今日は貴方の家で課題をしたいわ。分からないところがあったら、貴方に教えてもらわないとね」


椎名は、七瀬を牽制するように、俺の反対側の腕に自分の腕を絡ませる。


「碧、今日も一緒だよ。私、碧がいないと寂しいんだからね」


美波は、俺の制服の裾をそっと掴み、俺の顔を上目遣いで見上げる。


俺は、三人の熱烈な歓迎に苦笑しながらも、「わかったわかった。じゃあ、今日は俺の家でゲームと夕飯にしようか」と答える。


俺たち四人が教室を出ると、俺の友達である田中が、俺に耳打ちする。


「お前、本当に羨ましいぞ、碧。あの3人に囲まれて、毎日を過ごすなんて。まるでハーレムだな」


俺は田中の言葉を聞き流し、三人の幼馴染に囲まれながら、学校の門をくぐった。七瀬は俺の腕に抱きつき、椎名は俺の腕に絡みつき、美波は俺の制服の裾を掴んでいる。周囲の生徒たちの視線は、俺たち四人に集中していたが、俺たちはそんなことを気にせずに、笑いながら家路を急いだ。

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