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〈プロローグ〉扉の前
私は今、屋敷のとある扉の前に立っている。
この扉を開けると、もう後戻りはできない。
扉の向こうには、私を待ってくれている彼がいるはずだ。
先日、彼から男女の情を交わしたいと真剣に提案された。
彼とそのような関係になる事を想像したことすらなかったから、提案された時は驚いたわ。
でも、彼であれば私の初めての相手として、何一つ問題のない人だ。
彼は私が異世界から来た話を真摯に受け止めてくれた人。
彼の事だからきっと、大切にこの身体を扱ってくれるだろう。
私は後悔しない。
自分の選択に迷いはもうないわ。
さあ、行くわよ。
私は覚悟を決めて、ガチャリと目の前の扉を開けた。