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6. いつもとは少し違う日常


 ラブレターが送られた翌日の朝、蒼衣はいつも通りの朝を迎えていた。

「蒼衣お嬢様……ラブレターの返事はどうしますか?」

 飛燕は蒼衣に返事を尋ねた。

「……ラブレターの返事はまだ考え中よ」

「しっかりと答えを出さないと後で大変なことになりますよ」

「わかってるわよ」

 蒼衣はそう言って朝食を食べた。飛燕はその様子を見ながら家事をしていた。

 すると、玄関のチャイムが鳴った。

「飛燕、私が出るわ」

 そう言って、蒼衣は六条屋敷の玄関に向かった。ドアを開けるとそこには香織がいた。

「六条さん……一緒に学校に行こっ!」

「……もう少し待っててね」

 蒼衣はそう言って香織をリビングで待つように促した。

 香織はリビングにつくとくつろぎ始めた。蒼衣はジト目で香織を見つめていた。


◆◆◆◆◆


 中津宮の郊外のアパートの一室。女子小学生、雪城うたは楽しい予感に打ち震えていた。

「いつもとは違う日常がこれから始まるんだ!」

 うたは数日前の黒猫公園で彼女たちが何かをしていたのを見てこの2人なら友だちになれると確信していた。早速うたは、手紙を書いて蒼衣の下駄箱に入れたのだ。

「六条蒼衣ちゃん……友だちになれたらいいなぁ!」

 うたの胸には期待と予感に満ちあふれていた。

「あっ!」

 その時、うたは手紙に重大なミスに気づいた。日時を書いていないのだ。!

「ちゃんと空き教室にいてくれるかな?」

 うたの心は少しだけ不安になった。


◆◆◆◆◆


「六条さん……その視線の件はどうなったの?」

 香織は蒼衣に視線の件を尋ねてきた。

「六条さん、実は下駄箱にラブレターが届いたのよ」

 飛燕が蒼衣に変わって質問に答えた。

「ラブレター!」

 香織は驚いた。

「やっぱり六条さんに恋をしている人がいたんだね」

「……まだ決まったわけじゃないわよ」

 蒼衣は少しだけ香織の目をそらした。

「それで返事は決まったの?」

「まだ保留中よ」

「早く返事を決めたほうがいいよ」

「……わかってるわよ」

 蒼衣は心底恥ずかしそうな表情をした。

(このラブレターにどう返事をしようかしら?)

 蒼衣はラブレターをちらりと見た。

(ん?)

 蒼衣はラブレターに僅かな妖気を感じられることに気づいた。

(妖魔が小学校に紛れているの? 私はあんまり気にしたことはないけど)

 蒼衣は中津宮に起きた出来事について考えていた。千年妖狐の転生体を巡って藤原千方が中津宮で暗躍しているとは聞くが小学校は無縁の話だろう。

「まぁ、気のせいよね」

 蒼衣は迷いを振り切るように呟いた。

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