5. 視線が気になる
黒猫公園に龍脈調査に行ってから数日後、蒼衣も香織に慣れてきて平穏な日常が戻りつつあった。
そんな中、蒼衣にはきになることがあった。
「……誰かに視線を向けられてるような気がする」
「六条さんの気のせいじゃない?」
「そうかしら?」
蒼衣は黒猫公園に調査に行って以来、どこか遠くから視線を感じるのだ。敵意かどうかはよくわからないが蒼衣にとってはいい気がしない。かといって確証がないのだ。
「……とにかく、視線だけを感じるのよ。日頃の行いがいいのかしら?」
「……誰かが六条さんに恋しているのかな?」
「まさか、そんなことはないでしょ」
香織は軽口を叩きながら教室周辺の気配を探った。特に怪しい気配はなかった。
(誰が六条さんを監視らしきことをしているのかな?)
全ては謎のまま昼休みのチャイムが鳴るのだった。
◆◆◆◆◆
時間が流れ、放課後。今日は龍脈調査はないので蒼衣はまっすぐ屋敷に戻ることにした。
蒼衣は教室を出るとまっすぐ玄関に向かい自分の下駄箱に靴を履き替えようとした。しかし、蒼衣の手は止まった。下駄箱に見慣れない封筒が入っていたからだ。
蒼衣はすぐさま封筒を調べるが名前は書いてなかった。
「誰がこの封筒を入れたのかしら? カミソリの刃とか入ってないよね」
蒼衣は恐る恐る封筒を開けて中身を確認してみた。
「!?」
蒼衣は内容を見て目を白黒させた!
『六条蒼衣様……ずっと前から気になってました……今度お話をしたいので空き教室で待っています』
おおよそこんなことが書いてあり、雪の結晶らしき落書きが添えられていた。
「こんなことってあるの!?」
蒼衣の頭は混乱していた。どのように六条家の屋敷に戻ったのかほとんど記憶になく、蒼衣は気がついたら屋敷のソファに寝転んでいた。
「蒼衣お嬢様!どこか具合は悪いのですか!?」
蒼衣の様子を見た飛燕が思わず心配するほどだった。
「ラブレターが送られてくるとは思いませんでした」
「飛燕……私は突然の出来事に頭が混乱しているの」
「返事はどうしますか?」
「……そもそも差出人もわからないし、どうしよう」
蒼衣はラブレターを前に頭を抱えるのだった。