表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/15

12. 卑劣な人質戦術は許さない


「一応、君にも聞いておきましょうか……千年妖狐葛葉姫の縁者は学校のどこにいますか?」

「……私が千年妖狐葛葉姫の縁者を知るはずはないわ。もう家に帰ったんじゃない?」

 妖術師の尋問に蒼衣は毅然とした態度で答えた。

「……ほう、人質の分際で減らず口を叩きますか。生意気な子供にはお仕置きが必要ですね」

 妖術師は蒼衣の態度に少し怒りを表した。妖術師の意思に従うように蒼衣を拘束する黒いスライムが首筋に半液体状のボディに纏わりついた。

「フフフフフ……この黒いスライム、影鰐は私が十年の研究を費やして完成させた呪物でしてね……私の意のままに操ることができるんですよ」

「……何? 自慢話でもするつもり?」

 蒼衣の言葉はそれ以上続かなかった。首筋に纏わりついたスライムが緩やかに圧迫し始めたからだ。

「……!?」

「…… つまり、私は君の生殺与奪を握っています。君が私の気分を損ねるとどうなるかわかりますね?」

「……あなたは本当に卑怯者ね」

 蒼衣は侮蔑的な視線を妖術師に向けた。妖術師は少し気が晴れたの首筋の圧迫は収まった。

「……まぁ、君を殺したら元も子もないのですがね」

 妖術師はそう言って静かに笑った。まるで自分が強者のような態度だ。

「千年妖狐葛葉姫の縁者を見つけ出すまで大人しくすることです」

「……わかったわよ」

 蒼衣は大人しく引き下がった。


◆◆◆◆◆


「……!」

 式神少女、篝は強い妖力を感じとった!

「篝、この先に妖術師がいるのか!?」

「主、確かに強い妖力を感じ取りました! あそこの教室です!」

「一気呵成に乗り込むぞ!」

 古河遊聖と桃野香織は強い妖力の源がある教室に乗り込んだ!

「妖術師!見つけたぞ!」

 教室の戸を明け放ち、霊刀を妖術師に向ける遊聖!

「ようやくお出ましですか……早速、交渉と参りましょうか」

 妖術師は酷薄な表情で遊聖たちを迎え入れた!

「桃野さん!」

 蒼衣は香織の姿を見て思わず声を上げた!

「六条さんの両手両足と首がスライムに覆われている!」

「千年妖狐葛葉姫の転生者を私に差し出しなさい……下手な動きをすると彼女の生命の保証はありませんよ」

「断るに決まっているだろ!」

 遊聖はそう言って閃光符を妖術師に投げ込んだ!まばゆい光をが教室に包み込む!

「!?」

 電光石火の早業に妖術師は対応できず眩しさで目をつぶる!

 光がやんだ時、妖術師の周囲は人質の蒼衣を含めて誰もいなかった。

「……逃げましたか。しかし、私には影鰐がいます。じっくり追い立てましょう」

 妖術師は余裕たっぷりに遊聖たちを追いかけようとして表情を変えた。自らの影にゴム製クナイが突き刺さったことに気づいたからだ。

「影縫いの術ですか……味な真似をしますね」

 妖術師は静かに怒りの炎を燃やした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ