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10. 蒼衣、捕獲される


「……何事もなく復活したわ」

 蒼衣は黒い液体が集合する様子を見て戦慄していた。爆雷符が通用しない強敵に小学生退魔師には荷が重すぎると感じた。

「とにかく足止めをしないと」

 蒼衣は焦りを振り払うかのように護符を握りしめ、黒い液体に向けて5枚投擲した!

 黒い液体は攻撃は見切ったかのように緩慢に迫りくる!

「星剣の封魔符!」

 しかし、5枚の護符が煌めき、黒い液体周辺に張り付き結界になった!

「簡易的な結界だけどしばらくは黒い液体は抜け出せないはず」

 蒼衣は黒い液体が結界にでられなくなっていることを確認すると護符形態の飛燕を取り出した。

 しかし、蒼衣は護符に注意を取られていて、背後から迫りくる黒い液体に気づいていなかった!

「!?」

 ぐんにゃりとした気色悪い感触とともに蒼衣の背中のあたりか、黒い液体を纏わりつき拘束した!

「……気持ち悪い!」

 蒼衣は表情を歪める!

「……可愛い退魔師くん。その護符を下ろしなさい」

 声のする方に蒼衣が視線を向けると黒ずくめの男が蒼衣に酷薄な視線を向けた!

「……あなたが妖術師ね」

 蒼衣は妖術師を睨みつけた!しかし、妖術師は退魔師が幼いことに侮りの感情があるのか鼻で笑うばかりだ。

「君には退魔師協会に対する人質になってもらいます……怖い目に合いたくなければ大人しくすることですね」

「くっ!」

 蒼衣は人質にされたことに歯噛みした!

「さて、ゆっくりと千年妖狐葛葉姫の転生体の弟をゆっくり探すことにしましょうか」

 退魔師はゆっくりと護符をはがし黒い液体を結界から解放した!

 蒼衣は無言で妖術師を睨みつけた!


◆◆◆◆◆


 その頃、保健室に男子生徒を送り届けた桃野香織は蒼衣と合流するために急いでいた!

「早く六条さんと合流しなくちゃ!」

 廊下を急ぎ足で移動する香織! 妖術師は何を仕掛けてくるのかわからないので早く合流しなければ大変なことが起きるかもしれない。香織の表情には焦りがあった。

 玄関に差し掛かったときに香織は霊力を感じ取った。香織は反射的に振り返った!

 すると玄関先には犬耳の生えた式神少女と高校生男子が立っていた!

「あ、あなたは退魔師協会の応援ですか!?」

「そうだけど……君は蒼衣ちゃんの友達か?」

 その男子高校生退魔師、古河遊聖は桃野香織に簡易的な会釈をした。

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