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「みっ、ミライ様!今すぐ、冒険者ギルドに登録して、冒険者になった方がいいですよ!」
え、やだ。
「いえ、私は素材を売りに来ただけですし...」
「あっそうでしたね。お値段お伝えしますか?」
忘れてたんだ。別にいいけど。
「お、お値段、大銀貨7枚です」
…ま?
「やばっ!」
「大銀貨7枚とかすげぇ大金じゃん」
ちなみに大銀貨7枚は七十万だ。やばいね。
というかずっと思ってたけど、ここギルド登録してなくても素材売れるんだよね。
普通は、登録してないとまず素材を売れない。冒険者たちの獲物が取られちゃうから。
「お前がミライか?」
そんなこと考えてたら、受け付けの奥から、若そうで、強そうな人が出て来た。
「オレはここのギルドマスター、ジェンだ。よろしくな」
まさかのギルマス。見た目だけだと二十代後半らへん。よっぽどすごいんだろう。
「ジェンさん。ミライと申します。宜しくお願いします。」
「堅苦しい挨拶はなしだ。ジェンと呼んでくれ。ついでに敬語もやめろ」
頭をかきながら、歯を見せるようにしてジェンさ...ジェンは笑った。
「じゃあそう呼ばせてもらうわ。私のこともミライと呼んで」
「おぉ、適応力すげえなぁ。ミライ」
これでも前世は社会人なので。こちとら、上司の無茶ぶりにも耐えてきたんで。
「それでジェン、どうしたの?ギルマスって忙しいんじゃ...」
「ああ、確かに忙しいが、今は緊急事態だからな。」
緊急事態?何かあったのか?
「おい、ミライ、俺と決闘しろ」
「……………はい?」
どゆこと?
「いや、Aランクの魔物をこんなに沢山狩れるやつは、俺が生きてきた中で初めて見た。お前の能力だと、余裕で上位ランクの魔物を狩れると思うんだよな」
「はぁ、でもそれと決闘に何の関係が?」
まぁ確かに上位ランクの魔物ならよそ見しててでも狩れるけど、それと決闘に何の関係があるんだ。
「俺はお前に、冒険者になってほしいんだ」
そういうことか。確かに自分がギルマスを務めるギルドで、なることがとても難しいと言われているBランク以上の冒険者が出たら、誇りだもんな。でも...
「嫌です」