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「あ、はい、分かりました。すぐに荷物をまとめてこの国から出て行きますね」
「「「え?」」」
その場にいた全員がポカンとなっている。なんでだろう。
だが私にそんなことは関係ない。
「それでは、失礼致します」
「お、おい貴様!ちょっと待て!」
小さくお辞儀して少し駆け足で自分の部屋に戻ろうとしたら、ナントカ王子に呼び止められた。
自分から出ていけと言っておいて待てというだなんて、我が儘なやつだ。
あ、ナントカ王子というのは、さっき私に「出ていけ!」っていった人。一応ドフィート王国の第二王子なのだ。
「きっ、貴様、俺達になにか言うことがあるだろう」
…………え、なにそれ?私何かこいつらにしたかな。むしろ私がされた側なのだが。
「黙っていないで、何か言え!」
わぁ~すっごい無茶ぶりぃ~。何か言えっていっても何言えばいいんだよ。もしかして、私に謝れって言ってんのかな。本当にそうなら、言うわけがないが。
「いい加減にしろ!」
ナントカ王子が声を荒げたからか、後ろにいた護衛などが私を睨みつけてきた。そんなに睨まれても、私悪くないので。
まぁ、この空気からして「謝れ」ということなのだろう。
でも私謝りませんよ?だって私悪いことなんて一つもしていないし。
「ミラリア・クリスタル!早くしろ!」
いや、何をだよ。でも流石に返事はしといた方がいいだろう。他の人達が可哀想だし。
だが、悪いことをしていない私が謝る理由など一つもない。ならば!
「皆様今日までありがとうございました。これからは聖女が居ませんが、くれぐれも不幸に巻き込まれぬよう、頑張ってください。それでは」
私が笑顔で微笑むと、辺りがザワつく。ナントカ王子はぽかんとしてる。
理由は分からないが、正直この城から早く出て行きたいので、早足でその場を去る。
(やったー!やっと自由になれる!)
私は心の中でガッツポーズした。