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手がかり発見?(3/3)

「でも、これだけじゃあ状況証拠にしかならないわ」


 私はうめく。


「『オスカーに結界を解く力があった』っていうだけじゃ、犯人とは断定できないもの。確かにちょっと前進はしたかもしれないけど……」


「ルイーゼ。忘れてない? 君にもう一つ伝えることがあるって言ったの」


 私が悩んでいると、アルファルドがローブの中から一枚の紙を取り出した。……地図?


「これ……前に私たちが罰則でキーレムの修繕活動をしたときに使ったもの? あら? でも、ちょっと前とは違うような……」


 あのときの地図は校舎の中を描いたものだったはずだ。でも、今アルファルドが出してきた地図に描かれているのは……。


「……クレタの森?」


 私は地図に書き足されたアルファルドの手書きの文字を読んだ。


「これはクレタの森の地図なの?」


 って言っても、そんなに詳細なものじゃない。森を現わしているスペースに線を引っ張って、区画別に分けてあるくらいだ。


「どこにあったの、こんなの」

「私が作ったんだよ」


 アルファルドが笑う。


「前にもらった地図をちょっといじって、クレタの森用に変えたんだ。結構大変な作業だったよ。そのせいで、こんな適当なものを作るだけなのに少し時間がかかってしまって……」


 アルファルドは紙面を指先で叩いた。でも、私にはまだ彼が何をしたいのか理解できない。


「アルファルド……これって、キーレムの現在位置を知るための地図でしょう? それをクレタの森用に変えてどうしようっていうの?」


 それにクレタの森を管理しているのは、キーレムじゃなくてソーニャ先生夫妻なのに。


 私が疑問に思っていると、「これはキーレムを見つけるための地図じゃないんだよ」とアルファルドは言った。


「ほら、キーレムって、体に魔法具を埋め込んで位置が分かるようにしてあるだろう? 私はその魔法具を偶然入手できたんだ。あの修繕活動の最中にキーレムが爆発した拍子にね」


「……それで?」


「私はそのとき手に入れた魔法具をオスカーのローブにくっつけたんだよ」


 今まで話半分で聞いていた私は、その一言に目が覚めるような思いがした。アルファルドが自慢げに続ける。


「図書館で彼と会ったときにこっそりと、ね。彼が気付いて外してなかったら、今でもそのままだ。確かあの魔法具が表示するシリアルナンバーは……十一だったかな?」


「つまり、『十一』の番号がこの地図上に現われたら、オスカーも森にいるってことね!」


 私は興奮してアルファルドの手から地図をひったくる。


「彼が授業以外で森に行くのは、きっと結界を解除するためだわ! そこを捕まえればいいのよ!」


 現行犯なら言い逃れなんかできないに決まってる。私は地図をなめ回すように見つめた。


「見てなさいよ……。とっ捕まえてやるわ!」


 こんな方法を思い付いて、それを実際にやってのけるなんて、さすがはアルファルドだ。この地図が高度な魔法で作られていることくらい、私にだって分かった。


「アルファルド、ここから先は任せて! 私が見張っておくわ! 『十一』が地図上に現われたら知らせるから、一緒にオスカーを捕まえましょう! コウモリの学級の名誉を回復するのよ!」


「頑張ろうね」


 アルファルドがふわりと微笑んだ。その表情に、私はまたドキドキしてしまう。


 ……やっぱりアルファルドはすごいわ。魔法の才能だけじゃなくて、私を虜にする力だって一級品なんだから。


 そんなことを考えてしまった私はまた恥ずかしくなってきて、その気持ちを誤魔化すように地図をさらに熱心に見つめることにした。

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