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二度目の魔法学園での生活で、元魔王の大切な人と相思相愛になりました  作者: 三羽高明@『廃城』電子書籍化
2章 二度目の魔法学園生活で、元魔王と青春のやり直しを
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手がかり発見?(2/3)

「何か収穫、あった?」


 私の気も知らず、アルファルドはいつも通りの優しい声で尋ねてくる。私は「あるような、ないような……」とごにょごにょ答えることしかできない。一人でオロオロしてバカみたいに見えないかって、急に不安になってきた。


 ……大体、何でまだ手を離してくれないのよ。もう支えてくれなくても、本は落ちないのに。


 同じことに気が付いたのか、アルファルドは私からすっと離れていった。当然、もう手も握られていない。どんどん大きくなっていく心臓の音を持て余していた私は、ほっと胸をなで下ろす。


 最近の私、変だわ。アルファルドが『私を恋人にしてみたい』って言ってからずっと。


 例えば、アルファルドのふとした仕草にときめいてしまったり、いつの間にか彼のことを考えていたり……。


 これじゃあ、『アルファルドが私を恋人にしたがってる』って言うよりも、『私がアルファルドの恋人になりたがっている』みたいじゃない!


 何で!? 何でそんなことを感じちゃうの!?


 確かにアルファルドは優しいし、いい人だし、紳士的だけど、悪いところだってあるわ!


 ……あるに決まってる。


 ……あるはずよ。


 ……ある……わよね?


 ……。


 ……ああ、ダメだ! いいところしか思い浮かばない! 『こんな人になら恋しちゃうな』っていうところがアルファルドには盛りだくさんだ! 何なの、この人! それとも、私の目にだけそう映ってるのかしら!?


「……ルイーゼ?」


 挙動不審になっていると、アルファルドが不思議そうにこっちを見てくる。


「どうしたんだい? 固まって」


 ……誰のせいだと思ってるの。


 一番厄介なのは、私がこんなに困っているのに、アルファルドが平然としていることだった。せめてアルファルドも私と同じくらい平静さを失ってたらよかったのに! そうしたら、私だってもっと素直に……。


「どうもしないわ。……そんなことより、アルファルドの方はどうなの?」


 感情が頭の中で忙しくグルグルと混じり合ってしまった私は、もうそれ以上考えることを放棄して話題をそらした。


「何か成果、挙げられたの?」

「うん。君に報告したいことが二つあるよ」


 アルファルドはちょっと得意そうな顔になって指を二本立てた。


「来て」


 促されるままに私は図書館を後にした。連れて来られたのはトロフィールームだった。


「こんなところに何があるの?」


 予想外の場所すぎて首を傾げてしまう。


 トロフィールームは、学園の催し物などで生徒たちが獲得したメダルとかカップなんかが飾ってある、とても大きな部屋だ。普段は人があまり立ち入らないところだから、いつもしんと静まり返っていて、ちょっと不気味な印象を受ける場所だった。


「これ、見て」


 アルファルドが指差したのは、一枚の表彰状だった。私もそこに視線をやる。


「これは……毎年秋の終わりくらいに開催される、解析魔法学大会の成績優秀者に贈られる……」


 私は呟きながら、大会の最優秀選手の名前に何気なく目をやった。


『オスカー・メイコル』


 ……オスカー? オスカーってまさか……。


 その瞬間、私はあることを思い出して「ああっ!」と大声を出した。


「オスカー・メイコル! オスカー・メイコルだわ! どうして気が付かなかったのかしら!?」


 私はオスカーの名前が書かれた表彰状を穴が空くほど真剣に見つめた。


「オスカー・メイコル! 第一八六回から一八八回の解析魔法学大会の優勝者だわ! 三回も優勝したから殿堂入りしたのよ!」


 一度目の学園生活で受けていたエルキュール魔法学園史のレポートにそう書いたのに! あまりのことに私は歯ぎしりしたくなる。


「そうよ……そういうことだったんだわ! 解析魔法学大会で何回も優勝できるくらいなら、森の結界だって解除できたっておかしくないわ!」


 解析魔法学は、その場にどんな魔法がかかっているのかを調べる学問だ。それだけじゃなくて、その魔法を解くにはどうすればいいのかについても考察する必要がある。


 必要となってくるのは、論理的思考力や洞察力、それに幅広い知識だ。この教科、苦手な子も結構多いんだけど、オスカーはそうじゃなかったのね。彼、冴えないように見えて意外とすごかったんだわ。

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