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二度目の魔法学園での生活で、元魔王の大切な人と相思相愛になりました  作者: 三羽高明
2章 二度目の魔法学園生活で、元魔王と青春のやり直しを

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元魔王の青春やり直し計画(1/3)

「じゃあ、始めましょうか」


 神経質そうな顔の中年男性がにこやかに話しかけてくる。


「まずは一階からです。はい、地図をどうぞ。悪ガキ共にぶっ壊された可愛そうなキーレムちゃんたちを早く助けてあげましょうね」


 私は気のない声で「はい」と返した。対するアルファルドは元気よく「分かりました」と言っている。


 水蛇寮の談話室で一騒動を起こした私たちは、罰則として校内のキーレムの修繕活動を手伝わされることになった。


 この男性は校舎の地下に本部がある管理部門の職員さんだ。学園で働いているゴーレムたちが用務員みたいなものだとしたら、その上司ってことになるのかしら? ゴーレムたちに命令を下したり、壊れたら直したりするのが彼らの役目だ。


 その中でもこの人は、規則違反した生徒を取り締まる部署――要するにキーレムたちを管轄している職場で働いているらしかった。


「それにしても、近頃の子どもは教育がなってませんね」


 職員さんは歩きながらグチグチと文句を言っている。


「この間なんて、キーレムちゃんの頭でキャッチボールしてる生徒がいたんですよ! しかも、つい三十分前にメンテナンスが終わったばっかりの個体を! 信じられますか!?」


 憤る職員さんに生返事を返して、私は地図を見た。


 広い校舎のあちこちに、転々と光る番号が振ってある。キーレムのシリアルナンバーだ。管理部門はキーレムの体に専用の魔法具を埋め込んで、それで現在地を把握しているらしかった。


 でも、中には死んだように光を失っている番号もあって、それが修繕を必要としている個体――つまり、今から私たちが直さないといけないキーレムを現わしていた。


 その原因は職員さんも言っているとおり、大体が生徒たちに壊されたことによるものだ。


「もっと頑丈な体に作り替えればいいのにね」


 アルファルドがボソッと疑問を口にする。私は「予算の関係上、それは厳しいんじゃないの」と返した。


「知ってる? 大剣の学級にある『反キーレム同好会』の話。一日に三体のキーレム撃破がノルマだそうよ。中には、魔法で修復できないくらいひどい壊し方をする生徒もいるんだって。そんなのを相手にしてるんだから、キーレムをグレードアップするお金、きっとないのよ」


「相変わらず治安が悪いね、この学園」


 アルファルドは困ったものだという仕草をしたけど、顔が笑っている。罰則を受けてる真っ最中だっていうのに、何がおかしいのかしら?


 いや、今だけじゃないわ。何だか最近のアルファルドは楽しそうだ。私の気のせいかしら?


「では、あの子からいきましょうか」


 窓に顔を突っ込む形で活動を停止しているキーレムを見つけ、職員さんは駆けていく。シリアルナンバー十一の個体だ。


「早く助けてあげましょう! ……こら! そんなものはしまいなさい!」


 杖を取り出した私を見て、職員さんは目を見開いた。


「うちのキーレムちゃんは繊細なんです! 問題児の魔法なんか浴びたら、ひとたまりもありませんよ!」


 私、そんなに信用がないの? ちょっとショックを受けつつも、私たち三人は人力でキーレムを窓から引っ張り出そうとした。


 でも、中々上手くいかない。どこかに引っかかってるのかしら? アルファルドが「変だね?」と首を傾げる。


「随分がっちりとはまり込んでいるみたいだ。まるで……」


 キーレムの体が光り出した。アルファルドが「伏せて!」と叫び、私に覆い被さる。


 その瞬間にキーレムが大爆発した。巻き込まれた職員さんは爆風で吹っ飛び、壁に頭をぶつけて気絶してしまう。


「ひゃっはー! 大成功だぜー!」


 近くの空き教室から大剣の学級の黄色い腕章をつけた生徒の団体が出てきて、ハイタッチをした。


「見たか、俺たち『反キーレム同好会』の力!」

「ひゃははは! この光景、念写に撮って学園新聞に載せてもらおうぜ!」


 反キーレム同好会の会員はどこからともなく魔法具を取り出した。辺りがフラッシュの光で白く染まる。

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― 新着の感想 ―
[一言] しょ、職員さーん!!!!((((;゜Д゜))) コウモリどころか、みんな問題児じゃないか!? そして相変わらずだなと言うアルファルド……百年前からこうなんだな……orz
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