コウモリの学級のヤバイ奴らがカチコミに来たぞ!(2/3)
私とアルファルドは外に出た。オスカーのいそうなところはどこかを一緒に考えながら廊下を歩く。
元水蛇の学級生だからアルファルドは寮内に詳しくて、どこへ行くにも迷わないで済んだのは幸運だった。
話し声が聞こえてきたのは、ある一室の前を通りかかったときだ。
「なあ、やっぱりヤバいって。コウモリの奴らが来たんだよ!」
『コウモリの奴ら』という言葉に反応して覗いてみると、人気のない談話室に三人の男子生徒が集まっていた。その内の二人がさっき入り口で会って逃げていった子だったから、私は少し興味を引かれてしまう。
「どうすんだよ! このままだと吹き飛ばされるぞ!」
「へ、平気だって! 黙ってたら分かんねえよ」
「さすがにやり過ぎたか……? ロッカールームを荒らすなんて……」
「何ですって!?」
まさかの台詞に、私はアルファルドの制止を振り切って談話室へと飛び込んだ。
「嫌がらせの犯人、あなたたちだったの!?」
「ひゃいぃ! で、出たー!」
三人組は椅子から転げ落ちて後ずさりした。よっぽど私が怖かったのか、三人とも凶暴なドラゴンに出くわしてたような顔になっている。
「ゆ、許してくれ! 出来心だったんだよー!」
「俺たちがやったのは、ロッカールームを荒らしただけ! 他のは違うよ!」
「ご、ごめんなさい! 何でもするから……と見せかけて、これでも食らえ!」
最後の一人が土下座するフリをして私に術を放ってきた。私は障壁を張ってそれを弾き飛ばす。頭上で爆発音がした。
「なんて卑怯なことをするのよ! 降参するって言っておきながら攻撃してくるなんて、あなたそれでも……」
「ルイーゼ、危ない!」
不意にアルファルドが飛んできて、私は床に倒れ伏す。でも、思ったよりも痛くなかったのは、彼が私を抱きしめて衝突の衝撃を和らげてくれたからだろう。
「アルファルド……?」
彼の腕の中で何事かと目を白黒させていると、頭の上から轟音が響いてきた。天井にいくつかの大穴が空いて、そこから水が流れ込んできている。きっと、さっき私が跳ね返した魔法が当たったんだろう。
「修復せよ!」
私は大慌てで穴を塞いだ。でも、その頃には談話室は水浸しになっていて、もう膝くらいまで浸かってしまっている。
「どうしましょう……」
私は困り果てる。
「サハギン、入っちゃったかしら?」
「かもね。でも、あの魔物は意外と大人しいから……」
言った傍から絶叫が聞こえる。視線をやると、さっきまで三人いたはずの男子生徒のうち、一人が見当たらなくなっていた。