魔王が復活したことと同じくらいショックなんだけど!(2/2)
コウモリの学級!? コウモリの学級ですって!?
私は腕章を放り出して叫びそうになった。
冗談でしょう!? コウモリの学級って、『奇人・変人・問題児が勢揃い』なんて言われてるあのクラス!? これからの六年間、私、そんな人たちと一緒に授業を受けたり、寮生活を送ったりしないといけないの!?
そんなの、魔王が復活したことと同じくらいショックなんだけど!
「て、天馬の学級に戻してください!」
私はベッドから跳ね起きて、腕章を校医さんに突き返した。
「私、本当は天馬の学級の生徒なんです! コウモリの学級の所属じゃありません!」
「そんなこと言っても、もう決まっちゃったしねえ」
校医さんは困ったような顔になる。
「ここもそんなに悪くないわよ。……ああそうだ。あなたのお見舞いをしたいって言ってた子のこと、すっかり忘れてたわ」
校医さんはどこかへ行ってしまった。私はそれを追いかけようとしたけど、すぐに足が止まる。
「元気になったのか、よかった」
魔王だった。向かいのベッドに腰掛けて、にこやかに手を振っている。
「私もついさっきまで寝ていたんだ。同じクラスに学級分けされたみたいだね。何だか愉快なことになってしまったようだ」
「あなたのせいよ!」
私は思いきり魔王を睨みつけた。
「きっと、あなたと一緒に大広間に乱入したせいで、『こんな問題児はコウモリの学級に入れておけ』ってなったんだわ! ……表に出なさい」
やっぱりあのとき始末しておくべきだったと後悔した。
でも、まだ間に合うはずだ。魔王と一緒に学園生活を送るつもりなんか、私にはさらさらない。さっさとこいつを倒して、学級も元のところに戻してもらい、平和を手に入れないと!
「君は血の気が多いな」
魔王は少し呆れているようだ。
「少しは落ち着きを身につけないと早死にするよ。後、もう五分もすれば消灯時間だ」
「五分? 三分で決着をつけてやるわ!」
私は杖を掴んで廊下に出た。先生に彼の正体を暴露しても信じてもらえなかったんだ。となれば、私がこの手で彼を倒すしか方法はない。
魔王も困り顔になりながら杖を片手に廊下に出た。
他の寮にはあんまり行ったことがなかったけど、コウモリの学級の寮の内装は天馬の学級と随分違っていた。
天馬寮は床も壁も白大理石で作られていて、所々にペガサスの形をしたタイルがはめ込まれている。
だけどコウモリ寮は、壁も床も天井も全部灰色の石でできていた。何だか殺伐として重苦しい印象だ。
それに、窓もないから何だか薄暗くて空気も淀んでいる感じがする。そう言えばコウモリ寮って、洞窟の中にあったんだっけ。
天井にたくさんシャンデリアをぶら下げたり、燭台をいっぱい設置したりしたって、きっと自然光には敵わないんだろう。
宙に浮かぶ小島の上に建ってる天馬寮は、爽やかな風と光でいっぱいの、窓も大きいところだったのにと私はげんなりした。