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二度目の魔法学園での生活で、元魔王の大切な人と相思相愛になりました  作者: 三羽高明
3章 二度目の魔法学園生活に、忍び寄る九つの頭

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奇妙な友情(2/2)

「もう止めてください!」


 でもそこにノイルートが割り込んできて、魔法でオスカーの杖を叩き落としてしまう。そして、彼に向かって怒鳴った。


「あなた、本当にバカですね! 自分の実力も考えずにこの人たちに向かっていくなんて! 僕はあなたのそういうところが嫌いなんですよ!」


 ノイルートは驚いたことに杖を放り出し、オスカーの頬を平手打ちした。


「本当に、本当に嫌いです! ヘラヘラしているところも! 僕が少し優しくしただけで楽しそうになるところも! 利用されているとも知らずに嬉しそうにしているところも! 食事のときクチャクチャと音を立ててものを噛むところも! 脱いだ服を放りっぱなしでその辺に放置しておくところも! この間朝寝坊して間違って僕のローブを着て登校してきたところも! 気付くでしょう、普通は! それから……」


「ノイルート、やめて!」


 暴言を吐かれながら何度も殴られているせいでオスカーは口の中でも切ったのか、唇から血を流していた。って言うか後半は日常生活の愚痴じゃない! もしかしてこの二人、ルームメイトだったりするの?


 私は思わずノイルートの肩を掴んで彼を止めようとしたけど、「うるさいですよ!」と言われ、はねつけられてしまう。


 私は唖然となった。こんなに感情的なノイルートは見たことがない。


「全部言ってやらないと気が済まないんですよ! 血ぐらい何だと言うんですか!」

「……そうだね」


 オスカーは手の甲で唇を拭って、腫れた頬に手を当てた。


「でも……殴られただけあったよ。ヘルマンくん、意外とボクのこと、よく見てくれてるんだね」


 ヘへ、とオスカーは笑った。ノイルートの口元が不快そうにピクリと動く。


「ノイルート……もういい加減認めたらどうだい?」


 けれど、もう一度殴りかかる前に、アルファルドがノイルートをなだめるような声を出して彼の肩に手を置く。


「君、本当は彼のこと、そんなに嫌いじゃないんだろう? 君はちょっと変わった環境で育っただけの、普通の子なんだから。ただ、愛情の伝え方が不器用なだけで……」


「そんな慈愛のこもった目で見ないでください、気持ち悪い!」


 ノイルートの顔が引きつった。


「嫌いですよ! そうに決まってるでしょう! 好きだったらこんな扱いはしませんよ! あなたはカルキノスさんに暴力を振るったりするんですか!?」


 ノイルートは声を荒げながら倒れた父親の傍にかがみ込んだ。


「……大体あなたたち、こんなところで油を売っていていいんですか?」


 やっと気持ちが落ち着いてきたのか、少しだけいつもの調子を取り戻したようなトゲのある声で、ノイルートが嫌味っぽく言った。


「会場にはまだ九頭団がいるんですよ。どうせ二人とも、彼らを止めるために戻ってきたんでしょう?」


「あっ、そうだったわ!」


 二人のやり取りが気になりすぎて、うっかりしていた。


「行きましょう、アルファルド! ノイルートのことは……」

「心配しなくても、僕はもう何もしませんよ」


 ノイルートは指先でメガネの縁を押し上げた。そして、アルファルドの方に視線をやる。


「魔王がいなくなった以上、九頭団はもう終わりですから」


 ノイルートは淡々と話を進めた。


「僕は彼らと心中するつもりはありません。仮に捕まったとしても、何もしていなければ多少は罪も軽くなるでしょうし」


 どうやらノイルートは九頭団に大した思い入れはないらしい。私はオスカーに「見張っておいてね?」と頼んで、アルファルドと一緒にその場を後にした。


 声が二人に届かなくなったところで、私はアルファルドにこそっと話しかける。


「あの二人のこと、どう思う?」

「あれかな? 『嫌よ嫌よも好きのうち』みたいな……」

「う、うーん……?」


 前から思ってたけど、アルファルドってちょっと甘いところがあるわよね。まあ、言いたいことは分からなくはないんだけど……。

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― 新着の感想 ―
[一言] ルイーゼたちに立ち向かうオスカーを止めたのに、結局自分でオスカーをぼこぼこにしている(゜ロ゜) まあ確かに無駄な戦いではあるんだけど。 煮たり焼いたりする前にオスカーの方がぼっこぼこだ……仲…
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