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無気力な亡霊  作者: ガウストちゃん
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災害への対処

「…只今より緊急会議を始めます。

皆様、静粛にお願いします」


暗い部屋には数十人の男女が集まっていた。

ヒソヒソと雑談が交わされていたがアナウンスが流れると次第に音が消えていった。


突然、中央にスポットライトが灯された。

それにより、部屋の形がすり鉢状になっている事が分かった。

そこには人が何人か乗れるような丸い台が設置されており、台には模様が描かれていた。

集団の中から三人の男が中央で照らされていた台へと降りてきてそのうちの一人、高齢の男が話し始めた。


「皆さんの知っている通り、昨日の霊壁の異常がありました。

我々が調べましたところ、霊壁の外部から強力な霊波を受けた事による異常でありました。

原因はこちらをご覧ください」


台に上がった残りの二人が操作する機械から立体映像が浮かび上がった。

映像には森林とその上空を泳ぐ巨大なナマズのような化け物が映し出されていた。


「鯰男だと!?」


「明るいうちに縄張りから出てきたのか!」


映像が出た途端にどよめきが広がった。

彼らにとってそれは信じたくない映像であったようだ。

高齢の男は何度か手を叩くと静寂が徐々に戻っていく。


「問題はここからです。

タカシダ君、例の映像を映して」


高齢の男は機械を操作している片方の男に声をかけると了承といわんばかりに映像が切り替わった。

映像には空中で漂う少女が追加された。

胎児のように丸まった少女は鯰男に対抗する為か、その姿は徐々に巨大化していく。

しかし、鯰男の触手に捕まり抵抗も虚しく触手ごと呑み込まれてしまった。


それまでは彼らの想定内の映像だったのだろう。

騒ぎ出したのはその後だった。


少女を呑み込んだ鯰男は苦悶の表情を浮かべて暴れ出した。

左右に広い身体の一部がどんどん膨らんでいく。

どうやら呑み込まれた少女は巨大化を続けていたらしい。

触手を口に入れて吐き出そうとすらする鯰男だったが、次第に弱っていく様子へと変わっていく。

胴体が臨界点を突破しようとした時、鯰男が瞬時に消えた。

変わりに巨大化した少女が呑み込まれる前と同じ姿勢で上空を漂っていた。


そこかしこから悲鳴や怒号が響き渡る。

それもそのはず。

自分達が解決できずに犠牲に目を瞑り放置するしかなかった問題が呆気なく消えてしまったからだ。

そして新たな問題、それも鯰男よりも強力な問題が発生した事も理解したのだ。

高齢の男は再度手を叩き話を進めていく。


「…映像の通りに鯰男が消えた際に強力な霊波が発生したと考えられます。

この少女型はまだ未登録の幽霊ですが、鯰男を迎撃した事から同等かそれ以上の災害幽霊だと考えられます。

同時に余波で霊壁に異常、処理能力を超える霊波を放つ事から隔離線を簡単に越えてくる事が予想されています。

現在は山岳地帯を横断中であり、数週間後には隔離線に到達するかと思われます。

また、死体を集めている様子も確認できており嫐蜂や収集館のような特性も考えられます」


高齢の男は考えうる限りの少女の危険性を説明して、それを踏まえてどんな対応をするべきか問いかけた。

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