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無気力な亡霊  作者: ガウストちゃん
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塵も積もれば山積みになる

『あー、うーん…えー?

やっぱり無理ですかぁ?

出来ると思ったんですけどねぇ。

まぁ、結果良ければ全て良し!

化け物と化した迷える魂と謎の神格を確保できたのは大きいですよ!

色々と分かった事も有りますし、大きな一歩です』


何か諦められないような声音が悲しそうに零れた。

そして無理矢理嬉しそうな声を上げる辺り、期待の大きさが伺い知れる。


少女は険しい山岳の上空をくるくると縦方向に回りながら漂っていた。

変わらずどこか遠くに視線を向けて胎児のように丸くなり、あたかも水中で回転しているようだった。

山の麓から少し離れた所に森が見える。

どうやらナマズの化け物に襲われた後、現在居る山岳まで漂っているようだ。

現在は巨大化も解けたのか大きさは元に戻っていた。


『それにしても、あなたは…

自分が死にそうな時も変わらず無関心を貫き通すとは…

いえ、今は魂のみの存在なので既に死んでいる、と言われればそうかもしれませんけど…

今は、この私と!

神格を失ったとはいえ創造神である私と!

一蓮托生、運命共同体なんです!

勝手に達観しないでください!』


少女は一人で喚き散らすが、誰に伝えようとしているのか不明だ。

無表情ではあるが声は一言の度に語尾が強くなり不機嫌さをあらわにしていた。

機嫌が関係したのか回る速度が加速度的に速くなっていく。

まるで宇宙飛行士の回転椅子に座っているような状況だ。


『それに比べて私の咄嗟の判断は今にしても素晴らしいモノでしたね。

あなたをほんのすこぉしだけ本来の大きさに近付けて一時的に入り口を広げれば!

あんな化け物だって簡単に保管できちゃうんです!

神格持ちが唯一の懸念でしたが…私が吸収されてしまう事もなく!

うーん、素晴らしき妙案でした!』


かと思えば自画自賛し始め、回転方向が横にも加わった。

側から見れば三半規管がとても心配になる。

なんとも情緒が不安定な少女である。

どうやら山岳も下り坂になったのか高度も徐々に下がっていく。

その下には森林の時よりも増加した歩く死体共も引き連れて。

既に小山になりつつあるほど集まっていた。


『…よしよし、ちゃんと引き連れてますね!

化け物を無理矢理に保管できるように急ピッチに仕上げたので今は不可能ですが、用意が整ったら保管しましょう!

ふへへ、いやぁ…こんな世界でも面白いモノが早々に見つかるなんて思いもしませんでした。

上手くすれば…私も神に返り咲け…

…どうやら原生物にも気付かれたようですねぇ。

邪魔はされたくないんですが…

どうしましょうか?』


今後の事を楽しみでたまらないといった様子から一変して少女は何かを察知したのか酷く冷めた声で思案し始めた。

その下では死体の組体操モドキでもう少しで手…ではなく足が届きそうだ。


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