多欲の罪
『選王…原生物の代表ですか。
ふふ、私と話したいと?
身の程を知らない愚か者と罵りたいですが、私は神なのです。
寛大に答えてやらなくもないですよ!」
少女は無表情で青白い塊を貪りながらとても偉そうに言い放った。
見るからに調子に乗っていた。
空中を大回転している様子から相手への敬意が皆無と言っても良い。
そこは簡易テントのなかであった。
肥満の高齢男性、痩せぎすの高齢男性、若い白衣の女性が少女と対峙して座っていた。
イナリは今にも死にそうなほど血の気が引いており少しの衝撃で意識を失ってしまいそうだ。
視線だけは憤怒に染まってザイゼンを睨んでいる。
ザイゼンは感情を隠したような仏頂面で少女を鋭い視線で睨んでいる。
隣からの視線は無視するようだ。
ミタイラはニコニコと嬉しそうに微笑み少女から目を離す様子は皆無だ。
「まずは呼び名について。
コロニー内では神とは別の存在を指す。
名前を隠している事もこちらは知っているが、神のままでは混乱が起きてしまう。
別の呼び名を教えてほしい」
ザイゼンは少女の名前から切り出した。
どうやらコロニー内では信仰は失われていないようだ。
宗教の問題は早めに解決するに越した事はない。
『そうですか。
確かに名を言えない事は事実。
神と扱われる多幸感は得難いものでしたが…私はこの世界を造った神ではありませんし。
仕方がありません。
私の事はノア、彼女の事はキョウカと呼びなさい』
少女は己と別の者の名を答えた。
しかし、彼らの前に浮かんでいるのはノア一人。
その他には誰も居ない。
「…彼女とは?」
困惑すらせずに痩せぎすの高齢男性は疑問に思った事を尋ねる。
『…あぁ。
彼女は私が創り出した最後の世界。
意思を持つ世界の成れの果て。
腐った魂のみの存在。
今、あなた達に姿を見せているのは彼女ですよぉ』
ノアはザイゼンに聞かれて何かを納得したように声を漏らすと彼女と呼んでいた存在を明かす。
「では、貴女の姿は現せられるか」
『無理ですねぇ。
私は彼女を守護する事によって神界からこの世界に降り立ちました。
彼女の中でしかこの世界に存在できない以上、あなた達の前に姿は現せません』
先ほどノアが納得したのは己の姿を未だに見せていない事だったようだ。
即答で答えてできない理由を伝えた。
「貴女は我々に何を望む?」
『原生物に望む事?
まずは知識や技術の提供、特に魂を隠す技術を早急に要望します!
それからヨミや幽霊に関する全ての情報開示。
幽霊の討伐を全て私に委ねる。
原生物の処理、もしくは自然死の観察
それから…』
ノアの要望は止まらない。
まるで瓦解したダムのように欲が溢れ出す。




