事の元凶
初めましてガウストちゃんです。
皆様が楽しめる小説を書きたいと思います。
感想をくれると嬉しいです。
では、お楽しみください。
『うぎゃあぁぁ!!
なんでこんなに腐れてるのぉぉ!?
ちょこぉっと目を離しただけじゃん!
あり得ないあり得ないあり得ないぃぃ』
奇声を上げながらブリッジと三点倒立を掛け合わせた格好で這い回っている変態、もとい彼女は神である。
目の前の現実を受け入れられずにヒステリックに拒絶の言葉を延々と繰り返し這い回る様子はヤバめの気狂いにしか見えないがれっきとした神である。
『このままじゃ…このままじゃ…
コレにどれだけ注ぎ込んだと思っているんです?
世界を1つ造れるぐらいですよ?
それをただ腐らせたなんて知られたら…
どうしよどうしよどうしよ…』
彼女は創造神の一神にしてそれなりに上位の存在であり、いくつかの世界を創造、管理をしているほどに偉大な神である。
……とは言え今回の失態はそんな彼女の偉業を打ち消して余りある暴挙だった。
声の大きさに比例してブリッジもどきの高さがどんどん低くなっていき、しまいには何を考えたのかごめん寝の姿勢でぶつぶつと何かを言い続けていた。
明らかに精神に異常をきたしている。
それからしばらくして無言になった彼女はのっそりと体を起こした。
その様子はまさに追い詰められた人間が妙な決心をした時のアレである。
詳しく例えるならば闇金に多額の借金をした者が一か八かでギャンブルで全額返済しようと決意したような正気を失った者のアレである。
『…そうです。
私は悪くない。
悪いのは腐ったコレ。
フ、フフフ…
そうです、それなら腐ったままでも使えるように弄れば良いんですよ』
彼女は己の暴挙を全く省みず、失敗しか見えないアブナイ計画を立て始めたので彼女の視界でも入る位置に姿を現して止めた。
『………い、いつから居られました…か?
アナリル様』
私の姿を目にした途端、彼女はピタリと止まり百面相をしたのち、なんとも情けない表情で分かりきった事を聞いてきたのできちんと返した。
私は天才だ、と叫んだ所からだが?
『さ、最初からじゃナイデスカ』
最初の暴走から見ていたとも。
面白い企みだと思い観察していたが、残念な結果になってしまったな。
予想外の怪物を創りおって。
『こ、これには深い事情が…』
言い訳は結構。
全て見ていたのだぞ。
材料も経過も承知しておるわ。
これで一回でも報告に来ていれば取り返しようがあったのだぞ。
思い付いた事が全て上手くいくと思うのは貴女の悪い癖よな。
…さて、無断で資源を使った罰は勿論知っていよう。
『!?
それだけはご勘弁を、その状態でも活用方法は既に思い付いて…』
…まさにうってつけの使命を与えてやろう。
創造神アリン・ノアを今から天使へと降格し、神としての全権能を剥奪。
そして、これの守護天使に任命。
モールデースの世界を知っているな?
そして、我らでは手が出せぬ事も知っていよう。
あの世界を元にそれを創っておったからな。
これと共に世界の内側から問題を解決し正常な世界にする事を使命とする。
『ま、待って下さい、アナリル様!
その失敗作の守護天使であんな破滅寸前の世界なんて救えませんよ!?
そんなの遠回しに消滅しろと言っているのと変わらないではありませんか!?』
問答無用!
それ、堕ちよ。
『アナリル様ぁぁぁ………』
…もし、無事にモールデースの問題が解決できれば。
その時は再び創造神に昇格させる事を誓うとも。
全く、世界の五つ分も消費しおって。
あんな怪物の処理なぞ、それこそ世界と共に消滅ぐらいしかできんではないか。