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七色の光

(何でも望めば手に入りそうなのに、本当に望むものは手に入らないのね。)


皇太子であるが故の悩みなのかもしれないと、ルシャーナは思った。

この場で相性の結果を伝えられなくても、大臣達と一緒に確認する事は出来るので、同席して結果を聞いてはどうかと、セフィラスに打診してみた。


「よろしければ、セフィラス殿下も一緒に結果を聞いてはいかがですか?

 舞踏会がお開きになった後に報告する事になっております。」


セフィラスは少し考える仕草見せた後、同席について答えた。


「そうだな、大臣達に言って同席させてもらおう。」


(相性を聞いてどうするかは、セフィラス殿下次第だしね。

 猛反対されて諦めたとしても、次はきっと相性の良い相手とめぐり逢えますよ。)


セフィラスに向けて応援を送っていたら、うっかり相性鑑定に反応してしまった。

相手の事を考えながら、相性とか思ってしまったからだろう。


(わっ、違う違う。消えてー。)


ぽわんとセフィラスの頭上に相性の数値が見えてきて、慌てて能力を消そうとしたが、

ある事に気が付いてそれどころではなくなった。

セフィラスの小指からの伸びる運命の糸が、自分の小指と繋がり七色に光り輝いていたのだ。


(え?)


ルシャーナは過去に一度だけ、この現象を見たことがある。

通常、運命の糸は白くうっすら光っているだけなのだが、運命の相手と出会った時に七色に光り輝くのだ。


(いやいやいや…、まさか!!)


ルシャーナは目をしぱしぱとさせた後、セフィラスと自分の小指を再度確認する。

見間違いでも気のせいでもなく、運命の糸は七色に光り輝いている。


(えーーっと……)


チラリとセフィラスの頭上を確認すると、100という数値が見えていた。

セフィラスの運命の相手が自分だと認識し、サーっと血の気が引いていくのが分かった。


目を見開いて青ざめていくルシャーナを、心配したセフィラスが声をかけてきた。


「顔色が悪いようだが、大丈夫なのか?」

「い、いえ!なんでもありませんっ。大丈夫です。」

「それならいいが…。私はそろそろ会場に戻るとするよ。」

「私はまだここにいますので。」


セフィラスは「では、後ほど。」と言って去っていった。

ルシャーナは先ほど発覚した事実に動揺しながらも、お辞儀をして見送った。


セフィラスが去った事を確認してから、ベンチに倒れこむ。

いつか会えると良いなと、楽しみ思っていた運命の相手が、帝国の皇太子だった事に胸が痛んだ。

そして、セフィラス対しても申し訳ない気持ちになった。


伯爵令嬢であるルシャーナは皇族との関りは無いに等しい。

この後、大臣達に鑑定の報告をしたら、もう皇宮に来る事も皇族に会う事もないだろう。


運命の相手と出会っても結ばれるとは限らないって事なのだ。

ルシャーナは深呼吸をして気持ちを静め、自分自身に言い聞かせた。


(この事は誰も知らない!胸の中に閉まって墓場まで持って行こう…)


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