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〜いざダンジョンへ〜

アガツから『夏雨』をもらった次の日。

カレンは朝に帰ってきた。


「ただいま戻りました。それとおはようございます」

「おう、カレンおかえり。それとおはよう」

「おはよう、カレン」

「〜〜〜っ!」


カレンは俺が挨拶すると、途端顔を赤くさせて、そっぽを向いた。

え…

露骨過ぎない?嫌われた?俺何かした?


「おっはよーみんな!」


俺がカレンに嫌われた理由を考えていると、後ろからエリーゼさんが元気よく挨拶してきた。


「おはようございます。エリーゼさん」

「おはようシキ!」

「どーしてお前がこの家に居るんだよ、エリーゼ」

「いちいち細かいわねアガツは。

そんなんだから30過ぎても嫁の1人も貰えないのよ」

「うるせぇよ!それはお前もだろうが!」

「うるっさいわね!私は要らないよの!」

「俺だってこいつら食わせていくのに必死なんだよ!お前は1人でいいよな!」

「はぁ?2人を食わせていくことを選んだのはあんたでしょうが!

それとも何?この子達売っちゃった方が良かったって言うの?」

「そんなこと誰も言ってねーだろうが!」

「そう聞こえるのよ!」


はぁ、まぁた始まったよ。

夫婦喧嘩は犬も食わないって言うのに。

こいつらはよ結婚しろ。


「カレンも思うよな」


俺は喧嘩している2人に聞こえないようにカレンに耳打ちする。


「え?な、なにが?」

「早く結婚したらいいのにな」

「え、あ、うん。そうだね…」


笑顔で2人を見つめるカレン。

いつかカレンも俺も誰かと結婚するのだろうか。

そんな未来をカレンは見ているのだろうか。


「お前らなーに俺たちを笑ってやがる!」

「話すり替えるな!俺らに飛び火するな!」

「そーよ、シキとカレンちゃんに飛び火しちゃダメよ。それと笑われてるのはあなただけよ」

「なんだとー!」

『あんた達うるさい!!!』


あーあ、遂にお隣さんから怒られた。

そりゃあ朝からあれだけ怒鳴り合いしてたら、怒られるわな。

みんなで、すいませんと謝る。


「じゃあ、ご飯にでも、するか」

「そ、そうですね」

「食べよ食べよ!」


そして4人で食事を取った。



食事の後、俺とカレンは支度をする。

もちろんダンジョンへ行くためだ。

俺は防具として胸当てや肘、膝当てなんかを着けた。

刀を左の腰へ。

そして下へ降りる。


「じゃあ、行ってくる」

「おいシキ。お前それ要らねーよ」

「へ?」


一瞬なにが要らないのか、わからなかった。

え?刀?防具?


「防具全部要らねーよ。そんなもの着けたって焼け石に水だ。1発食らったら致命傷だ。

もっとがっちりと鎧装備なら、防御力も上がるがな。

それよりシキは躱すんだよ。

そんなもの着けてたら、躱せるものも躱せない。

全部置いてけ」

「は、はい。ごめんカレンちょっと待ってて」

「うん」


そう言って俺は部屋へ戻る。

なるほどな。動きやすさを取るってわけか。

次、俺はいつもの動きやすい服装で行く。

白のシャツに、黒のズボン。黒の靴に、黒のジャケット。

そして再び下へ。


「うん、それでいい」

「はい!では改めて、行ってきます!」

「行ってきます!」


俺とカレンは行ってきます、といい、アガツとエリーゼさんは行ってらっしゃい、と行ってくれた。

まずはギルドだ。



ギルドへ着いた俺たちは、受付へ。


「あの、昨日登録した、シキとカレンなんですが…」

「はい。今日はどのようなご要件でしょうか?」

「はい。1層のクリア条件を聞いておきたくて…」

「はい。1層はボスのシルバーウルフを倒し、シルバーウルフの牙をこちらへお持ちしていただければ、2層へと進めます。

ですが、初日での突破は、難しいと思います」

「あ、いえ、そんな初日で突破だなんて…

私たちの目標を聞いておきたかっただけなので…」

「そうですか。それでは少し最西のダンジョンに潜られる前にレクチャーを」


そう言われ、受付のお姉さんから色々レクチャーを受けた。

このダンジョンは1層から9層まであること。

それぞれの階層にボスが居ること。

そのボスを倒し、アイテムを持って帰ることで、その層は突破扱いとなり、次の層へ行けること。

ダンジョン内は魔獣、魔物が多いこと。

魔術、魔物を倒して、アイテムを手に入れれば、この受付で換金してくれるとのこと。

これでお金が稼げること。

などなどをレクチャーしてくれた。


「では、最後にアドバイスです。

ダンジョンは広いです。迷わないように頑張ってください。迷えば餓死する可能性もかんがえられますので」


いや、それアドバイスじゃない。

頑張ってくださいって…根性論じゃん…


「ありがとうございました。えーと」

「ジグニットです」

「ありがとうございました。ジグニットさん」

「いえ。あなたがたに、幸福があることを願っています」



俺たちはダンジョンの入口へと来ていた。


「でっかいなー」

「でっかいねー」


俺たちは高さ20m、横幅50mはあらんと思われる、洞窟の前で圧倒されていた。


「とりあえず、入るか」

「そうだね」


そう言ってダンジョン内へ。

ダンジョン内は洞窟にしてみれば意外と明るかった。


「すごいな。こんなに明るい」

「そうだね。これなら私のライティング要らないね」


ライティングとは光で辺りを照らす魔術。

しかしこの魔術、目くらましにも使えることができ、俺は何度かこの術でカレンに負けている。

補助魔術をも使いこなすカレンさん流石っす!


「なによ、その目は。何考えてんのよ」

「流石カレンさん!」

「バカにしてんの?」

「そんなこと無い」


まずい。考えていたことが口をついて出ていたみたいだ。

それを読み取るなんて流石…

もう辞めておこう。


「と、とりあえず先進もうぜ」

「そうね」


そう言って先へと進む。

すると何かが動いていた。


「なんだろあれ?」

「わかんね」


そう言いつつ、俺たちは近づく。

すると小さい人型の妖精が居た。


「あれはゴブリンね」

「ゴブリン?」

「あんたゴブリンも知らないの?

ゴブリンは人型の魔物よ。そこまで強く無いはずよ」

「なら俺が前に出る。どうせ俺は近接しかできないからな。

カレン後ろからバックアップよろしく」

「わかったわ」


初めての魔物との対決!

テンション上がるぜ!


「オラァァ!」

「キエ!?」


そう言って俺は刀を抜き、ゴブリンに切りかかる。

ゴブリンも斧を持っていた為、それで防ぐ。

が、俺の力の方が上で、斧を弾き飛ばす。


「キエキエ!?」

「もらったああ!」


そのままゴブリンの腹を切って倒す。


「よっしゃ!カレンやったぜ!」

「私要らなかった…わ、ね………」

「ああ、これくらいなら、俺でも大丈夫、ってどうした俺を指さして」

「ち、違う……後ろ……」

「後ろ?」


振り向くと、俺の背後にはゴブリンの群れが居た。

ざっと15匹はいるだろう。


「え?これやばい?」

『キエキエキエキエキエキエキエ』


15匹程のゴブリンたちの大合唱。

そしてその1匹が、俺に向かって斧を投げてきた。

まずいが避けられる。しかし今避けたら、カレンが…


「ホーリーディフェンス!」


しかしその斧は俺の目の前で、止められ、地面に落ちることになった。


「キエ!?」

「キエキエ!」


ゴブリンたちは驚いている。


「カレンありがとう」

「良いわよ。それと後は私にまかせて貰っていいかな?」

「え?ああ、良いけど…」


するとカレンはゴブリンの群れに杖を向ける。

赤の宝石が光る。赤の魔術を唱えようとしている証拠だ。

そして…


「ファイアーアロー!」


7本の火矢が正確に、ゴブリン達に襲いかかる。


「キエ…」

「キエ…」


悲鳴とも、なんとも言えない声がゴブリン7匹の最後の言葉。

それでもまだ、他のゴブリンが生きている。

すかさずカレンは青の魔術を唱える。


「アイスクラッシュ!」


氷の欠片がゴブリンに襲いかかる。

それもさっきのファイアーアローの数よりも多くの欠片が。

多くの氷の欠片がゴブリンたちの体を掠め、時には貫き、倒れていく。


「キエエエエエエ!!」


最後の1匹はそのまま洞窟の奥へと逃げていった。


「やったね!」

「俺の方が要らなかったような…」


カレンとの力の差をまざまざと見せつけられたダンジョン初戦のゴブリン戦だった。

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