第1話
「「 本? 」」
「あぁ、この本を見た瞬間におもったな、【世界神話を詳しくしらべよう】って」
そう言って浩太が出したのはかなり分厚い本で、厚さ10㎝はありそうな本だった。見た目もかなり古そうに見える。表紙にはかすんでいるが、絵が大きく描かれていて、その上には
「世界神話…」
思わず鈴木がそこに書いてある題名をこぼす。
浩太はいったいどこからこんな本を手に入れたのだろうか。
この本の存在感に皆息を吞む。
「こ、これ、どこに置いてあったんですか…?」
香奈桐は素朴な疑問を浩太に聞く。こんな時に天然はダメージが少ないかもしれないな。
いや、冷静に分析している俺も同類かもしれない。
しかし、話が進むのはいいことだ。絶句していても何も始まらないからな。
「この前、たまには別の道で学校から家に帰ろうとして迷ったときに立ち寄った、古そうな本屋で見つけたんだ。」
いや、迷うなよ。
「た、確かにかなり年季が入ってますもんね…ページをめくるのも破けそうで怖いです…」
おっと、吉岡はそういう意味で怖かったのか。メンタル一番えげつないかもしれないな。
「吉岡は、すごいな、俺はこの本のページめくりたいとは思わないけど…そしてよく君は帰れたね、浩太」
和樹、お前もそう思うか。…二つの意味で。
それにしても浩太はよくこんな本を持ち帰ったな。おれじゃ見つけたとしても見なかったふりして本棚に戻すか、今ここで誰かに引き取ってもらうぞ。
「それで、今日はこの本を誰かに引き取ってもらいたいんだ。」
まじかよ。絶対に嫌だぞ。
「は?女子にその得体の知れない気味悪い本を預けるわけ?」
だよなぁ…
「うーん俺、家にその本を置く場所ないんだよね~」
おい、和樹?
「それ、見た感じマンガじゃないだろ?おれマンガじゃないとよめないんだよね~」
は?拓真?
「じゃあ、勇弥で決定だな!」
「…いや、お、おれもその本置く場所が…」
「え?この前新しい本棚やっと買えた~っていってなかったっけ?」
……
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「あ~あ、和樹め。余計なこと言いやがって。」
しかし、本棚を買った事に悔いはない。なんたってノベルの為だからな。ノベルのためなら何でもできる。
それに何かあったら和樹のせいにすればいいしな。
「…とりあえず、今日は寝るか。」
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『ご__ね』
なにいってんだ。そんなことより早く止血を…!
『_た___つ、み__って_か_。」
縁起の悪いこというんじゃねぇよ、まだ…
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「生き…!……あ?」
そこで目が覚めた。二日連続悪夢を見るのはなかなかに堪える。しかもなんだよ。生き…!って。くっそ恥ずいじゃねーか。そういえば、今何時だ?そう思ってスマホを見ると午前四時を過ぎたぐらいだった。
「くっそ、真夜中じゃねーか。」
寝ようにも眠くない。コンビニに行くのはめんどくさいしなぁ…あぁ、不安だけど、これ読んでみるか。」
押し付けられた世界神話の本。
ページ破らないようにしないと…
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『世界神話』
この世界にはすべての人類共通の宗教、[世界神話]という神話が一つ存在する_____
昔、この世界には凶悪な神々が支配していた。一つの神が怒れば海は荒れ、雷が空を舞う。
人類たちはその神々に恐れた。そして人類は皆、同じことを願うようになったのだ。「幸せに暮らしたい。」と人類は神に願った。「どうか、どうかこの願いを叶えてはくれまいか。この願いのためならなんだってする。」その様子を見て、神々はこう言った。「その願い、叶えてやろう。ただし、条件がある。」それを問うと、生贄を週に一人捧げと申すのだ。
人類は喜び、その通りに生贄を週に一人、捧げた。




