その四十一
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※※※
私の家に着き、それからエアコンの効いたリビングで二人、明歩が買ってきてくれたケーキをお皿に移して、アイスティーを準備して二人リビングテーブルに向かい合って座る。因みに、両親は二人でお出かけの最中だから、家の中にいるのは私と明歩だけ。
初めて私の家に来て何だか嬉しそうにキョロキョロする明歩。普通の家だから大したものないんだけど、それでも珍しそうにあちこち見ている様が、何だか天真爛漫な明歩らしくて、可愛らしいと思いながら私は見ていた。
そして明歩が落ち着いたのを確認して、私は、意を決して、明歩に内緒にしていた事実を話した。
外から微かに蝉の鳴き声が聞こえる。エアコンを付けていて締め切ってるから、蝉の音はある程度遮断され余りうるさくはない。それでも今はよく聞こえる。それからリーン、と私の家の窓に付けてある風鈴が、エアコンの風に煽られ一鳴き。それ程、二人は沈黙していた。
「……ほんと?」「うん」明歩が絞り出すようにした出した言葉に、私は淡々と答える。
こんな嘘ついても仕方ない。だから私が嘘言っているはずはない。それを分かっていても、明歩は確認せずにはいられなかったんだろう。その気持ち、よく分かる。
「証拠、見る?」「え?」
私の言葉に呆気にとられた顔になる明歩。そして、二階にある私の部屋へ案内した。
どうぞ、と言いながら、私は自分の部屋へ明歩を誘う。部屋のドアを開けた途端、明歩は驚いた顔をした。
「……これって」「うん。明歩の思った通りだよ」
部屋の前で固まって突っ立ってる明歩に、私は淡々と答える。
そして黙ったまま静かに部屋に入っていく明歩の後ろを付いていく私。正直、明歩がどういう反応をするのか推し量れない。でも、もし怒られたとしても、最悪絶交だと言われても、覚悟を決めているから、きっと受け入れられる。……本当は、こんな素敵な友達、失いたくないけれど。
そして何か思い立ったように、急にバッと私に向き直る明歩。そして突然、ギューっと強く抱きしめた。
「い、痛い! そして暑いよ! 急にどうしたの?」エアコンが効いているとは言え夏なんだから、そんなに密着されたら暑いに決まってる。でも明歩は抱きしめるのを止めない。そして、ヒックヒック、と明歩から嗚咽が聞こえてきた。
「……明歩?」「美久……。みぐ~~~!」それからわんわん泣きながら、その場に崩れ落ちる明歩。……そっか。明歩だもんね。やっぱり優しい。怒られるかと思ったけど、そう思う事自体、明歩に失礼だったな。そしてそれを見た私も、徐々に目に涙が溜まってきちゃった。
「……泣いてくれるんだ。明歩」「あだり前だよおお~~! 美久ぅ~、苦しかったでしょおお~~! うわああ~~ん!」
私の部屋で遠慮なく泣き崩れる明歩に、今度は私がそっと抱きつく。涙が溢れるのを気にせずに。暑いけど、私も明歩の優しさが嬉しくて、抑えられなかった。
「グス、ありがとう。嫌われるかと思っちゃった。だって、ヒック、騙してたんだから」「ぞんなごと思うわけないよおお~! 美久が、美久が可哀想で……うわああ~~ん!」
そんなにも思ってくれるなんて。私も釣られて嗚咽し始め、同じくその場で座り込み泣いちゃった。……両親が家にいなくてよかった。「みぐ~。ヒックヒック」「グス。明歩……」だって、女子高生が二人して大泣きしているって、何事か、と思われるだろうし。
そして、私の家に来る最中、武智君のバイト先で明歩が働くって聞いてたけど、ある意味丁度良かったかも、そう思った。
※※※
『あ、こんばんは』『うん、こんばんは』
『あ、あの……、今度の土曜だけど』『うん、大丈夫。ちゃんと時間空けてる』
『そ、そっか。良かった』『フフ。私も楽しみだから』
『でも、会うの本当久しぶりになるね。そう言えば俺、結局夏休みの間もバイトする事にしたんだ。しかも、前遊園地へ遊びに行った時にいた、安川さん、ほら、雄介の彼女の。バイトに来る事になったんだ』『凄い偶然だね』
ほんとほんと、と笑いながら答えてるけど、実は電話しながら結構緊張してたりする俺。いよいよだ。疋田さんに会うの三ヶ月ぶりくらいだけど、きっと変わらず可愛いはずだ。しかも浴衣用意してるって言ってたし。すげぇ楽しみ。
『花火もあがるんだよね。夜店とかも沢山あるみたいだし』『うん』と返事するけど、俺、きっと土曜は緊張してそれどころじゃないだろうなあ。楽しめるかなあ。
『じゃあまた。土曜ね』『あ、うん。また土曜日に』そう言って電話を切り、ベッドに仰向けで大の字になる俺。そして緊張してたからか、ふうー、と大きく息を吐いた。
「いよいよか」ずっと胸に秘めてた想い。それを土曜伝える。ずっと会えていなかったけど、きっと俺の気持ちは変わっていない……。って、何で俺、今自分の気持ちを確認したんだ? 変わるわけないだろ?
でも、柊さんと昼一緒にいた時の事を、未だに思い出してしまう。当初はぎこちなかった関係も、終わる前までは正直楽しかった。ったく、雄介が気があるみたいな余計な事言うからだ……。いや、違う。それは言い訳だ。雄介は何も関係ない。
「おいコラ俺! しっかりしろ!」誰もいない俺の部屋で、一人気合を入れようと己自身にゴチンと頭を叩く。柊さんは関係ない。単なる友達だ。可愛くて何処か儚げで、そして優しくて気が利くけど、友達なだけだ。女の子として意識しちゃダメなんだ。
※※※
「どきなさいよ」「あいよ」
「本当毎度毎度、気が利かないわね」「すみませんねぇ」
「でもまあ、今日登校して夏休みだから? もう会う事はないわ」「さいですか」
「……」「……?」あ、まずい。柊さん泣きそうになってる。コラコラ! そんな顔しちゃダメだって! 清田先生と数人の生徒が怪訝な顔で見てる。まずいまずい!
「ウオッホン! ほら武智、さっさと行きなさいよ! 全く本当、あなたって気が利かないんだから。ほら、美久様、行くわよ」「え? う、うん」……え? 生徒会長の綾邊さん? 突然どうした? つか、柊さんの手を引いて行っちゃったよ。大丈夫なのか?
それを見ていた清田先生やファンクラブの連中は、綾邊さんが連れて行ったのを確認して監視を止めたようだ。何だか狐につままれたような気分だけど、俺もそそくさと靴を履き替え、教室に向かった。
ま、何にせよ、今日で柊さんの嫌われ演技は終わりだ。明日から夏休みだからな。
※※※
「グス、ごめん綾邊さん。迷惑かけちゃった」「全くだわ。でもいいのよ。だって、そ、その、ほら、あの、ほれ、あれだ、その」
「アハハ。そうだね。友達だもんね」「そ、そう! そうよお友達だから当然なのよ!」と、何だか嬉しそうに、でも恥ずかしそうにしながら、ずっと私の手を引っ張る綾邊さん。
綾邊さんに助けられた。そう。今日で武智君との朝のアレは終わり。つい、感極まって泣いちゃった。ずっと迷惑かけてて、ずっとその理由を言い出せなくて。本当、私って弱いな。
ありがとう。武智君。私は君との日々をいい思い出として心の中に留め、これから頑張ります。いつか大人になって、懐かしく君の事を思い出す日がくるだろう。けれど、君にとっては面倒な出来事でしか無かったよね? でも、私にとってはささやかだけど幸せな日々でした。
ありがとう……。大好きです。武智君。
「! ちょ、ちょっと柊さん?」「ヒックヒック……。ごめん、なさ……い。グズ」
つい、その場で蹲り泣いてしまった私を見て、驚く綾邊さん。慌てて女子トイレに私を引っ張って連れて行った。
「綾邊さん……。ごめん……ヒック。ごめん……なさ……い」「いいのよ。何があったか分からないけど、そんな泣いてる美久様、放っておけないし」
これで最後。そう思ったら涙が止まらなくなった。でも、止めなきゃ。もう学校は始まるんだから。そして今日を過ごせば、もう終わりなんだから。
それから始業のチャイムが鳴るまで、綾邊さんは私の傍にいてくれた。それまでに何とか泣くのを止める事が出来た私。綾邊さんにも感謝だな。でももう、会う事出来ないかも知れないけれど。
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