その二十六
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「今日も邪魔よ」「へいへいっと」
俺のその言い方に、ついクスっとしそうになる柊さん。こらこら、演技演技! と俺が慌てて小さく呟くと、スッと表情を変え、いつもの朝の冷徹な感じに変わった柊さん。最近気が緩みすぎじゃない?
そして去り際、スッと俺のポケットに紙切れ? みたいなのを入れていった。それから一睨みの演技をしてから、柊さんはそそくさとその場から立ち去った。
「何だ?」気になって紙切れを開くと、『今日のお昼、屋上来れるかな?』と書いてあった。何の用だろ? もしかして、告白……。とか? いやいやそれは絶対にないって。全く、雄介が余計な事言うから、変に意識してしまうっつの。
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「おっはよーっすぅ!」そしてダイビング気味に私に抱きつく明歩。もう最近は明歩の来る時間やタイミングが分かってきているので、サッと向き直りうまく明歩をキャッチする。「すごーい! さっすが美久だね!」そして遠慮なく私の頭をワシワシ撫でる。相変わらず遠慮がなさ過ぎ! 痛いから!
「あのねぇ、明歩? いい加減それ止めない?」「えー? でも朝ってテンションあがんね?」
明歩のワシワシのせいで、乱れてしまった髪の毛を手ぐしで直しながらため息をつく私。そして、テンション上がってもダイビングして挨拶する人はきっと明歩だけだよ、と突っ込もうとしたら、もう私の側を離れている明歩。まあでも、明歩のお陰で私は今、色々気分がいいから許してあげる。
何度か武智君とお昼ご飯を一緒する事が出来た。その事が、私の気分がいい理由だ。明歩が私の気持ちを知って、気を使ってそうしてくれてるのは分かってる。そしてそれは、実はとても大きなお世話だ。それでも、明歩には感謝してる。
私の本音に抗わなければいけない事も分かってる。でも、心の奥底では、自分の気持ちに素直に行動したい、と、最近はより一層叫んでる。だから明歩が、三浦君と共謀して、武智君を連れてくるのを甘んじて受け入れてしまう。
まあ、明歩も三浦君と一緒にいれる口実にしてるみたいだけど。
そして今日、思い切って私の方から武智君にメモを渡しちゃった。多分来てくれると思う。だって今日も、明歩は三浦君と二人でお昼を過ごすはずだから。本当は、こんな事やってはいけない。でも私だって……。
「えー、ウオッホン!」「きゃあ! 何?」何となく後ろめたい事を考えていたのもあって、突然の大きな咳払いに、つい大きな声で反応してしまった。誰? と思って振り向いたら、私のリアクションに驚いて固まっている綾邊さんだった。
「えっと、私に用?」「うふぇい! そ、そうみたい、ですわよ」
明らかに狼狽えながら、変な返事をする綾邊さん。そうみたいってどういう事なんだろう?
「……」「どうしたの?」
未だ固まって何も言わない綾邊さん。何を戸惑っているのかな?
「あ、あの」「はーい。それでは皆席についてー」綾邉さんが何か言いかけたところで、担任の先生が入ってきた。
「ああー! 全く私はダメな女だあああ!!」と今度は叫びながら、その場でがくーんとなって、いそいそと自分の席に戻っていった綾邉さん。……何だったんだろう?
※※※
「あ! やっぱり来てくれた!」「やっぱりって……」そりゃあ、雄介は相変わらず安川さんだし? そうなると俺ぼっちだし? そして安川さんの友達の柊さんも、その事知ってるだろうから、俺がここに来ないと何だか避けてるみたいに思われるかも知れないし? だから、来るしかないんだよなあ。
そしてニッコニコな柊さん。なんでそんなに嬉しそうなんですかね? そういう素敵な笑顔振りまかれたら勘違いしそうになるから止めて欲しい。雄介の言葉が、余計にこういうとこで影響してくるのが腹立たしい。
屋上だからか、日差しはいつも以上に暑く感じるものの、風はまだ夏というほどの熱風でもないから、この場所は気持ちいい。だから俺もここに来るのは嫌じゃないんだけどね。
「はあー、しかし暑いねー」「そうだね。……あの、なんでそんなにご機嫌なの?」
気になったし直接聞いてみた。俺としては、半年くらい続いた、威圧的な柊さんのイメージが未だこびりついてる。それがこの態度。余りのギャップに頭の中が処理できていないようだ。そして無駄に雄介の言った事も頭の隅から離れてくれないし。
「だって、お昼に男子生徒と二人って、何だかワクワクしない?」フフっといたずらっぽく微笑む柊さん。……やばい。今の笑顔が今までで一番可愛かった。稲妻が走ったかと思ったくらい、体を貫かれた気がした。心臓もばくんと飛び跳ねた感じがした。
そしてすぐに俺から視線を外し、空を眺める。綺麗な黒髪が風にそよぎ、スカートも風になびく。やや短めで薄着のセーラー服は、隙間からその綺麗な素肌を覗かせ、更に抜群のスタイルを強調しているかのように、体のラインを忠実に顕している。
心地よさそうに風を受け入れるその様は、紛れもない超絶美少女。異世界の王女様のような、その非現実な佇まいに、俺は言葉を失い見惚れてしまった。
「すげぇ……」「ん? 何が?」つい、俺は率直な気持ちを呟いてしまう。それを聞いてしまった柊さんがすぐさま質問する。……そりゃすげぇって言われて何の事か気になるよな。
「あ、いや、えーと。飯食わない?」「そうね。お昼休憩終わっちゃうし」とりあえず下手なごまかしをする俺。それを聞いた柊さんは、それ以上は突っ込まず、屋上に設置してある建屋の方へ歩いていった。
「こっちだと日陰があって暑くないよ。この建物は災害時に必要なはしごとか入れてあるんだって。屋上はきっと私がこの学校の生徒で一番詳しいと思う」「ハハハ。屋上に詳しい女子高生って」
おかしいよね? とまたもとびきりの笑顔を見せる柊さん。またも電撃が走ったようにドクンと鼓動を感じる俺。いやこの人、マジで心臓に悪いよ。
「なんか顔真っ赤だね」「そ、そうかな?」いけね! 表情をうまく隠さないと。とりあえず柊さんから視線をそらし、持ってきた弁当を開いた。柊さんは俺のその動作を不思議そうに見てたけど、同じく自分の弁当を開く。
「柊さんっていつも一人でここで昼過ごしてたの?」「うん。でも、三年生になってからは明歩が一緒にいてくれたけどね」
「安川さんと仲いいんだね」「明歩だけなんだ。私に気兼ねなく話しかけてくれるの」
そうなんだ、と言いながら、俺の好物の甘めの卵焼きに箸を付ける。……ちょっと待て。俺今、女子と二人で飯食ってんじゃん。俺の学生生活で初めての事じゃん。しかも相手はみんなの憧れ柊美久。……ファンクラブの奴らがこの事知ったら発狂するかもな。
今更ながらその事に気づいて、つい緊張してしまう俺。しかも隣に座ってるから柊さんとの距離が近い。
「……そう言えば私、男子とお昼二人で食べるの、初めてだ」「ハハハ。俺もおんなじ事考えてたよ」
「緊張してきた……」「いや柊さん? そういう事は内緒にしとこうよ」
そうだよね、とやや顔を赤らめながら首をコテンと傾げごめんね、と小さく謝る柊さん。……くっそこの人、めちゃくちゃ可愛い。ダメだ。ダメだぞ俺。ドキドキするな。疋田さんとの日々を思い出せ。バイト一緒にしてた事とか、遊園地デートとか。……ふう、ほんの少し理性が戻った。それと同時に悲しくなったけど。
「そう言えば、どうして俺を昼飯に誘ったの?」「明歩、三浦君とどうせ一緒だし、そうなるとここで一人でお昼食べないとダメだし、なら、武智君がいた、と思って誘ったの。さっきも言ったけど、男子とお昼食べるって、青春してるって感じするでしょ?」
「……迷惑だった?」今度は少し憂いの表情で俺を見つめる柊さん。そういう悲しげな表情もまた……。
「コ、コホン! め、迷惑じゃないよ。理由は分かった。まあ俺もぼっちになりそうだったし」
「じゃあまた、誘ってもいい?」「てか、俺なんかでいいの? 安川さん以外の女子のクラスメイトとかは?」
「多分今更、私と仲良くなろうなんて人、いないから」そう言って柊さんは、またも寂し気な表情をした。
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