その十五
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「今日は楽しかったね」「うん。疋田さんがそう思ってくれてよかった」
「そう? だってこんなにはしゃいだの、久々だったから」
笑顔でそう話してくる疋田さんに、そっか、と笑顔で返す俺。雄介と安川さんとは既に別れ、今は俺と疋田さんで二人、電車で帰宅の最中。帰りの電車は行きと違って空いていて、二人して隣同士で座る事が出来た。
「あ、あのさ。前から気になってた事聞いていいかな?」「何?」
「前、幼馴染が店に来てた時、家に泊まる、とか言ってたの、聞こえててさ」
「え? そこ聞こえてたの? ないない! 泊まらせてないよ!」必死な感じで否定する疋田さん。何だ、泊ってなかったのか。前から聞こうと思って中々聞けなかったんだよな。
「そっか、良かった」ホッとして呟く俺。
「……良かった?」
疋田さんが聞いてきた。……しまった、つい本音が漏れてしまった。というかもう、今日疋田さんとずっと一緒で楽しくて仕方なくて、疋田さんが可愛くて仕方なくて、ますます好きになってしまってるから、きっと俺の気持ちが抑えられなくなってるんだ。
「……うん。良かった」
だから、言い訳しなかった。幼馴染が泊まっていない事は嬉しかった。それを言っちゃうと、俺の気持ちがバレるかも知れないけど。自分の気持ちに嘘をつきたくなかった。
そして、そう俺が答えたのを聞いた疋田さんは、それ以上突っ込まず黙って俯いた。
……不味かったかな?
「あ、着いたね」何となく気まずくなった俺達だが、タイミングよく? 駅に着いたので疋田さんに声を掛ける。疋田さんも黙って俺の後に降りた。
それから改札を出る俺達。既に暗いので送っていこうか? と声を掛けたけど、この時間帯なら大丈夫、車も沢山通るし明るいから、と断られた。
……不味かったかな?
「あ、あのさ」「うん?」
「……帰ったらlineしていい?」「うん。勿論いいよ」
そう返事した後、じゃあね、と挨拶し、疋田さんは家の方角に歩いていった。……どう理解すればいいの? 何も言われなかったよ? あーもう! もっと突っ込んで話すれば良かったかなあ? でもそうなると……。あああ! 俺のヘタレえええ!!
※※※
「はあ~」
自分の部屋に入るなり、大きなため息をつく俺。ベッドにゴロンと仰向けに寝転びスマホを開き写真アプリをタップする。そこには、疋田さんとのツーショット写真。疋田さんの写真を初めてゲットして、つい嬉しくて眺めたくなった。やっぱ可愛いなあ。隣に写ってる俺要らねーなこれ。
「しかし今日、ほんと色々あったなあ」たかが遊園地デートのはずなのに。疋田さんとずっといただけでなく、くっついたりくっついたり……って、くっついてたよな? やばい、思い出しただけでニヤニヤしてくる。
今日の遊園地デートで、疋田さんとは以前より親密になれたと思う。だけど、
「疋田さんは、俺の事どう思ってるんだろう?」
どことなくあやふやで中途半端なまま。そりゃあ告白とかしてないから、気持ちが分からないのは当然だけど。さすがに嫌われてはないと思う。嫌いな奴と一緒に、観覧車のゴンドラ二人きりで乗らないだろうし。
はっきりさせたほうがいいのかな。そうするには俺の気持ちを伝えればいいだけ。でも、もし違ったら? 俺の独りよがりだったら? そこで今の関係さえも終わってしまう。なら、今のあやふやで中途半端なままのこの距離感でなら、疋田さんとまだ会う事ができる。
……それでいいのか?
疋田さんへの想いがますます強くなってしまってる。あの子を俺の彼女にしたい。あの子と二人で、色んなところに遊びに行きたい。俺のそばにいてほしい。あの子を独占したい。
こんなに強く、疋田さんを求めたのは初めてだ。というか、俺の人生でこんなに人を好きになったの初めてだ。
だからこそ、臆病になってしまう。壊したくない今の関係。でも、壊す勇気がないと前に進めない。それも分かってる。
そんな事を一人、未だベッドに寝ころんだまま考えていると、ずっと手に持っていたスマホのバイブがブブブと震えた。
「え?」疋田さんだ。
『もしもし? どうしたの?』『lineくれるって言ってたのに、来ないから電話しちゃった』
『あ、ごめん。今日の写真送ろうと思ってて』『あーあれね。うん、欲しい』
『……あ、あのさ』『うん?』
『ま、また、どこか誘っていいかな?』『うん、いいよ』
その返事にホッとする俺。即答だった。良かった。また一緒に遊びに行っていいって言ってくれた。
『だって友達でしょ? 遠慮する事ないじゃない』そして電話越しでクスリと笑う疋田さん。
友達……。その言葉の響きに安心すると共に、どこか虚しく寂しい気持ちになった。
※※※
「おいーっす「……おう」
「相変わらず元気ないな」「そういう雄介はご機嫌っぽいな」
そうか? とにこやかに返事する雄介。……こないだの遊園地デートで、安川さんとより親密になったんだろうな。
ゴールデンウイークも終わり俺達は朝、いつものように自転車で学校に来ていた。ゴールデンウイーク中、俺と雄介は空手部の部活が終日あって休みって感じじゃなかった。その間も、俺はこんなテンションのままだったりする。
そんな中でも、どうやら雄介は安川さんとちょくちょく会ってたらしい。一方で疋田さんはバイトにも来なかった。俺は部活終わってから行ってたんだけど。lineで聞いてみたら、ゴールデンウイーク中は家庭の用事で忙しい、だからバイトも行けない、と返事くれた。まあ確かに、あれだけ長い期間休みなら、家族とどこか行くのが普通だよな。
だけど正直、ゴールデンウイーク中も会いたかった。ほんの少しの時間でも。バイトに来るなら会えただろうけど、それも叶わなかった。だから俺はずっとテンションが低い。
何となく足取りが軽い雄介に対し、何となくトボトボ歩いて玄関ホールへ向かう俺。当然雄介は、俺がテンション低い理由、お見通しだ。
「邪魔よ」ああ、久々の柊さんですね。下駄箱で靴を履き替えてるところで遭遇しました。いつも通りです。
「ごめん」で、言葉少なに返事してさっさと避ける俺。
「全く。どうしてそう、いつも気が利かないの?」何だか睨んでる柊さん。はあ、とついため息出ちゃった。
「悪かったよ」でも、いつも通り言い返しはしない。今のテンションでこれ以上絡まれるのもしんどいから、逃げるようにさっさと退散した。
「……」「ん? どうしたん?」
「え?」「いや、今悠斗の事ずっと見てただろ?」
「そ、そんな事ないわよ! 三浦君もさっさと行けば?」
「へーへー」
柊さんと雄介とそんなやり取りがあった事は、先に行った俺は当然知らない。
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