その十四
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※※※
「へっへっへー」「何だよ」
ニヤニヤする安川に、ため息出してしまう俺。悠斗と疋田さんは当然二人きりにしてやらないといけないから、俺、三浦雄介と安川の二人で観覧車のゴンドラに乗ったわけだが。
観覧車ってのは中々にいい雰囲気を出してくれる。しかも遊びまくってそれなりに親密になってるところで、綺麗な夕焼け眺めながら密室で二人きり。しかも高所だからつり橋効果的な? そう言うのも期待出来るし。
今日一日疋田さんの様子見てたけど、悠斗の努力次第ではイケると思うんだよな。
「雄介そういう事だったんだねー」なるほどなるほどー、と、俺が面倒臭そうな顔をしてるのを気にせず、何か納得した様子でうんうん頷いてる安川。で、当たり前のように俺の横に座ってる。……でも、初めてだったな。女と一緒にいて楽しかったのは。
「雄介、照れ屋さんだったのかー」「悠斗の話はスルーしとけよ」
「はいはい。カッコつけ継続中ね」指でちょんと俺の鼻をつつく安川。……くっそ悠斗め、なんで気づくんだよ? 今まで誰にもバレなかったのに。親友ってのはある意味危険だ。
でもまあ、こうやって見せつける事で、疋田さんとの関係を縮めてやろうという作戦はうまくいっただろうな。悠斗、恥ずかしそうにしながらも、それなりに疋田さんをエスコートしてたし、疋田さんもお化け屋敷では悠斗にくっついてたしな。
「ねえ、ちょっと真面目な話するよ。雄介はどうして、そうやって無理してカッコつけんの?」俺があの二人の事考えたら、安川が急に真顔でジッと見つめてきた。
「……お前も他の女と一緒だろ」「え? 何が?」
首を傾げる安川。まあいいか。ゴンドラに乗ってる間退屈だし、暇潰し程度に俺の事話しても。
「皆、俺の外見だけ見て告ってくる。俺の事知らないくせに好きだって言ってくる。それって俺の何が好きなんだ?」
「成る程。そういう事か」ふーんと言いながら自然な流れで俺の肩に首を預ける安川。いや、何勝手な事してんだ? 元々グイグイ来る奴だけど、今日のデートでますます遠慮がなくなってやがる。
「きっかけは何でもよくない? その後お互い知っていけばいいんじゃん」
「……」引き離そうとしたけど、安川の一言でハッとした。
俺も何度かそうしようと努力してきた。でも、誰も俺の内面を見てくれなかった。だからこうやって偉そうにして、嫌って貰おうとしてんだ。そしたら女慣れした、偉そうでいけ好かない奴って評判になる。そうすれば、無駄に告ってくる女が減ると思って。
でも、この安川だけはそれが通じなかったんだよな。俺が何度断っても。偉そうな態度でもめげなかった。結局俺が折れて、仮の彼女という事になってるが。でも、そのうちどうせこいつも今までの女と同じ、俺に呆れて離れていくだろう。
「いいんだよ。俺はこういうので」未だ俺の肩に首を預けている安川からそう言いながら距離を取る俺。
この先も、どうせ俺の内面を見ようとする女なんていない。じゃあ安川とも、仮とは言え彼女にする必要ないだろ、って言われるだろうけど……。
「アタシはちゃんと見るから」「……え?」
「確かに、雄介の事カッコいいと思ったから告った。何度もアタックした。でも今日、武智君とかと一緒にいて楽しそうにしてる雄介見て、もっと雄介の事を知りたいと思った。ほんとだよ?」
「……」そう、俺だって本当は信じたいんだ。俺だって……。
悠斗が羨ましいのはそこだ。あんな純粋に人を好きになれるのが。ふと安川の顔を見つめる。ああそうだ、こいつも相当可愛いんだ。きっと、見知らぬ男達から沢山告られてきただろうな。俺と同じか。なのに、そんな事言ってくれるのか。
「俺と違って強いな」つい、フッと笑ってしまった。しまった。つい気が緩んだ。
「初めてアタシに笑ってくれたね」すかさずそれを見て微笑む安川。綺麗な顔してんな。見惚れそうになってついそっぽ向いてしまう。
ところがいきなり、その俺の首を、急に安川がグイと自分の方に向けた。
何だよ? と言いかけて言葉が出なかった。潤んだ瞳で俺を見つめる顔が、とても真剣だったから。そして、より一層俺の首を掴んでる手に力を込め、ん! と目を閉じ顔を近づけ、
そのまま、俺にキスをした。
「……」「えへへ、しちゃった」
頬を赤らめ照れる安川。ようやくその手から解放されるも、俺もつい受け入れてしまい、少し呆然としてしまった。
「いやお前……」何しやがる、と怒鳴ろうとして止めた。安川の目から涙が零れていたから。凄く寂しそうな、でもどこか思いやりのある表情で俺を見つめながら。
「やっぱ、恥ずかしい。これ実はファーストキスでした」
「え?」
「まだ、アタシの事信じられないかも知れないけど、アタシは裏切らないよ? 親友の武智君みたいに信じてみて、とは言わない。でも、真正面から向き合ってみてよ」
「……」心臓の奥がドクンと跳ね上がった気がした。何だこの感覚? 嬉しいと思うと同時に何だか抑えきれない衝動が溢れてくる。安川の顔がまともに見れない。こんな事初めてだ。
「……勇気振り絞って初めてキスあげたんだから、何か言ってよ。カッコつけ雄介君」
「う、うるせー」
「アハハ、何だか狼狽えてる?」
そう言われてフイと顔を背ける俺。でも、心の中でありがとう、と呟いたのは内緒だ。……信じて、いいのか、な。
※※※
「「……」」
前のゴンドラの中で、二人が夕日のシルエットとなって、お互いの唇を重ねる様が、ありありと見えてしまった。
間違いない。あの二人、キスしてました。
それを俺と疋田さんは見てしまった。唖然となってしまい、二人して視線を外すのさえ忘れてしまった。
いやまあ、ゴンドラにカップルが二人きりになったらそうなるんだろうけどさ、あいつら俺らがすぐ後から来てるの忘れてんじゃねーの?しかし、人がキスするシーン、ドラマや映画以外でリアルで初めてみた。しかもそれがダチって……。
ふと気になって、ドギマギしながらチラリと疋田さんを見てみる。すると顔真っ赤で口を開けて未だ呆然と固まってる。そして俺が見てたのに気付いてハッとして俯いた。
「ア、ハハ。あいつら節操ないね」「え? あ、そ、そうかな?」
居たたまれなくなってつい、あいつらがキスしたのを見た事を言ってしまう俺。疋田さんも変な回答になってしまってる。そして沈黙する俺達。
夕日が綺麗に見えるからって、俺と疋田さんは今、向かい合わせじゃなく隣同士で座ってる。かなり距離が近かったけど、今日何度も遊園地で乗り物一緒に乗ってて、これくらいの距離感は然程気にならなくなってたから、そこは大丈夫だったけど。
でも、あれ見ちゃったから、妙に意識してしまった。
そこで、突如ゴンドラが急にグラリと大きく揺れた。風が吹いたのか? 「きゃ!」と疋田さんが俺に抱きつくように寄りかかってしまった。
「ご、ごめんなさい」「だ、大丈夫」しどろもどろな俺達。まだ少しグラグラ揺れてるのもあって、中々離れられない疋田さん。俺も疋田さんが怖がらないよう、ほんの少し強めに疋田さんを支えるように、腕を掴んでいる。
疋田さんの息遣いが聞こえる。少し顔を動かすだけで、頬に口がくっつくんじゃないかってくらいの近距離。傍から見たら抱きしめ合ってるように見えなくもない恰好。不味い、また朝の電車のときのように心拍数が上がってきた。
ふと、疋田さんが俺の顔を見た。顔の距離約10cm。俺もつい視線を外せず見つめ返してしまう。本当、疋田さんは可愛い。黒縁メガネの奥から見える、長いまつ毛やくっきりした二重瞼。そして俺を見つめる黒い瞳が、やや潤んでいるのが分かる。
やっぱり俺、この子が好きだ。雄介と安川さんみたいに、カップルになれればどれだけ嬉しいだろう、幸せだろう。こんな状態だからか、ついそんな事考えてしまった。
この子を、俺の彼女にしたい。
「「……」」でも、何も言えない俺達。沈黙のまま互いに見つめ合う。疋田さんからずっと視線が外せない。このまま顔を近づければ俺達も……。
「はい、お疲れ様でしたー」そこで、係員の大きな声が聞こえた。驚いてバッと離れる俺達。いつの間にかゴンドラが、既に地上に着いていた。全く気付かなかった。二人してあたふたしながら急いでゴンドラから降りた。
下で待ってた雄介と安川さんが、俺達の方に近づいてきた。あいつらさっきまでキスしてたんだよな……。
「よし、んじゃ帰るか……、て、なんで二人して顔赤いんだ? つか、朝も同じ事言った気がするぞ?」
怪訝な表情をする雄介に、俺と疋田さんは何も答えられなかった。
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