第1章【ようこそ神代学園へ】
魔法使いが誕生しておよそ300年。世間では魔法使いは『目に見えない銃を持っている恐ろしい魔物』や『人間の皮をつけた怪物』だの色々言われている。ニュースで魔法使いと一般人とのトラブルを時々見る機会がある。そんな批判されまくりの力を他人事の様に見ていた俺。しかし、遂に俺にもその番がきてしまったようだ。
窪田大夢高校二年でサッカー部。ハットトリックを決めた事がある中々の運動神経の良さ!そして、学校の模試は学年≪2≫番。友達も少なくない非の打ちどころのない完璧な男子っ!が、最近魔法使いに覚醒した。
『大夢も覚醒したんだ~。おめでとう~』
電話からの姉の声は喜んでいるようで、そうでなくて…。
『今、病院で休んでいるところ。っと、魔力量の検査?だっけ。それの結果待ち。』
『そう。明日、入学て続きに学校来るんでしょ?お姉ちゃん楽しみだわぁ~』
姉は心の底から喜んではなさそうなんだよな。
『それでさ―』
「通話中失礼します。結果が判明しました。」
白衣を着た俺と同じくらいの若い女性がファイルこ片手に話かける。
「あっ、結果でたから切るね。また、後で。」
―ポチっ。ポケットにスマートフォンをしまうと彼女が喋りだす。
「結果はこの通りになります。一般人のX線に通した画像がこちら、あなたのがこちらになります。」
見比べてみると明らかに白いモヤが映っている。
「あなたは、現在の化学では証明できない程の魔力量。これが、普通の魔法使いの画像です。」
差し出された画像と比べて見ると俺の方が明らかに白い。
「これって、俺は普通の人よりも魔力量が多いという事だから、活躍が期待できるって事だよね?」
「断言はできないわ。でも、魔力量が多いのは事実だから。」
俺の中で期待が膨らむ。
「じゃあ、俺はこの世界を救う神に選ばれた男子ってわけだなっ!」
「-神じゃなくて、「紙」かもしれないわよ。魔力量が多いただの雑魚かもしれないし。」
「そうゆう、ちょっとリアリティーのある発言をしないでほしいな。なんか、悲しくなってきた。」
「まっ、いいわ。今日はゆっくり休んでいなさい。明日、この紙に書いてある通りに通学すれば、着くわ。魔法生活、楽しんでね。」
彼女はそう言うと、俺がいる部屋を後にした。
「期待されているのかそうじゃないのか…。よく分からないな。そーだっ、最後に友達にでもメッセージ送るか。」
俺は携帯を取り出す。登録されている限りの友達にメッセージを送る。しかし、誰からもメッセージは帰って来なかった。
―翌日
俺は紙に書いてある通りに登校している。最寄りのバス停でバスを待ち、バスに乗る。最初のうちは沢山の一般乗客がいたが、気付いたら数人の女子しか残っていなかった。
「ここが、神代魔法学園かぁ。なんか、洋風な感じ~。」
「待ってたよ。大夢。ようこそ、魔法学園へ。」
不意に声がしてきた。姿をみると
「兎?お前が、今喋ったのか?」
「えっ。あぁ、そうだよ。案内人のうさっぺだよ~」
浮遊していて大き目のぬいぐるみぐらいの大きさに可愛らしい兎。人間臭い喋り方。まるで生きているようだ。
「うげぇ、すっげ。山奥にあるだけあるぜ!ここ、日本だよな?いかにも、異世界感半端ねぇー!」
「さすが、数少ない男子!喜び方が男って感じ!同性の僕もテンション上がってきたよ」
「おっ、兎お前も男なのか⁉ちょっとびっくりだぜ」
「あーっ、話が戻るんだけど、生徒会長が君を待ってるよ。案内してあげる!」
なんとも不思議な体験だ。うさっぺ(こんなの)と学園を回るなんて。お姉ちゃんはいつもこんな感じなのか。本当に魔法ワールドっていう雰囲気漂ってて。しかし、
「女子しかいないなぁ~。これって男女分かれてないよね?」
しかし、うさっぺには聞こえていなかった。
「ここだよ、生徒会室。大丈夫、緊張しなくても。会長はとてもお優しい人だから。」
そう言って、俺は生徒会室のドアノブに手をかける。
「-えっ?」
想像を絶する光景が目の前に広がっていた。