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箱庭戦争/ドラグーン  作者: 烏月ハネ
1:白の竜騎士
9/80

第1章《箱庭戦争》(7)

明朝、晶たちはすぐに拠点をたった。

向かった先は、同盟の本拠地。

森を抜け、山岳地帯へと登り、太陽が真上に来る頃には到着した。

耳元を風が通り抜ける。

「ここが我々の本拠地、竜の谷です」

山岳地帯の合間。

目眩のしそうな高見から見下ろす絶景。

崖と崖の合間が、竜のあぎとのようにそびえ立つ。

大地の裂け目、竜の谷。

そして、その崖の中腹辺りに、いくつかの横穴があり、その中には街が納まっているらしい。

巧妙に偽装された入口を降りると、門扉があり、門番のチェックを受けて、中へと入る。

中は10メーターほどの洞窟天井で、衝立を立てるような形で、建物の外壁が連なっている。全体図がわからないが、枝分かれしている通りの数を見る限り、けっこうな広さの街だと感じる。

人が溢れるほどでは無いものの、ここににいる人数の規模は相当なのだろう。街を作れるほどの駒を有する神が、無数に存在することを思い返し、箱庭戦争がとてつも無い規模のものだと認識させられる。

晶が軽く驚いていると、ルナシアはメイン通りの奥を指差す。

「まずは今から、我々の同盟“竜種の魔眼(ドラゴン・ゲイズ)”の本拠地へと向かいます。このメイン通りを抜けた先にある登録所で、晶さんの能力を確認したあと、初期訓練と講習を受けてもらう事になりますね」

ルナシアの言葉に従い、通りを進んで行く。食料品を扱う店や鍛冶屋、薬屋などが有るようだが、そこにいる全員ともが、友軍の駒だった。そして、こんな世界でも、どうやら貨幣は流通しているらしい。

晶の表情を読んでか、ルナシアが説明してくれる。

「ちなみに、我々の同盟においては、独自の貨幣が流通してますよ。盟主の能力の一つが、何故か貨幣創造なんです」

「バロールは巨人族の王だから、統治系スキルなんでしょ、きっと。まぁ、通貨の観念が染み付いてると、やっぱりその制度が楽よね」

そういうと、アルテリリスはどこからか硬貨を取りだし、晶に手渡す。

「おねーさんからのお小遣いよん」

手にした金貨には、竜と目を組み合わせた意匠が刻印されている。

「アルテさん、大盤振る舞いですね」

「良いのよ、あたしは使い道は限られてるし」

「これって、そんなに高いんです?」

「10日は浴びるほど飲めるわねぇ」

「マジか…」

そんな会話をしているうちに、晶たちは登録所へとたどり着いた。

登録所の扉を開けると、人もまばらな建物内、埃っぽい本棚が並び、その奥にはカウンター。

そのカウンターに一羽の烏がとまっていた。

晶たちがカウンターに近付くと、止まり木にいた烏が、カウンターに降りる。

「お帰り、アルテ、シア。無事に新兵を確保出来たようだね」

烏がしゃべった。

驚きの表情を見せる晶に、烏は器用に笑う。

「はじめまして、新兵君。私は朝倉という。この竜種の魔眼(ドラゴン・ゲイズ)の盟主の1人にして、この街の管理者だ」

そう言うと、烏は一度だけ羽ばたく。すると、一枚の紙が、ひらりとカウンターへ滑る。

「駒の登録を。我々は、新たな同胞を歓迎するよ」

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